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悪態の小部屋

ごはん日記:ごはんができたよ。

10*06*04

くるりライブ興行2010 〜地獄の団体戦〜/NHK ホール(2010.06.02)

3ピースでくるり観るのは去年の武道館ぶり。4会場5日しかやらないツアーの2日目で東京初日、すんごい充実した、会心、つう感じのライブでした。

何が充実してたって、先週発売した B 面集「僕の住んでいた街(初回限定盤)」を受けて、レコーディングミキシングも済んでるのにまだ発売していないという新しいアルバムからの曲と、7月に発売するシングル曲のほかには、c/w 曲しかやらない! とゆー極端なライブだったところです…!

「(ツアー初日の)愛知でね、『ワンゲルやってー』とか言われたりしてましたけど、ヤリマセン!」とか言い切るメガネにガーンて顔つきになってるお客さんとかもいて、そりゃあいわゆる代表曲、「ばらの花」とか「ワンダーフォーゲル」とか「東京」とか「ハイウェイ」とか「ロックンロール」とかとか…を聴きたい人いっぱいいるよねえ、と失笑。このライブのチケット発売になった時点ではたしか、まだ B 面集のリリース発表されていなかったんで、そーいうライブになる可能性を知らずにチケット取った人もいっぱいいたはずなんですよね…だのに!

でも、あの…別に通ぶるわけではない(実際通では決してない)んですけども、わたくし、くるり好きな理由のかなりの割合を c/w 曲が占めるとゆーよーな人間でして。「くるり聴きたいなー」と思って iPod 取り出すときはいつも、アーティスト名で全曲シャッフルして c/w 曲ばっかり聴いてたから、B 面集出ても「いつも聴いてるのとおんなじじゃないデスか!」という感じで。その分ライナーツを存分に楽しんだり(佐藤くんの文章がすごいよかった!)してましたが、まさかそこに重点置いたライブやるとは思ってなかったので、内心小躍りしたのも致し方なかったとゆー話であります。

実際、「The Veranda」(鍵盤の印象強いけどギター1本でもぜんぜんがっつりですごいすごいよかった!)も、「さよなら春の日」(オケ呼んだときの印象が強すぎて3ピースで聴けるなんてびっくりだ!)も、「サンデーモーニング」(Bメロのベースドラムのわずかな符点のグルーブがごりごりでたまらんかった!)(サビの佐藤くんのヌケのいいヴォーカルも!)も、「サマースナイパー」(バンジョーを爪弾くメガネ!メガネ!!)も、「ノッチ5555」(ナンバガばりのジャッキジャキのギターリフとドコスコなドラム!)も、「ギター」(佐藤くんがアコギでベースラインを弾くという反則技!)(「『図鑑』買ったよ…」の台詞を「『僕の住んでいた街』買ったよ、すばらしいアルバムだな」と置き換えてボボが語って♪当たり前じゃないか心血注いで作ったんだから〜ああ〜ああ〜〜♪とかぶせる岸田!)も…ってキリがないくらい、「まさか生で聴く機会に恵まれるとは思っていなかった」曲ばっかりが、結構なテンションと仕上がりで次々演奏されて、興奮しっぱなしの至福の2時間でした。ぽわわん。

なにより、「ガロン」やったのが!もう!ね……!!(身悶え)「図鑑」収録バージョンではなく、「青い空」の c/w バージョンだったのですが、電子チェロステージに運び込まれて来て、岸田が「再現するのがものすごく大変な曲をやります」と言った時点でまさか?とぞわぞわってしたら、岸田がホントにイントロ弾き始めて、ブリッブリのベースが重なってきたのでギエーと…あの、いろんな楽器が無秩序に無責任に鳴らされまくった、オーバーダビングの賜物の曲を…!と思ったら、すんごい真面目に、すんごいいろんな音を、すんごい楽しそうに鳴らしてて最高でした。

岸田はギターと鍵盤(をサンプラーみたく使ってた)と、一瞬ベースも弾いてたし、佐藤くんはベース、電子チェロ、グロッケン(鉄琴)、と大忙しでね。佐藤くんがいきなりベースを弾く手を休めて、スタンドに立てたままの電子チェロを弾きはじめたときも笑ったけど、フレーズの最後まで弾いて弓を床に放り出したときはもっと笑ったし、さらにそのあとグロッケンに向かってマレット(ばち)を構えた佐藤くんの背後に、ギターをぶらさげたままの岸田がすすすと回り込み、背後から佐藤くんのからだを挟んで佐藤くんが下げているベースを岸田が弾き、佐藤くんは正面に置いてあるグロッケンを鳴らす、という意味不明女子向け密着サービス!にも笑いました。岸田がグロッケン弾きゃいいだけの話じゃん!て思ったんだけど、たどたどしい運指で、フレットの押さえも甘めな感じで弾いたベースのもこもこした音色が曲にどんぴしゃにハマってたので、馬鹿か!などと思いながらもものすごい盛り上がったというしだい…まあ、佐藤くんの体の影に岸田がすっぽり隠れてる、という見慣れない光景に盛り上がったというのもあるかもですがね…!(わはは)

