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悪態の小部屋

ごはん日記:ごはんができたよ。

10*01*07

パリ季記―フランスでひとり+1匹暮らし/猫沢エミ

パリ季記―フランスでひとり+1匹暮らし (天然生活ブックス)

パリ季記―フランスでひとり+1匹暮らし (天然生活ブックス)

風呂で読む本がなくて本棚からなんとなく手に取って再読、読み直しても面白かったです。

ミュージシャンコラムニスト映画評論家、等々、日本でいろんな仕事をしていた猫沢さんが、30過ぎに思い立ってパリに移住するまでと、移住してから直面した「日本人から見たパリのいろいろ」をまとめた本。金融機関語学学校住宅、食料、文化、等々、具体的な情報が盛りだくさんなので、パリへの留学とか移住とかを考えてる人だったらすごく参考になるんだろうなーと思います。

でも、わたしはそういう予定は特にないし、5年近く経ってることで、そういう具体性が持つ魅力はちょっと目減りしたかな、という風に感じられたのも事実。なので、面白がるポイントはそこではなくてですね…多分、猫沢さんの中に、日本のメディアで扱われがちな「パリ=シャレオツ」なイメージに対する反発がものすごく大きくあるからなんだと思うんだけど、「パリに住むのってこんなに大変ですよ!」「全然皆さんが憧れてるような街じゃないんです!」「でもわたしはそういう面倒臭いパリが大好きなんですけどね!」というのがにじみ出てて、そこがすごく読み応えがあったんでした。

なんというか、ダメ男のことを愚痴った挙句、「でも、アイツはわたしがいないとダメだからサ…」って嬉しそうに言う女の人みたいだわーっていう感じ…こんなにダメな男(街)なんだよ! というエピソードに、異様な熱量が込められてるのがすごくって、そういう描写んところは筆走ってる感じがガンガン伝わってきて笑えました。わたしは本当のパリを知ってる! っていう矜持みたいなのもチラチラ見えるけど、比較的筆致は冷静なのでさほどいやみにも感じず。多分、感じ方は充分感情的なんだけど、文章に落とすときに冷静になる習慣がついているってことな気がしましたが。

でも、買って読んだときよりこっちも年齢取った分、再読したら、なんでそんな面倒臭い思いしてまでパリに住まなきゃならんのか…という自分の中の気持ちは強まっていて、ああ、年齢とともに感覚保守化しているなわたし、と思いました。最初に読んだときと今だと、結婚したっていうのも違いとして大きいのかもしれない。でも、それを差し引いたって、パリならではの面倒臭さってとんでもねえな、ってオエってなったね…そんな思いしてでもパリじゃなきゃいけない、っていう目的がある人じゃないと、住むのがキツい街なんだなあ、と改めて再認識

でも、多分それって、パリ固有の面倒臭さにだけ起因してる訳じゃないんでしょうね。地盤歴史、背景、文化が違う国、街に移るときには、「そこでなきゃ」っていう強いモチベーションがないと、どこだって、誰だってしんどい。この本は、そういうことを根底にかかえているような気がしました。その証拠に、わたしはこれを読みながら、猫沢さんが「パリに住もう」って思ったモチベーションにまったく共感できず、自分にとってそういう思いを駆り立てる国、街ってあるかな…と考えた結果、出てきた「京都」って答えを終始投影して読んだら、すごく納得感があったもん。「パリ」を「京都」に置き換えれば、「なんでそんな面倒臭い思いをしてまで…」がすっと自分の感覚に馴染んで感じられた。そういう意味で、すごく楽しんで読んでしまいました。

その後猫沢さんは病気したり帰国したりして、仕事でパリにある程度の期間行ったり、また戻ってきたり、を繰り返しているもよう。世の中のムード(景気とか)も変わっただろうし、今だったらまた違った視点で「別の文化を持つ場所で暮らすこと」について書くのかな、とも思いました。読んでみたいような気もするし、深すぎて読みづらそうな気もします。うん。

09*10*05

大奥(5)/よしながふみ

大奥 第5巻 (ジェッツコミックス)

大奥 第5巻 (ジェッツコミックス)

3巻出たくらいのタイミングで読み始めてました。最初1巻立ち読みして、病気の描写が怖くて避けていたんだけど、やはり同世代のよしながさんがここまで腰据えて描くなら読もうかなー、とよくわからない理由で読み始め、でも感想とかうまく書けずにいて。5巻にしてようやくメモれる気分になったので書きます。

