二乗千年

 

2018-01-14

要塞へ双眼鏡に雲詰めて

破壊しても木魚の中チョコ溶け始める

柱の傷はおととしが存在した証

象が象を踏んでぺらぺらに花吹雪

カルデラ湖の情念が毛を魚人に槍を

重過失の世に幻獣の肉五トン

まだぬくい杖なぜここに噴水が

寂滅の鋭角五つ水に溶かす

綺麗な首を山脈で塗る貨物列車

防波堤濡れる恥濃く傘を尽くす

舞い捧ぐ日干の血眼は西へ

歪む止マレの文字蒸発し奈良の都へ

慰安するキリン嵐の昼担い

羊毛疎んじ後ろめたく匿名の過去も

山菜を合理の狭間に蒸し返す

親類縁者皆角生やし雲肥やす

貝類の覇気に絆され調査団

盾の裏に三国志が好きだったひと

土はドリルを澄ませている噎ぶ麦藁

老処女性如何に水玉の海を刺すか

捕虫する椀に無閃のパステルカラー

カプセルホテル残酷に宙しかとねじれ

庭に四角い溝冷蔵しているのか木々を

阿修羅たる根拠引き抜くペンチの熱

豆腐の空組み替えては縫う八咫烏

山の鏡はまだ暗い婦人バリカンを手に

失せれば茎に刺すのみ命令形の半月

枕濡らす煮えたウサギウサギ跳び

混濁へと滅びた文明にも重力

天変地異にハンカチ一晩浸しておく

煙に巻かれて顔新しく姉妹脱ぐ

泣く代わりに義眼を這う鬱の画数

氷山の子の合唱ホログラフを生む

大河千本瞬時に涸れ瞬時に天空

能面の下に砦は石を乱す

缶引く点ひとつ画家のかく日照りに神

歯のない大口もある根底には絵ぎしり

窓越しの遠く近くにある路頭

心理の外針密かに佇むシナリオ

月煌々体内に紅差す如く

炎天の篦恐ろしく語り継ぐ

銃に似た眠りを米俵にゴム弾

混迷に都会華やぐ三つ巴

斑を葉巻型物体飛ぶ牛の持つ

老婆死ぬ鍋の空疎に遺書を煮て

島滅ぼすボランティアたちの羽を毟り

一日が終わる魚介を暖簾に削ぎ

水臭い人間いやしくも粘膜

喪失感を蝶の餌場に霞む酸

脈のない来世の袋に羽毛ばかり

決して罪なかくれんぼでは村ならず

ぶら下がる猿問題は生き血の揺れ方

近所気怠き段と化す不遇を平屋に

餅蹴飛ばし飛び散る醤油の来訪者

ハの字にカバのオスメス並べるスキーしたい

御者揺さぶるサイダーの酔い荷はマスカット

若くして一つ目に交わる平行

寿司屋の奥愛と鳴かない魚のルポ

極地に蝕カーリー刷りまくって汗する

動脈鳴らしてホルンを売る夜明け

地上で藁に縋る家族たち魔境へと

自我引き裂く緑の蜘蛛の巣のコピー

同盟の海光る幽霊滑車

肉の見える羊が野の舌先に丸く

甘い煙がシャワーを浴びている終盤

不憫な隊諸国錐揉みして歩く

紐ブチ切れ術中に舞うトートロジー

生まれて笑いながら髪を抜く静かな夜だ

パーソナリティーの乖離は音を発する沼

皮脂拭う枯れ葉吹かれて残党狩り

その名はスプリンクラー部屋で林檎を切り刻む

土砂深く墨爛漫の火花散る

歌人に群がる百獣咲き乱れんがため

傾く写真の奥行きへ爪伸ばす家族

私有する頭蓋に浅く張る光

首長竜圧縮再絶滅も辞さず

一粒の星ほくそ笑むマトリョーシカ

陸と海の断絶味噌汁に漂う

常夏剥がせば死相グリーングリーン歌う

顔撫で下ろす笑みに代えて高層階より

雲満遍なく夕べに逆日の出を吐き出す

幹にひしゃげた標高に谷噤む谺

常駐する階下の発光プリンに纜

気を許す草原曇る罅を育み

泡薫じ死別の距離に撒き散らす

