児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

2016年08月18日のツイート

女性教諭による児童淫行事件

 女性による児童淫行罪は珍しく裁判例としても1件しか確認していません。
 影響関係のベースになるような関係(師弟・親族)があって、性交・性交類似行為があれば、児童淫行罪が選択されることがあります。数回でも包括一罪になることと、訴因以外の淫行で量刑されることに警戒してください。

母代わり…中3男子にわいせつ 懲役10月の実刑判決−−千葉家裁支部
2001.07.31 毎日新聞
 千葉家裁木更津支部は31日、児童福祉法違反罪に問われた被告(31)に対し、懲役10月(求刑・懲役1年6月)の実刑判決を言い渡した。松丸伸一郎裁判官は「子供の健全な成長に与えた悪影響は計り知れない」と指摘した。
 判決によると、被告は今年2月、食事を作ったり宿泊させるなど母親代わりに面倒を見ていた同市に住む当時中学3年の男子生徒(15)に対し、自宅でわいせつな行為をした。

元女性教諭を起訴猶予処分
2008.05.11 琉球新報
 那覇地検は9日までに、県青少年保護育成条例違反(深夜外出の制限)と児童福祉法違反で逮捕、送検され、処分保留で釈放されていた元中学校教諭の女性(35)を起訴猶予処分とした。地検は「諸般の事情を考慮して」と説明。県教育委員会が7日に女性を懲戒免職の処分にしたためとみられる。(一部地域既報)

http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/57513
生徒と淫行容疑 教諭の女を逮捕/那覇署 教諭は否認
2016.08.15 
 那覇署は14日、男子高校生にみだらな行為をさせたとして本島南部に住む40代の女性教諭を児童福祉法違反(児童に淫行させる行為の禁止)の疑いで逮捕した。容疑を否認しているという。同署は女性教諭が被害男子高校生と過去にも複数回、行為に及んでいた可能性も視野に捜査を進める。
 調べでは、7月27日午後6時25分から58分ごろまでの間、教諭が運転する車を南風原町内の商業施設の駐車場に止め、18歳未満と知りながら、車内で男子高校生にみだらな行為をさせた疑い。男子高校生は本島南部に住み、女性教諭と面識があるという。
 同署は、女性教諭の実名について、被害関係者のプライバシー保護のために公表していない。男子高校生の関係者から警察に相談があり、捜査を進めていた。
沖縄タイムス

被害児童の実態調査は国及び地方公共団体の義務だけどやってません。

http://lhj.jp/2362
でやったけど「児童相談所児童福祉司へのヒアリング調査および、全国児童相談所の全児童福祉司約2800名に対するアンケート調査」ということで間接的。
「第十六条の二  社会保障審議会及び犯罪被害者等施策推進会議は、相互に連携して、児童買春の相手方となったこと、児童ポルノに描写されたこと等により心身に有害な影響を受けた児童の保護に関する施策の実施状況等について、当該児童の保護に関する専門的な知識経験を有する者の知見を活用しつつ、定期的に検証及び評価を行うものとする。」というのもやった痕跡がない。

児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(H26改正後)
(教育、啓発及び調査研究)
第十四条  国及び地方公共団体は、児童買春、児童ポルノの所持、提供等の行為が児童の心身の成長に重大な影響を与えるものであることに鑑み、これらの行為を未然に防止することができるよう、児童の権利に関する国民の理解を深めるための教育及び啓発に努めるものとする。
2  国及び地方公共団体は、児童買春、児童ポルノの所持、提供等の行為の防止に資する調査研究の推進に努めるものとする。
   第三章 心身に有害な影響を受けた児童の保護のための措置

(心身に有害な影響を受けた児童の保護)
第十五条  厚生労働省法務省都道府県警察、児童相談所、福祉事務所その他の国、都道府県又は市町村の関係行政機関は、児童買春の相手方となったこと、児童ポルノに描写されたこと等により心身に有害な影響を受けた児童に対し、相互に連携を図りつつ、その心身の状況、その置かれている環境等に応じ、当該児童がその受けた影響から身体的及び心理的に回復し、個人の尊厳を保って成長することができるよう、相談、指導、一時保護、施設への入所その他の必要な保護のための措置を適切に講ずるものとする。
2  前項の関係行政機関は、同項の措置を講ずる場合において、同項の児童の保護のため必要があると認めるときは、その保護者に対し、相談、指導その他の措置を講ずるものとする。
(心身に有害な影響を受けた児童の保護のための体制の整備)
第十六条  国及び地方公共団体は、児童買春の相手方となったこと、児童ポルノに描写されたこと等により心身に有害な影響を受けた児童について専門的知識に基づく保護を適切に行うことができるよう、これらの児童の保護に関する調査研究の推進、これらの児童の保護を行う者の資質の向上、これらの児童が緊急に保護を必要とする場合における関係機関の連携協力体制の強化、これらの児童の保護を行う民間の団体との連携協力体制の整備等必要な体制の整備に努めるものとする。
(心身に有害な影響を受けた児童の保護に関する施策の検証等)
第十六条の二  社会保障審議会及び犯罪被害者等施策推進会議は、相互に連携して、児童買春の相手方となったこと、児童ポルノに描写されたこと等により心身に有害な影響を受けた児童の保護に関する施策の実施状況等について、当該児童の保護に関する専門的な知識経験を有する者の知見を活用しつつ、定期的に検証及び評価を行うものとする。
2  社会保障審議会又は犯罪被害者等施策推進会議は、前項の検証及び評価の結果を勘案し、必要があると認めるときは、当該児童の保護に関する施策の在り方について、それぞれ厚生労働大臣又は関係行政機関に意見を述べるものとする。
3  厚生労働大臣又は関係行政機関は、前項の意見があった場合において必要があると認めるときは、当該児童の保護を図るために必要な施策を講ずるものとする。

 痕跡はありましたが、被害児童にはアクセスしづらいようです

犯罪被害者等施策推進会議
https://www.npa.go.jp/hanzaihigai/suisin/kaigi/13/pdf/s3_kenshou.pdf
4 被害児童保護に関する調査研究の推進
効果的で適切な保護施策を推進できるよう、児童が被害に遭う背景や被害児童の心理特性に関する調査研究の実施について検討する必要がある。
5 総括
児童買春・児童ポルノ事犯における被害児童の保護施策が、多方面にわたり行われていることは、評価できる。
しかし、児童買春・児童ポルノ事犯は、様々な要因により被害が潜在化しやすいことから、これを念頭に置きつつ、引き続き、保護活動の充実、被害児童の保護を行う者の資質向上、関係機関の連携強化等を図っていく必要がある。
なお、犯罪被害者等施策にとどまらない事項ではあるが、児童がSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)等のインターネット上の新たなコミュニケーションツールの利用をきっかけに被害に遭うケースが多いことから、今後、児童及び保護者のインターネット・リテラシーの向上等の予防啓発、教育・学習の充実を期待する。

http://www.afpbb.com/articles/-/3097884
警視庁の報告によれば、2014年に児童買春の被害にあったのは中学生や高校生ら462人。同年の児童ポルノ事犯の被害者は1244人。しかし、少女たちへの虐待や不法行為について正確な実態を把握することは難しいとされている。(c)AFPBB News/Hiromi Tanoue