【新譜紹介】”Fields” Jason Kahn

omay_yad2007-02-11

タイトル:Fields
アーティスト:Jason Kahn
レーベル/番号:cut/cut019
制作情報:CD/スイス/2007年

ジェイスン・カーンはドラマー/音楽家であるだけでなくインスタレーションや絵画も手がける。この作品は自身のレーベルCUTから出された2005〜06年間の録音集である。曲は均一に持続音が続く内容だが、そこには数種類の音が重なっている。その各層が少しずつフェード・イン/アウトしていくので音響の多層構造が見えてくる。ドラムの音や電子変調された振動、フィールド録音素材が4、5層重なっている。これは絵画のマチエールを眼で体験するようだ。ここに収録されている各曲の音響は空間的ではなくオールオーヴァーな絵肌を意識させる。抽象画の表面に近づいてどのように画家が塗っていったのかそのプロセスを見ることに似ている。曲の時間的構造はワン・コード的な単純なものだが重なり合う垂直構造は複雑である。各音響の推移に注意を払って聴くと平面的な広がりとミックスによる音楽の変化が聴こえてくる。彼は自身の画家の眼によってこの作曲を行ったのだろう。
CUTの全てのジャケットはジェイスン自身のシルクスクリーンによるものである。