不可視文字からなる中二階に星吊る

処刑具嗅ぐ終生薔薇受け取るよりは

通貨に穴がわたしは凪を見るだろう

臓腑にある鳥の食指に灼かれる昼

他者の影と結ぶ手首からドバドバ稲穂

花園に群集心理の露流転

晴れやかな悪化の一途にシェルパの帯

湿る風の黄噛み赤噛みひとたび肉

土の円周上に直角なるアメリカ

爪痕に燃料染み込む飛び立つため

蛇さざめく充血下のスープの淵に

烈火の如きトロン、其はトロンとして冬雷

舟縛られやむなく水介在する沢

温められ卵よ摂理を外れんか

あわれあわれこの世のてっぺんにもししとう

2017-09-28

棘だらけのコート着て日溜まりに立つ

告げるな鳥しかも黒く千切れた明るみに

無限に長い刀を抜く風夏は鞘

夜汽車か荷馬車に裏か表を揺られ歌劇団

蛾を留まらせておく窓に不謹慎包む家

猟犬ほぐれて火に浮かぶ筋肉の川

ホテル揺らす金粉その完全なる躍動

蛇百死千景のとぐろ巻く峠

坊主が屏風に卍固めにされ飛び散る

射精しつつ征く師霊媒の痕ぬらぬら

杭立つ土地を逆さまに仮面の雄叫び

船紅蓮に闇を誘い従うか否か

低地冷ます豪雨に混ざらんか線路よ

血が死で満ちていないの誰かに見られたら困るわ

泡惑い海峡皺だらけに「オ、オー」

孤島に甘い多言語まとわりつくビン置く

流れていく鮫は銀彼の頬は海

軒に魔が差し凍る数奇なる運命

言霊のたかる漁船に不在の沢

告げ続けよ名を人格が降りて光

芸尽きて鞭打つ千度のぬるい球

濾紙滲む悲しみに落とされた都市

異次元にチョコ頬張り箱には古代の鍵

差異という洒落た現実の日付は億

森羅万象闇の苦さを残し忘れ

夢から見る現実とこちらに鳥居

苔の一種よぎり街という傷は癒えた

情欲恐るべき乱打許し捲る土煙

鐘ひとつ墨の粘りを支える梁

食いしばる歯に鬱蒼と林成る

二歳がぼくの髄膜を電飾で目立たす

社員ら囲みグラスの脚踏む艶めかしく

ビルからビルへ肉を離れたハイヒール

知らず知らず天竺にいてベルト扱く

頭蓋化する支部へ出向激しく鳴り

ようこそ手乗り猿さん棒人間の国へ

雪を吸う遊具がギーと蒼白に

ボロボロ朧朧とパンが歯が老人が

可決のどよめきに見とれている葡萄農家

静かに豚は目を閉じる聖木工ボンド

寝ずの第七金曜日に五芒星滲む

人から思い浮かぶ粉は塩辛いぞ塔

麺巻くフォークに逆らいませんというタイ語

順延され友の舌ばかりのたうつ広場

長針の緊張を解く静物画

「広げた手は瞳だよ」即ち少女落下

ステンドグラスは韻だそこへ鐘かくも空しく

群れは何もかも悲惨裸足で靴を煮る

桜の下風薫れば泥ぶつけ合う

茶柱からはみ出す鬼ヶ島の分母

臨月の塀は和風をとどめおく

凍てた果てたと窮地に聳え立つ領主

ポスター破ると鏡がある奥から白濁して

骨をセミナーへ折る星と海と輝く催眠

木の実押す書類に穴のテリトリー

精かすりうっとり流されゆく魚

妖魔の臓腑にメメント・モリ明るい家庭

歌以外も垂れ流す姉妹廃バスでカナダ

稀な水に恭しく髪剃り落とす

感覚器の触手は見えず天動説

殺人鬼も印刷をする危険水位

球化した黄泉の甘さを目に持つ各自

カクテルバー内部から牛の首錆びる

西に弔いの枠が誰という指示も持たず

電撃の算数踊る古来の里

人間の中から調理済みの肉塊

ダガーひた走るひたこの凹みひた

目眩に輪郭がある淡くどこまでも組織

