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理系弁護士の日常

2014-02-17

新薬開発、日本に回帰?

 今朝の朝刊の一面に、「新薬開発、日本に回帰」と題する記事が出ています。もっとも、その記事の内容は、タイトルとはやや異なる印象を受けます。

 かつては、海外のメガファーマは、日本に研究所を設置し、研究者を雇用して、自らR&Dに取り組んでいました。しかし、従来型の低分子化合物によるブロックバスター狙いの開発が行き詰まりをみせるにつれ、R&Dの再編が不可欠となり、日本の研究所は軒並み閉鎖されました(日本の職務発明の法制度が一因であるという主張する論者もいらっしゃいますが、(仮にその寄与が有るとしても)決定的な要因ではないように思います。欧米の企業にとって、言語が異なり時差もある土地に常設の研究施設を維持するよりも、自国又は研究の活発な地域(例えば、ボストンやケンブリッジ)の施設を優先するはずです。)。

 今回、海外のメガファーマは、日本に研究所を再設置するというわけではありません。日本国内の大学及びベンチャーとの提携のため、少数の人員を配置したり、日本の提携先と共同で開発を進めるということのようです。

 近年では、メガファーマでも、R&Dを全て自社内で行うのではなく、大学、公立研究機関及びベンチャーと提携してシーズを探すという方式が広く採用されるようになっています。この方式では、各地に自前の研究施設を保有する必要はありません(もちろん、自らのR&Dのためには、何処かに自前の研究施設を保有する必要はあります。自らの研究開発無しに、他人の研究を評価することは困難です。)。リエゾンとして、少人数を配置すれば足ります。

 なお、日本の薬事承認の審査期間が短くなったことのみを以って、日本に開発拠点が戻ってくるという解説は、必ずしも正しくないように思います。海外のメガファーマも、研究所は閉鎖したものの、臨床開発の部隊は、日本に残しています。現在のところ、日本がブランド薬の大きな市場であるため、日本の当局には申請したいと考えるのではないでしょうか。

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