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理系弁護士の日常

2013-01-06

「新商標」と商標法改正

 昨年の年末に、商標法改正の準備のため、産業構造審議会知的財産政策部会商標制度小委員会報告書が公開され、パブコメの募集中です。

 

 今回の改正の目玉は、商標の類型を「動き」、「ホログラム」、「輪郭のない色彩」、「位置」、「音」(総称して「新商標」)に拡大するという点にあります。なお、「新商標」とは別に、「非伝統的商標」という概念も用いられています。「非伝統的商標」は、「新商標」よりもさらに広い概念であり、「におい」、「味」、「触感」、「トレードドレス」なども含まれます。


 日本の商標法の特徴は、商標を形式的に定義し(後述の2条)、本質的な機能である自他商品等識別力を登録要件(3条)としているという点にあります。仮に、自他商品等識別力を備えたものが商標であるという定義を置くと、「新商標」や「非伝統的商標」という概念を持ち出すまでもなく、商標の範囲は時代に応じて拡大します。しかし、日本の法制度の下では、新たな類型が生じるごとに、法改正が必要です。

(商標法2条

この法律で「商標」とは、文字、図形、記号若しくは立体的形状若しくはこれらの結合又はこれらと色彩との結合(以下「標章」という。)であつて、次に掲げるものをいう。

一  業として商品を生産し、証明し、又は譲渡する者がその商品について使用をするもの

二  業として役務を提供し、又は証明する者がその役務について使用をするもの(前号に掲げるものを除く。))

 このような立てつけは、保護対象が明確である反面、時代に応じて法改正が必要であるという問題もあります。

 さらに、特許庁での審査・審判はともかくとして、権利行使の場面では、自他商品等識別力を発揮しない態様での使用であっても、形式的には商標権を侵害するという弊害が生じます。このような場面については、いわゆる商標的使用論及び26条1項で手当てがなされてきました。

 今回の改正にあたっては、商標の定義を変え、自他商品等識別力を商標の定義に加えるという案も検討されていました。しかし、定義規定改正は先送りされ、早急に改正すべきとされた「新商標」に絞った法改正が予定されています。

 「新商標」は、見本、図面、デジタルデータなどの手段によって、商標を特定することができます。

 その一方、味やにおいは、データ化することは困難です。文章で味やにおいするとしても、類比判断をどのように行うのかという問題が残ります。味やにおいを文字表現に変換した後、文章同士の類比判断をするのでは、正確な類比判断は困難です。結局、非常に狭い権利が成立し、権利行使にはあまり役に立たないかもしれません。

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