名付けのよすがにやがて死にゆくもの宇宙

路上の怪数える指がない花も

靴の中がペンキくさい標識にしてよ

岸のパトカーサイレンで血潮掻き回す

連射機オンにして土かけるぬくい毛布に

名刺サイズに海抉られ深呼吸に関わる

吸血す石棺に剣着飾らせ

三つ目を刺して焼く串の先端は三つ叉

ぼくと沈黙乗せプロペラそれ自体の回転

胎外にも炎熱のべろの手毬唄

水平を悟る煙の火が焚かれ

家は不在の皮膚極北に同じ死体

切符はイチゴのスライス沈む船より陸へと

天よ感受し給え無化劇の終わりを

涙滴る宝玉指輪に自我無きマダム

土星樹繁るカウントダウンも負を貫き

常人我々に歌を教えたがる荒野の牧歌を

天地は皮一枚で繋がる首打つ儀式

六角に壁組んで水浸しの椅子

生きながらえることの叫び農夫は耕す

雲育む沃土へ製茶群飛翔

汗ばむお膝元夢が人種に変わる

棲め因子よあばら屋に金糸を垂らして

ストーブに翳している手を離せば断崖

ピカソ薪に喪中喪後なる断定会

血も浴びずに錆びる断頭台上のスピカ

ロマ嘆く弓を川面に擦りながら

戦火鮮やかなる爪なき猿吠えたが最後

意味の形が人間真似る秋の隔壁

山の前は美しくまた沈みゆく裸体

嵐はくたくたの薔薇をもぐ婦女の所以に

小児科とめどなく噴き上げる水が透明

2017-05-29

食虫植物下げ跡地へ自宅を見に行く

防げず鎧の内へ青銅の蝉時雨

魔界の文字崩れやすく星なる和紙貼る

やがて火に棲む神殿一巡目と呼ぶべし

砂粒兆の位まで諳んじ初めて歌とす

床に寝て見る吊るされた銀の匙

巡る季節を鉛筆でぐるぐるぐる出でよ

牛の深さを湿度で計る水の外

長靴に飲まれていくかつては金魚

円書いて覗きこむできるだけ小さく

山の脈を磁気と見布と化し油彩

西から水溶性フィルム昇るサラダの冷え

水田薄まる涙袋で痙攣して

本当の風化を思う崖の花

古びた無に廃墟等塵塗れの呼吸

吹き抜けは未詳の糸杉透き通る

祇園精舎のデータ消して首空けておく

轟かず屋台集まる日の低さ

背ぐるみの騾馬肉馴染む下流の露

空転する悲しい左を持つ生け垣

持ち主は野菊散らして光の盾

まなこ真っ黒な旧家にしてお利口さん凱旋

信者すべての拇印なすり多面相の個室

大さじ二杯の泥が白い枕だ寝よう

オルゴールから呪歌それからというもの

彼と信じ疑いようもなくクリーム煮

グミ降りて驚きながら蹴るだろう

後妻は捕食者セメントでカフェの毛を繕う

音砕けて実体の無事を貫く孤独

空疎という人混みの内角の和

涅槃ぶち壊す音波たれカンボジア歌謡

トカゲのどこを切ってもまた監禁される

チョーク白く密輸し最暗部へ粉噴く

この水清らかなること百年目も百開く

髪も口も結び紙ヤスリ買う女

天気図に誰踏むでもなく軋むミシン

ワニ皮のセーター膨らむ兄の肉で

刺されて街角がる羊の身に祭りの告知

日常かくも楽しくなくホットケーキ焼く

流刑地からの流刑重ね珊瑚の宮へ

最古の雛が回る朧に冥王星

時空黄色く牛過ぎる思い知れ卵を

川辺の丈浮かれて白夜となる神話

空室に台詞が振られ血風録

トントンとトタンに涎する老婆

不具誘う暗炉に痣を投げるべく

星屑を開くときれいな紙だった

王朝を時雨れさす宮尖る殯

タオル乾く不似合いな椰子に身をよじらせ

瓶詰めの黴並ぶ書架に匂う木屑

猿の咳ひときわ大新月賜る

