今日のおむすびさん vol.1

今日のおむすびさん、高橋素晴(たかはしすばる)氏。


鹿児島で塩をつくっているひと。
初めて会ったときは、10mはあろう巨大ブランコを竹で作っていた素晴さん。
こどもの頃の冒険の話から、いまの鹿児島での塩や家族の話まで、
魅力的なオトナ第一号として、おむすび日本でぜひ紹介したいひとです!!



高橋素晴さんの紹介
1982年生まれ、環境活動家、社会運動家
NPO法人アースハーバー代表、天然塩・釜元「黒潮農場」当主
環境問題を中心に様々な社会問題に取り組む。
小学生の頃より、カヤック佐渡海峡を横断、自転車で新潟一周。
中学生ではヨット単独太平洋横断を世界最年少で成し遂げた冒険家。
中学では不登校気味だったが、通信制高校に在籍し大検取得。
新潟で自動車整備工場を経営。その後、福岡工業短期大学部へ進学。
大卒後、ソフトウェアメーカー、NPO勤務を経てNPO法人アースハーバーを設立。現在は、鹿児島の坊津にて塩作りで生計を立てながら、自然の恵みを自らの暮らしを通して伝えて生きる2児の父親。

◯出身地はどこですか?
新潟県白根市

◯すきなおむすびはなんですか?
しおむすび

◯どんなこどもでしたか?
とにかく屋外にひきこもっていました。山とか川とか。
小学生の時から旅をしていて、6年生で新潟県一周1600kmを自転車で16日間かけて完走。中学生の時、ヨットで太平洋横断。高校でバイクに乗り始めてからは、日本全国津々浦々まわっていました。
どんな時も、ワクワクすることを探求する反面、悶々としながら今後どう生きようかと悩んでいた時期でもあります。高校生のとき祖父の会社を引き継いで自転車屋さんを経営していたこともありました。子どもながらに、どこで、なにをして生きて行くか、生き方についてずっと考えていました。
今後どう生きようかという意味では、いまでも悩んでいるかもしれないな。

◯こどもの頃、夢中になっていたものってありますか?
中学の頃は、ヨット、自転車、ものづくりとか。高校になってからは、バイク、旅、エンジン修理や機械、構造の勉強とか。とにかく色んなことに興味がありました。

◯家族について教えてください。
父は、元々陶芸家で永遠の少年のような人。母は、仕事もできて家庭を支えて何でもできる人。母には、「お父さんのようにならないでね」って言われて育ったけど、本質的には父親似かも。
現在は、妻と2人の子どもがいます。子どもたちは、塩作りの手伝いをしてくれますよ。

◯現在の活動について教えてください。
大きく分けると、塩づくりとNPO(アースハーバー)の運営かな。
塩作りは、全ての作業をひとりでやっているのだけど、毎日同じ日がない位。
現在4種類の塩を作っています。塩を炊くときに使う薪割りから、海水のくみ上げから、炊き上げまで全てひとり。全て独学だから、参考にするものはあっても、誰かに教えてもらったりはありませんでした。塩づくりの他に、3度のご飯づくりや農作業、梅やびわなどの季節の加工品やNPOの運営やイベント運営などしながら毎日過ごしています。

◯なぜ、塩作りをはじめたのですか?
まず、海に関わることがしたかった。あと、塩というものが、人間の根源に携わるもの、生きていくために必要なものだからかな。子どもたちの学びの場を作るなかで、より実際の生活に近い、有機的な生産をしながら、それ自体が学びになる場を作りたかったんです。
 綺麗な海がないと塩は作れないけれど、なぜ海が汚れるか?それは全て人間のライフスタイルからきている。海を守るように生きること、海の恵みの象徴である塩を作ることは表裏一体でいいなと思ったんです。

 自分にしか出来ないことが、それぞれ必ずあるので、それをしているかどうか常に自分に問いながら生きています。問いや迷いは今でも常にあるけど、自分なりの生き方を創造することが楽しいのかも。

◯10年後は、どんなオトナでありたいですか?
塩作りが現在3年目ですが、自分の中では10年がひと節目。いまやっている塩で、きちんと暮らせる人間になりたい。自分の食べ物を自分でつくって、季節の恵みをちゃんといただけるような暮らしがしたいです。<参考資料・リンク先>
天然塩・釜元『黒潮農場』 http://simple-salt.jp/
NPO法人アースハーバー
http://earth-harbor.net/
それからー14歳太平洋単独横断ー
高橋素晴http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4817201770/hatena-hamazou-22/


☆ インタビュー後記・・・
インタビューをさせていただいたのは出逢って2回目の時でした。
子供の頃のお話は、聞けば聞くほどにビックリするような旅や冒険のお話が
飛び出てくるけど、素晴さんはいつものように淡々と話してくれます。
14歳で、しかも単独ヨットで太平洋横断なんて、普通なら考えもつかないような冒険も、素晴さんはまるで隣の家に遊びにいくみたいに当たり前のことみたい。ご両親もユーモアのある方達で、素晴さんのヨットの無線が通じなくなった時でさえ、「素晴は大丈夫」と、ゴール地点のアメリカでのんびりお買い物をしていたそう。よっぽど肝の座ったご両親なのか、素晴さんの強運を信じてなのか。どっちもなのかな。。。

今回、インタビュー後では、持参していただいたお手製のお塩を使って、見事な手さばきで、あっという間にそこにあった材料を、見るも眩しいおいしいお料理に変身させてくださいました!!

素晴さんの暮らしは、様々な冒険をこなしてきたからこそ辿り着いた、最もシンプルな自給自足のカタチ。削ぎ落としていく先には、こんなライフスタイルもあるのですね。本当に不思議な魅力満載のひとだということは、逢えばもっとわかるはず。人間離れした神業に驚くことも多々ありますが、本来の人間ってこんなものなのかなと、素晴さんと一緒にいると自分のほうが“人間離れ”しているのかもしれないと思ってしまいます。彼の生き様から、「生きてゆく上で本当に必要なものとはなにか」、もう一度考えてみてはいかがでしょうか。

素晴さん、本当にありがとうございました!!



インタビュアー:よしのかおり