斧屋のアイドル領域 このページをアンテナに追加

2008-05-20 天国ですか地獄ですか

ヤンヤンをまだ買えてない。

[][][][]場のルールはどのように形成されるのか

MELON GREETING・渋谷O-EAST

オールスタンディングは嫌なのだが、たまたま週休でBuono!も出るので見に行く。

渋谷O-EASTなんてところは初めてだ。渋谷のそこらへんはラブホばっかりだが、土地がデコボコしていたり猥雑としていて、オシャレ感とは全く違う毒が感じられて、大通り沿いのいい子ぶりよりは居心地がよい。

到着したら丁度整理番号付近を呼んでいたのですぐ入る。中は蒸し暑い。結構な密度なのに、「前に詰めてください」と言われる。

メロン記念日の曲がよく分からなくなっていた。僕のメロン記念日は2年前くらいから止まってしまっている。

なっきぃがいないので、比較的ライブ中全体をゆったりと見る感じになる、と言っても1メートル先では人がピンボールのようにはじけ飛んでいるのだが。

Buono!の時の狂乱は予想通りすさまじい。押し合いへし合いど突き合いでこける者ありのしかかる者あり。天国ですか、地獄ですか。そこに混じっていこうとは思わない。もし℃-uteゲストだったら、最前まで行ってなっきぃを汚い者達から守るのだが。

桃子のMCに勝てる者はなかなかいない。だけど、村田さん桃子をうまくさばいた。「嗣永プロ」という言葉村田の口から出るとは思わなかった。村田村田言葉を操ることにおいてはプロである。愛理は、斉藤さんと柴田さんから誕生日のメールが返って来ないことを指摘され、ライブ中の雰囲気を明らかに壊すほど動揺した。だけど、僕らはこうした「楽屋でやれ」、ということをこそ好むのだ。愛理の動揺の大きさに動揺して、斉藤さんも気を使って愛理に大丈夫大丈夫と伝えるのだが、そこらへんの微妙な空気がたまらなくよい。ほとんど引き付けを起こしてるんじゃないかと思うような愛理の興奮状態が、かわいい。愛理を動揺させた斉藤さんは、あとで稲葉貴子の告知を一つ飛ばしそうになって今度は自分が動揺することになる。稲葉斉藤愛理っていう上下関係もはっきり見えて、なんだか面白い。ところで稲葉は追加ゲストとして出演が決定したのだが、喉を悪くして大きな声を出せない、という事態、メロンサポートして歌をカバーする。こういう時、とりあえずヲタは優しいことになっている。ヲタは自分たちが能動性を発揮できることが結構うれしいのだ。

さて、ライブ終盤になると、緑色のジャケットを着た係員が前の方にそろそろと入ってきて、「さあ恋」あたりで暴れる客をつかんで注意を与え始める。いよいよの「This is 運命」では、ステージ柴田に何かが投げられる。柴田は少し驚いて、その後は落ち着いてそれを舞台袖に投げた。その後、曲中のセリフ「いい子でね」で柴田が客席を指差す表情が、曲中の演技なのか本当に怒りも込めているのかどっちとも見えた。

場のルールがどのように形成されるのか、という問題。少なくともそれは、会場・イベント運営側が決めることではない。*1モッシュダイブはおやめください」というのは空疎な響き。現場を支配しているのは、「暴れたい奴は前へ行け」というルール。はっきりと、どこからが暴れるゾーンかが自然に決まっていた。例えば2003年ハロ現場で隆盛を迎えたヲタ芸は、明らかに運営サイドからすればマナー違反であっただろうが、取り立てて厳しい規制があったとも思えないのに次第に収束してしまったように、場のルールがその場にいる者達によって決定、展開していく様は興味深い。そこはただルールを守れ、というだけではどうにもならないなにかがある。そもそも、どういったことが「ルールを守る」ことなのか自明でないということ。「迷惑をかけない」とか、「危険なことをしない」とか、そんな抽象表現では分からないのだ。そういう、「守るとはどういうことか」という問題があって、それに加えて「そもそもルールを守るか」という問題がある。明らかに狂喜乱舞するためにしつらえられた場において、お行儀のよいルールなんてものは形式的なもの、運営側の責任逃れのための文言に過ぎないということは我々が体で知っている。Perfumeだったら「あ〜ちゃん」が「死者が出たら面白いのに」とか言っちゃうんだ、こういう時。

それでも、演者になにかが投げられることはダメだ、と思う。狂喜乱舞のお祭りの、つまり無秩序における快楽がまかりとおる場において、どんな最低限の倫理が模索できるのか。ステージしか見えなくて、聴衆に埋もれて人波に浮かんでいるような感覚の中、曲によっては飛んで押されて空間感覚を失って、次第に時間感覚もなくなって一つに溶けていくような場っていうのは、要は全部自分になって、全部宇宙になっちゃうということなのだから、他者がなきゃ成り立たない倫理の構築なんて、不可能なんではないのか。

結論はない。ただ、世の中は「他人に迷惑をかけるな」というルール普遍的なものとしない。今、NHK結びの一番の後、四方八方からざぶとんが舞い飛ぶ光景を見てそう思う。

*1:非常にタイムリーな話題として声優榊原ゆいさんがライブでのオタ芸禁止をブログで表明、というのがある。http://blog.goo.ne.jp/yui-nyan_lt/e/fdc1db11a048dc825386f4dd38b43bdf 後で時間あればこの件も考察したい。

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