混も沌するギザギザ月光無事な手足

標本の茜を放つ不意の客

切れて自らの暗がりに落ちゆくあやとり

庭掻き混ぜてみても苦しい爪と生きること

何度も夜が縞々に簒奪しに来る

花は恐怖にして絶望息さえも贄

金属の奇形焦がす和室の雨漏り

速く胸ポケットから垂れる溶液より速く

警報また円の一部という自覚

宵戯れにワイン残せば散るカモメ

旅するマルコポーロ奇数の列で撃つ

模造ヶ丘吸盤咲き乱れて誤配

一辺一兆メートルの更地たかが地獄

幹に木に包んで吊って終止形

事務所出ると人足す音して野焼き盛ん

渦飲み干す我ら霞の兵なれば

ジリリンごと腕慰める男の股

眼底僅かな地所なり次々錆びゆく中世

顔割れて蝋の雪崩に羊の脚

点描の橋崩れ他次元の死都

断面曲がるなかれふとしても回る独楽

聖ならず近世遠十字大系

道路に平屋ばかり暗澹なら弾むのに

定めもつれ羊歯練る底にありつく鍋

裏返したうさぎにびっしりとボーダー

朝靄のセミ工場にダル・セーニョ

公園砕く閃きを手拍子で消して回る

宇宙大きく見えるため在る置き時計

鉄が和むのはなぜもらい火で熱しつつ

吹雪く緑化の迸りに声その蔓を切れ

夜空カッターでさらうと象迎えに来たよ

島美しい命綱引き寄せなお輝く

遠近法ですべてが点に粉薬

その毒はヒトに効かずオオムカシガエル

ぽかんと開く戸口気は確かイカも乾き

ニーチェ発狂後の世に旗持ち寄り風見

空に歯車の青く満ちて芥川自殺

肌一枚譚語る神主の縒られた妻

辛辣に丘をくすぐる無言劇

蝶の痴態と噛み合う軍港二度と目覚めず

零超えてぼくら同じ誰かの分身

地下をゆく感覚の鮭である泥流

中腹裂き噴き出す楓の明かりでオペ

反射面降り積もり湖底都市の除夜

粘る櫛の彷彿と黄泉路まで白く

赤子の芯きれいに抜け煮えたぎる池

満身創痍の犬や人あらん限りの老い

蛾の根幹剥き出して肌理敬うべし

所詮輝度も持たぬ選択範囲の怪異

2017-04-27

そこら中花柄に凧々あがれ

千切った紙の断面の無数の爪を剥がす

裸足でいるのが怖い黒いゼラチンの昼

ガラスの破片は薄く大樹を押し来る音

鈍痛のラッパから棘のあるホース

膣然と熟女満たせば皆丸刈り

疾風が運んだスペアキーだが手袋だけでは

五感に時雨が撥ね図形の辺さえ過ぎゆく

魚類の断面色失い港を装う

塩レンガ区に消息あり積んでは戻し

バレーの滞空香る首都に陥落の危機

第五斜線に笑顔錆びて通じる電話

肉を埋めればコロッケみたいだよ草原

押し黙る一度を縫うとは鳥の末路

朱塗りの和をザリガニが食う驕り久しく

おとめ座銀河団型脳漿澄み渡る

砂塵と川一縷に貴族の目紫

行き止まりに朽ち果て無地の屏風残す

食用蛙に鉛筆当て鳴き真似の類い

ノートを野と音に分け象の鼻は長い

指紋で嬲るガラスのカレンダーの翌月

水を吸う高齢者の背丈を這う皺

日々と木々がすり替わる虎の威に毒され

橋をくぐり迸るコバルトポルノ

大麻畑の静かな晩餐日誌焼く

狐の業が降る溝へ凄まじく住む

爆風の幽霊磨く輪廻の溝

刑区の賽の目を凝らし夜霧のラミアへ

穴のない嗅覚コラム切り抜いても

雪渓に面反射する渡し守

二日後に柚子切り落とす印は菱形

見覚えが浮き輪を洗う焦土へと

生爪を茶渋で濁す鶴の媚態

高麗人参束ねる腕時計はデジタル

パンカレーの待つ小屋墓を毟りつつ