…や、そーいうのはともかく、よーするに、あんなぐちょぐちょに屈折した屈託と自省の塊みたいな、どろどろの膿みたいな曲を、すごく忠実に、でも理性的に、すごく楽しそうに演奏してたんですよね。楽器をおもちゃみたいに使ってるのに、はしゃぐでもなく真面目に、とつとつとしたソロを回しあって、必ず愚直に♪嵐の夜には 僕が迎えに来るからね♪の粘っこいハーモニーに帰ってきて…というのを延々繰り返していて、そのバランス奇跡的で、なかなかにぐっと来てしまったという話であります。演奏終わったあと岸田が「この曲ができたとき、ディレクターさんに『すごいい曲できたんですよ』『シングルで出したいんです』って言った記憶があるけど、出さなくてよかったです」って言っててまた笑ったんだけど、そゆので笑える気持ちの余裕が観てるほうにも確保されてた気がする。すごく居心地よく楽しめて嬉しかったなあ。

あとね、「イメージファイト」とかもやってた…これやるなら「青写真」やりゃいいのに、もしかして馬鹿…? とびっくりしてたら、「くるりの中ではよくいろんな人に聴いてもらってる『ばらの花』というシングルがあって、そのカップリングにどうしてこんな曲を入れたのか、今思うと自分でも不思議で…」と岸田がしみじみ言ってたり。「僕はノドが弱いので、佐藤くんに1曲歌ってもらいます」と言って「Blue Naked Blue」やったり(佐藤くんのリードヴォーカル死ぬほど久しぶり!)(たぶん武道館で聴いた「水中モータ」以来 5 年ぶりくらい!)(美声!美声!!美声!!!)やったり…と、回顧でもやけくそでもなく、ちゃんといまの自分たちとして、正直に昔の曲に向き合ってる感じの演奏だったのが、全部すぎょいよかったです。こんな曲をやるのか!って笑っちゃうかんじも、こんな曲生で聴けるとは!って血が逆流する感じも、どれもすごく前向きな感じで楽しめて、有名曲でワッショイワッショイと楽しんだわけじゃないのに、とても満たされた気持ちを味わえたライブでありました。

新曲は全部で5曲やっていたけど、どれも演奏が粗めでリズムもばらばらしてて、あんまりどういう曲なのかが伝わってこない感じがした。まだ、曲をなぞるのにいっぱいいっぱいで、きちんと届かせるだけの演奏をするまで小慣れてはいない印象。育ってないというか。でも、全体的にいまはストレートな「うた」を大事にした楽曲志向しているんだな、ということは感じられたので、その「いつ発売するのかも決まっていない」という次のアルバムと、そこに収録されているのだろう曲たちを練れた演奏状態で聴くのがすげー楽しみです。なにより、7月にシングル切るという新曲「魔法のじゅうたん」がさわやかでもあり切なくもある、正道勝負のポップチューンだったので、さぞやチオビタの CM にハマるのじゃろうと楽しみっていうかね!(ほめてますよ!)

桜を模した紙吹雪舞い散る中、岸田のいま一番の自信作だっつう話の最新音源「東京レレレのレ」ではじまったライブは、「くるりが結成したときからやってた曲」(岸田)=デビューシングルの c/w 曲だった「尼崎の魚」で締めくくられて、「いま」のくるりのいる場所がちゃんと見えた、充実したいいライブ、だったとおもいました。彼らはそこで、ちゃんと自分たちの情熱と向き合って、いい状態で作品を作っているのだな、と確信できて嬉しかったし、くだらないことをやり切って楽しむ余裕がいまの彼らにたっぷりある感じも好ましかった。彼らの来し方を、彼ら自身が否定でも揶揄でもなく捉えている様子は、この先に向かう気配とか熱量とかを感じさせるようで、ちょっと打たれてしまったというかね。佐藤くんのいまのメインベースだっていうプレベより、昔のメインベースだったというボディの塗装のはげたジャズベーを多用して、でも以前より格段に表情の豊かな演奏をしてたのも印象的で、なんとなく、「僕の住んでいた街」というタイトルが腑に落ちた感じもありました。

くるりのライブはヒリヒリしすぎているとバンドの状態が心配になる(ひどい!)んですが、一方、去年後半のツアーで、世武さんに引っ張られてヒリヒリ感なく、穏やかに演奏してるくるりを観たら「こんなのくるりじゃないんでは…」と思ったりもしたわけで。ファンちゅうのはきわめて難儀なものですが、たぶんね、痛々しいのは嫌なんだけど、痛みをぜんぜん感じさせないのは、くるりとしては物足りないっていうことなんだと思うんですよね。その「痛み」のバランスのいいところですとんと、「満足」に落ち着かせてもらえて、代表曲レスだのに、くるり観る楽しさが十二分に味わえた、しあわせな2時間でありました。うんうん。

やー、それにしても「地下鉄」聴けたの嬉しかったな、すんごいヴォーカルがよかったんですよ岸田の! なんかここ1年半くらい、岸田の高音がかすれてない状態でのライブって観ていなくて、今回もかすれてたんですけど、それをカヴァーする技術意識的に身に着けて駆使している感じがして、ひとりの音楽家として加齢とかとちゃんと向き合っている風にも思えたし。コンディション管理甘いなあ!みたいな嫌な感じはなく、それ以上に中音域の声のふくらみがすごく豊かになってきてて、この曲なんかはホント、一番よく鳴ってる音域でぐわって迫ってくる感じで、ちょっとね、忘れがたいくらいにすごく、すごくよかったんでした。

そりゃそうさ、風は薫る、踏み出したなら連れてゆけよ。

やあ、がっつり刺さったうただったことです。満!腹!

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