吉田三傑2019

2018-11-17

伊予吉田の歴史と文化 古文書『浦上手控』『先知録』の祭礼記述

21:22

(吉田藩の古文書を読む会)の秋田通子さんは吉田中学同級生で、過日『浦上手控』と『先知録』を贈呈して頂いた。女史は古文書等で伊予吉田藩の歴史を調査・研究して後世に伝えている。難解な古文書郷土史家仲間と翻刻、編纂している。
この著書に伊達藩の祭礼の事が記載されているので引用したい。

『浦上手控』は、伊予吉田郷土史料集・第五輯(しゅう)「浦上手扣」で平成3年吉田町教育委員会が発行、芝正一氏(郷土史研究家)が浦上家の反古を整理中に古文書史料「手扣」が見つかったもので、郷土史家たちが翻刻、編纂した。八幡祭礼に関する所を記述する。
六十三、御初穂之事 但八幡祭礼神子太夫江賄米之事
 一、金百疋 (*現10万円と推測される)八幡御初尾
     是ハ延享四卯年二月七日御社参之節如斯尤初卯故也
 一、銀一両  同断
     是ハ卯九月祭礼之節御代参御初尾
一、米弍俵  八幡祭礼料
但寛文四辰年御建立祭礼始ル御蔵所へ定引付出有之

外ニ祭礼之節神子太夫弐拾五人九月十四日之晚ゟ(より)十五日之晚迄賄料日数
一日半一日壱人ニ付九合ツツ被下置之尤例年神主本手形ニ而御蔵所ゟ相渡
但寛文年中ゟ先年ハ毎年御郡奉行中へ引付出候処
中興ゟ本手形-ニ而相渡事古来之引付者左之通
一、八幡祭礼ニ付御町御村ゟ大夫神子罷出御神事相勤候間当九月十四日之晚ゟ同十五日之晚迄人数弐拾五人壱人ニ付弐人扶持ッゝ立間村清助方-ニ而賄重而御代官方ニ而差引御勘定仕出候様可被申渡候仍如件
寛文八年申九月十二日     尾田 五左衛門
御郡奉行中

『先知録』は伊予吉田藩史料「先知録 天地人」として、平成25年「吉田藩の古文書を読む会」が発行した。編者の秋田さんは編集後記で、「本書のような郷土史料の翻刻本は、小説と異なり一般の方にとって気軽に手に取って読むのは難しいでしよう。でも時には、自分達の生活している地域の歴史や文化に興味を持って、歴史との対話を楽しんでみてはどうでしようか。
はるか二百年前に筆写された書物が目の前にあり、その持主の侍が公務のマニュアルとして懐中からこれを取り出して確認している情景を想像するだけでも楽しいものです。」と語っている。
先知録は、伊達藩主五代伊達村賢、六代村芳、七代宗翰の三代に亘る頃の史料で、吉田藩の公務・年中行事など月ごとに記されている。
上巻 九月には八幡神事として、
八幡神事供奉之者申出之事
一、九月十日頃八幡神事之節、神輿供奉之御徒士両人申付候段、両間支配ょり名元書付ニノ申出有之
神輿供奉之御徙士之儀、老中ゟ申達候上、名元申出候儀も有之候得共、是者毎年相定り居候事故、老中ゟ不申達、本文之通相成候亊
(朱書)
「前度ハ祭礼之節、市町見迥り之御徒士目付も申付候段両間支配ゟ届有之候之処、吟味合之上文化八未年九月九日以後者支配ゟ申達候儀ハ相止、御目付中ゟ直々御徒士目付江申達候之様相定、其旨支配御目付江も申達之、仍之申付候段之届者年々相知候事ゆへ届ニ不及候段も申達置」

●同祭礼ニ付御武器指出候節介申出候事
一、八幡宮神事ニ付御武器指出候ニ付、御持弓組.御持筒組之もの人数差支不足之節ハ、両組御物頭中ゟ月番老中江申出候ニ付、御持弓組江ハ御先弓組ゟ介申付候段、預之御物頭江申達之
(朱書)
「先年者両組不足之節ハ元〆中ゟ介之義申出有之処、寛政之始ゟ両組御物頭ゟ中出候様相成ル、御持筒不足之節ハ御猟師より介申付、是ハ寛政七卯年御猟師支配を御持筒頭江被仰付之旨、其時分ゟ御持筒介ハ御猟師江申付、是ハ月番老中江不申出支配限ニ申付候也
御側長柄組不足之節ハ、先年者御物頭ゟ申出候上御先柄組ゟ介申付候段、御先長柄預之御物頭江申達候処、寛政七未年御先長柄組之もの御鉄炮組ニ申付、御先長柄ハ中間之人江帯刀指免長柄之者江申付候ニ付、御側長柄組加人ハ御小人組江申付候様ニ相成候段、祭礼之節も介御小人組ゟ相勤、仍而老中江介申出候義ハ相止、御側長柄組預御物頭ょり御目付江直々懸合取斗有之也」

●同神事ニ付当日休日之事-
一、九月十五日御用日ニ候得共八幡神事ニ付御用場其外諸役所共出座無之
(朱書)
「何等差支等有之、祭礼相延候節ハ十五日に出坐有之、祭礼有之当日出坐無之事」

●同祭礼済届之事
一、同日祭礼練物有之相済一統相変義無之段御目付•寺社奉行ゟ届有之
一、同日朝八幡江御代参御中老相勤、御初穂白銀壱両被備之
(朱書)
「御代参騎馬本供之事、服紗麻上下着用」
一、同十六日右祭礼御札神主ゟ指上候段御小姓頭ゟ申聞候旨、例之通取斗候様及挨拶

解説の項で補足紹介がなされている。
(五)祭礼
1、八幡宮神事
祭礼日は、九月十四日・十五日 (現在は十一月三日)。
九月十日前後に神輿供奉の徒士ニ人を決定。御持弓組.御持筒組より武器の提供。人手不足の時は、御先弓組や猟師の助力がある。祭礼当日の十五日は藩役所は休日となる。
九月十四日朝、藩主八幡宮を参詣し御初穂金百疋を供える。藩主不在の時は、中老が代参。
橋詰(陣屋前の橋ヵ)にて藩主が練物を見物、時には芝居見物もする。
八幡宮祭礼の行列絵巻は、高月紫明・芝誠明・利根翠塢の描いたものが現存。神社の随神門は、六代伊達村芳の心願により文化十年建立。
2、吉野村蔵王権現祭礼(松野町吉野、蔵王神社)
祭礼日は九月(現在は十月第四日曜日、牛鬼.鹿.長柄弓鉄砲組などの練物が出る)。本書中に、練物は一時中断するが、安永八年に再興とある。
3、宮野下村三嶋祭礼(三間町宮野下、三嶋神社)
祭礼日は九月廿三日(現在は十月廿三日、鹿•牛鬼•四ツ太鼓• 鉄砲組の練りが出る)。
その年の模様次第で、見せ物や夜芝居が許可される。