鈴の音鈴自体を吊り分厚い噴煙に戸

園とろけて豚という推測が立つ

白紙に一滴コーヒー染みて届く胎教

舌の根まで青き観光絵図繚乱

灼熱を断つフクロウの心わずか

光よ光この世の椰子柔らかく無害

芯の一部遠ざかり練る銀の河

シンナー擬態する黴・音符・黴

岬で木馬揺れているさよならの代わりに

フラスコの銀ひやひやと爪を伸ばす

首のない犬に吠えたくなる湿地

らくがき帳を悪鬼はみ出す難燃性

蝶の位相代わる代わる割腹を乱す

罵声幽か空雲山大地どん底

青褪せてくっきり人さらいに揺られていた

どの街路樹も稲妻のコピー石化せよ

星の肌蹴り破る光より速く

概して花は咲くのだろうぐしゃぐしゃの告知

傍受息苦しく盲点華々しく飾られ

肥えて髭もじゃの金歯にニンフうつし世の果て

村雨に箸を止めシート式出棺

爆殺が金環結ぶ庵の責

コーヒーこぼした黒い腕力だ盆地へ国へ

さも息づくように見せかけ巨石のフーガ

櫛で揃う身寄りも日和もない白髪

空き家繋ぐモールス信号聞くために

死後もなお十年毎に工具類

御大のっしと陸に売春して息む

雌の自覚魚捌くとき目玉残す

茎若く祭司の思春期先走る

鉄と鉄分交換し鉄橋に海

遠巻きにリボン捩れて左利き

帝亡き砂漠を噛むオフィスチェアのキャスター

白々と若いトマトに教会建つ

湿る目が和紙を見ている蛹の中

苦み合う四つ葉に綺麗な火の手回す

肉を貸す黒毛の一族とは知らず

ガラス詰めたバケツ置く名はエレベーター

サロン潔癖ぶつほど濁る唾額装され

田明かりへ空気を発語する蛙

膨張する星の地平に霧幾何学

思念大暴れに無層演じ樹上の枝垂れ蛸

掘っても地は逃れ得ず門の一部ということ

絵を書き窓を打つ同じだ毎日が印刷

絶唱終えて夜会服脱ぐ三半規管

鳥の破裂前線北上カフェ閉ざされ

行く手阻むざらざらは祖父だ布団があるから

徹底的に晩節汚す蜂のヘドロ

人形飛躍する落差の空酢に漬け込む

海の色はなんですかニコリともせずナジャ

建てられた素焼きの丸い腹ぶらり

鹿逆走畏れ多くも人生を

フッ素吐きトントンツー鬱病です鬱病です

広場にただひとつ長細くあれベンチ

皮膚の皺に舞いの痕跡杖奪う

祖霊迷うサッカー放送する山奥

自我だったら流れるだろう嘆く形の岩

酸育む緑豊かな湖水地方

押しピンで支流つねる全妊娠者

人間十八十九の頃黒ずくめで失脚

焼けば掛け軸太政大臣の鼻くすぐる

老衰とは天衣無縫ゲラゲラその他

生きながら血垂れ帯抜く覚めない夢

優しいビルの空に鞠弾み図画も病むのね

美人は虚の壺に角があるとき生える

2016-12-30

不断の旅行いつ生け花の気は済むのか

斧を頭へ夜明けのビームのパーティーだ

漆黒無限言行不一致里帰り

宇宙・空中の語弊にロミオという装置

眼も裸に葡萄の実と艶めき合う俘虜

明滅する欠片の数億倍の理系

拡大されたメビウス一家無心の脈

脳にきらきらした髪そこ右に曲がって

巣へ砂を運ぶ蜂まざまざと生きて

誰かがわたしの背中を崖からはピアノ

獄外に金文字孕む食人

リヴァイアサン剥くと椋鳥にまさか群れか

日溜まりに笊なき他流試合の甥

男神宿る糠ぶちまけ借家の時報

水だけではプールとは呼べぬ鉋の中

骨も外も白いはず車輪付きパンダ

世にも軽やかな音して広く問うトースト

殿は池を渡るクレヨンで描かれつつ

