児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

少女と真剣交際無罪男性の訴訟 国・県に200万円賠償命令 名古屋地裁=中部(名古屋地裁H22.2.5)

 羮に懲りて膾を吹くで、今後、摘発が鈍るかも知れません。

2010.02.06 読売新聞社
 長谷川恭弘裁判長は「2人は真剣に交際しており、被害届は男性側から金をもらえなかった親が主導して出していた。逮捕、起訴するだけの理由はなかった」などとして、国と県に計200万円の支払いを命じた。
 判決によると、男性には妻子がいたが、勤務先の従業員だった少女と、18歳未満だと知りながら性的関係を持ったとして起訴された。名古屋簡裁は2007年、「真剣な交際だった」と無罪を言い渡し、確定した。愛知県警監察官室の加藤僚・首席監察官は「主張が認められず遺憾」とコメントした。

損賠訴訟:「恋愛なのに淫行で逮捕」 男性への賠償認める−−名地裁
2010.02.06 毎日新聞
 長谷川裁判長は、男性と少女が恋人同士だったとした上で「必要な捜査を怠り、犯罪行為に相当する根拠が欠如していたのに逮捕・起訴したのは違法」と認定。検察側の取り調べも「誘導により虚偽の自白を取得し、捜査官の裁量の範囲を著しく逸脱した」と違法性を認めた。【式守克史】

捜査ミス認定し賠償命令 17歳との交際で無罪男性
2010.02.05 共同通信
 判決理由で長谷川恭弘(はせがわ・やすひろ)裁判長は「女子高生との関係が犯罪に該当する合理的根拠が、客観的に欠如していたのは明らか」として逮捕、起訴の違法性を認定。その上で「必要な捜査を怠り、不合理な犯罪構成要件に当てはめた」と県警、区検の過失を認めた。
 捜査段階で男性が罪を認めたとする調書については「(作成した)副検事が、誘導により虚偽の自白を取得した違法なもの」と指摘した。

強制わいせつ致傷罪で執行猶予(岡山地裁H22.2.5)

 裁判員はなにで量刑しているのでしょうか?
 行為責任ではなく、再犯危険で量刑するのもどうかと思うのですが、刑事訴訟で再犯危険の資料というと、前科前歴と余罪くらいしかないので、前科前歴余罪がない場合には、そう重視されないです。
 逆に再犯危険あるとして実刑を選択したとしても、行刑によって、この被告人の再犯危険を減少させることができるという自信もないのだから、説得力がないですよ。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100206-00000298-mailo-l33
被告(33)に対し、懲役3年、保護観察付きの執行猶予5年(求刑・懲役3年)を言い渡した。
 判決によると、被告は昨年8月、倉敷市内で女子高生(当時17歳)の体を触り、顔を殴るなどして8日間のけがを負わせた。判決は「深く反省し、再犯のおそれがあるとまでは言い切れない」などとして実刑を避けた。
 判決後の記者会見では「性犯罪は裁判員裁判になじまないのでは」との質問に、40代男性裁判員が「性犯罪こそ市民や国民の感情、意見を尊重し、裁判員裁判で裁くべきではないか」と答えた。また、公判で質問のなかった30代女性裁判員は「性犯罪に限らないが、“被告と直接目が合うと怖い”という気持ちがあり、あえてしなかった」と話した。また「保護観察が付いたのはどうしてか」との質問は、地裁側が「裁判員法が禁じる評議の秘密を漏らすことにあたる」として制止した。
 弁護人の妹尾直人弁護士は「市民感覚が反映され妥当」、岡山地検の岩崎吉明次席検事は「被害内容と被告の更生の両方に配慮している」と、ともに評価した。【松井豊、石井尚】