初春歌舞伎公演「通し狂言 梅初春五十三驛」

今年の初観劇は国立劇場。166年ぶりに上演される五十三次もの、とのことで、ばかばかしくも荒唐無稽、既存の芝居のパロディで構成された不思議な演目だった。正直、よっぽど芝居(≒ここでは歌舞伎)好きでないと、元ネタを把握できずに楽しみきれない演目のような。イヤホンガイド借りたのは大正解という感じで、元ネタの解説から、五十三次ものの特徴まで、幅広い解説によって相当救われていたところがあった。弥次喜多くらいしか知らないからなあ、五十三次ものって。
そして開演前に鏡開き → 升酒のふるまいがあったり、休憩中にロビーで獅子舞が踊っていたり、新年初日らしい企画も色々と。獅子舞の口の中に御祝儀を入れると、お獅子が頭をかぷっと齧ってくれるのだけど、そうすると無病息災が得られるのだそうで、きっちりやってもらってきたりした。演目含め、まあ、こういうのもあるのだなあ、という形で楽しんだかな。お正月らしさは存分に満喫したよ。うん。
にしても、あんだけの場面数の4時間超の舞台なのに、三階席なら1,500円だなんてすごい。来週観る歌舞伎座は三階Aだから5,000円だけど、三階Bが取れてたら3,000円だった訳だし、浅草歌舞伎なんて2,000円だ。伝統芸能恐るべしだよ。皆、舞台が好きな人はもっと歌舞伎観てみた方がいいんじゃないかと思う。少なくとも、海のものとも山のものともつかない小劇団の公演にお金を払える勇気がある人なら、時々は歌舞伎も観てみたら楽しい気がするぜ。歌舞伎の役者の声の力には毎々震えが来るよ、女形の可憐な声とか、ホントすごいので。
そういえば、小泉純一郎前総理をロビーでお見かけしたんだけど、「朧の森に棲む鬼」のパンフレットでも、市川染五郎さんにコメントを寄せていたことを思い出した。三が日から劇場に来るなんて、お好きなのだなあ、ホントに。NHKの中継も入っていて、幕間にロビーで菊之介がインタビューを受けたりしていたけれども、舞台上での前髪だちの色若衆姿もさることながら、スーツ着用時の立ち姿の美しさにぐっと来た。うーん、いいもん観た。