買うと増える靴べら近くするために

異端の呼吸浅く除名されトカゲとしても

人間根絶した行列移ろう玉虫

肉の会幾重に開く派手な種

愛ぬるく無言無釈迦の麺飛び散る

作務衣南北に引く耕運機畦に裸体

夕冷めた街を握れば沼に脈

薄い頬に長い舌透けて子種の皿

老婆の皮雪原においたわしやと震える

銅の光先生もおかわりなく殴る

夭折その響きで押す暗がりの振り子

行き来自由頭文字は絵だ真っ赤な壁だ

熱の揺らぐ椅子の断絶期にグッピー

海却下して踊る屹立の寮母

軋み風の寒暖をどこまでも毛艶

絵付け師筆引き攣らせ友にならず歯を見せ

離れから合図の髭が伸びている

鏡の舞台に天命ジグザグ兜を脱ぐ

声がする木暗さしかと立方体

袋ふたつ中身は無人平方根

熱でぬいぐるみ弾けバス傾く陰の発語

下流全域人影一欠字十七

温床に多脚の鳩湧き森癒す

着衣破く部族の鍋は未知の鉄

街は怪獣の抜け殻常に壊れている

救いの気球に吊り下げろという無言の肺

巨蝶射す生首にも宴の帳

祖霊を待つ農奴見知らぬ藍連れて

焼いた筆で描く濁る書庫の足りている罅

首をさする電車我がドラキュラの滅び

花群れるごとくぼんやり太る鳩

剥き身の包丁近所に真っ平らに突っ立つ

緻密な昆虫とは計画午後六時二分

また孕むか割り箸割る音吸う袋

街宣車シュレディンガーの猫も無言

一夜は下衆のために証として歌留多

虹炙る野火にゲラゲラ笑いの燕

地割れが噴く紙二重の色した宇宙

日溜まりの器物損壊して奏でる

眼差しは果汁次から次へ皿

泥絵の奥塩貯めて樽の天横這い

人体真紅の出来映えビニールハウス無毛

イルカ斜視に紛れて刺身となる匂い

蟹を焼くいつか巨人が倒れるまで

暴れる男の肉体に星空の気配

白く時化よと警棒で打つミシンの春

十字蝋にあやつら操られて褥

想像上の脳も思う中間地点

焼き畑に家老の分厚い裸騒ぐ

出任せに黄昏よりも昏い児童

松そこへ武術究めて二色刷り

麓百回捏ねてその都度不敵な粘山

リンリン縛る泉の緑の炎の林

太陽系回転を忌む異境の馬群

病臥膨らみモマ飛ぶ虚空へおもちゃのチャチャチャ

往復ビンタで問う川面に否、否と化身

宝刀芯を抜かれ金銀の空模様

波は塵として似つかわしく墓の流線

砂糖よ顎を撫ぜも爆ぜもせよ狐に代え

他人であり歯型を持つ風前の自我

六畳一間恥部は完全なる球体

自転車自転車ぼく自転車おいしいガム噛む

うお座の暴力には乳白の真心あり

縄跳び垂れる鏡に硬直した供養

墓の母と呼ばれてスーツ干せば棒立ち

頭蓋裏の署名にて月読を恋う

お襞様しゃなりしゃなり癌撒き散らす

クジラ暮らすパラオの東に砂明かり

胸ひらく舌禍に古代都市を見て

春の山へ行く同語反復しながら

ボールのどこが裏かただあり従フと

鬼婆も傘を差す砂利過多なる世

ゴミ歌留多鉄粉でまた来ましたと霊が

欠損主義手探りに街のハイバネーション

雨中没するまでフラメンコレコード回る

紐状遊具谺せず山にもう一台

首長族の夜這いに揺れ果樹らも慟哭

窒息ブロックまたの名を段差果てしなく

こけしで突く天体どちらもぼくの手を離れ

窓の外へ巨乳図画貼る宿の水

桃を削り狂うべき鷲の追いよう海に

歯牙ねぶる串刺公の滅びた舌

 

二乗千年はoldsoupことkkshowこと黒川排除(昔から)書いている川柳です。