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2018-12-05 『南島イデオロギーの発生』(村井紀 福武書店)再読

柳田の“南島イデオロギー"は、アイヌ民族問題と「日韓併合」問題とを排除し、消去することで成り立っているのだと、村井紀は言う




P36

一九一九年の三一独立運動は都市部よりも農村部で盛んであったことはよく知られている。零細な小農民たちは役場を襲い土地の登記簿や強制的な作付け台帳を焼き払い、抵抗したのである。さらに関東大震災の犠牲になった朝鮮人たちとは、そのような小農民たちが土地を追い出され、日本に難民化して流入し、難に遭った人々であったのである。

 つまりこれらは柳田が策定した「土地調査事業」によって土地を追い出された小農民たちの「事件」であり、例えば農村部の三一独立運動こそは、『遠野物語』序文に言う。「山人」の"謀反”、まぎれない「陳勝呉広」の反乱だったのであり、さらには関東大震災の虐殺は、そうした「山人(朝鮮人難民)」の「反乱」を恐れた、「大衆」・「庶民」が、つまるところ柳田の説く「常民」たちが、「自警団」を組織し、被害妄想の上に引き起こした、われわれのスキャンダルだったのである。


P29

要するに彼は「日韓併合」に関与することで、自らが見いだし、また提出した、近代日本の植民地主義がもたらした異民族問題(なお、柳田は被差別部落民を古代異民族の末裔だとしている)を、なんとかこの島々(南島)で自ら隠蔽しようとしたのである。

では、少数者、沖縄の人々の現存はどうであったか。(中略)柳田にとり「原日本人」だけが重要であって、実際には彼らはやはり切り捨てられるのである。


P30

つまり「南島」はなにより「山人」(植民地問題=異民族問題、直接的には「日韓併合」を)消去し、同質な「日本」及び「日本人」を追求する柳田が、いわば「政治」的に作為した場所なのである。

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