この巻でようやく、1巻で提示された吉宗の時代へのつながりが見え始めて物語構造が明確になった感じ。1巻から読んでいて、時代を遡っている意識自分の中でなかったんですよね。それは単にわたしが日本史の前提知識がないからっていうのもあるけど、単行本派としては、新しい巻が出る度に全巻でどうなってたのかよく覚えてない、みたいな部分もあって、今回5巻を一度読んだあと、「ん?」と思ったところを4巻、3巻…と遡って逆引きで確認し、その過程で4巻、3巻…で「ん?」と思ったところを2巻、1巻…と逆引きで確認し、というのを繰り返していって、ようやく話が通った、と感じました。

要はこの物語、1巻では家継が夭折して吉宗が8代将軍になり、いろんな改革を断行する中で、何故将軍女性なのかの経緯を調べる…というところから話が始まっていて、3代将軍家光の治世に飛んで、何故女将軍が誕生したのか、誕生したことで何が起こったのか、が時系列で語られてゆく、ということなんですな。吉宗が調べていることを読者が追体験するというような。それで、ようやく5巻で信ことのちの吉宗の少女時代が登場し、話の輪っかが繋がった。なるほどなあ、とちょっとすっきりした感じ。

吉宗が格好よすぎて、それは子供の頃からか! っていうのがよかったんですが、なんか超然としすぎて面白みに欠けるようにも感じられる。男前すぎるというか。今のところ、パーソナリティが描き出されている女将軍は8代吉宗のほかには3代家光、4代家綱、5代綱吉までですが、わたしは圧倒的に家光の複雑さや愛情のねじれ方が好きでした。多分、有功との関係性がいいということで、これは大半の読者にとって自明のことな気はしますが。だから、4巻で家光が亡くなって寂しかったし、綱吉はなんだか痛々しく、読んでてつらいので、早く次の将軍に話が移ってほしい…気もするけど、史実として6代、7代の任期は2人合わせても6〜7年なのねえ、じゃあさらっと流して吉宗の治世まで話が進むのかもなあ。

というか、1巻の吉宗の時代まで追いついても、その先も描くんでしょうか、江戸末期まで。「大奥」ってくらいだしねえ。そうなると、かつて「あさきゆめみし」で受験生源氏物語を学んだように、この漫画江戸時代を学ぶようになったりするのかしらね? 男女置き換えという意匠はあれど、基本的には物語が史実を的確に反映しているようだし、人間ドラマ的にも当時の価値観とかが大変よく描けていると思うので、楽しんで学べる作品になりそうな気がする。今の学生さんうらやましい。

あと、この漫画は最初ジェンダーの問題を啓発するような意図の込められた意欲作なんだと思っていたんですが、読み進めるうちに、物語としての大きさに身を委ねて楽しめてしまうため、全然そういう問題意識みたいなところに気持ちが向かないと5巻にしてようやく気付いた。これが作戦で、最後まで読んだとき、ジェンダーについて何か新しい考え方とかが気持ちに残っているんだとしたらすばらしいと思う。よしながさんはそれくらいのことは企んでそうな気がしないでもないので、なかなか楽しみです。

09*10*01

そして生活はつづく/星野源

そして生活はつづく

そして生活はつづく

買った。読んだ。面白かったんだけど、なんか…めんどくせえなこいつ、と読後に溜息が漏れましたよ。ははは。

松尾さんとか宮藤さんとかの名前がぽこぽこ出てきて、彼らが自分を主語にして書いてる文章のキャラクターと、源ちゃんが書く彼らのキャラクターに落差を見て、そこがなんとも面白かった。源ちゃんだって、他の人たちに書かれているのとキャラが違ったけどね。

なんかこう、ものすごくダメな子要素を強調して書いていて、それは多分世間で格好いいめ、センスいいめに見られていることへの反発っていうのもあるんだと思うんですが、あくまで「本当の自分はこうだ」というアピールに重点を置いて書いてあって、あまり客観視できていない感じが若いな、と思いました。自分が世間からどう見られているか、気付かない振りをね、全力でしている感じ。気付いてないわけないじゃーん、と思うので、少々そこが物足りないというか、まだポーズとってる感じがした。まあ、ポーズとっちゃダメってことじゃないんで、別にいいんですが、文筆業においてはそのへんの自意識の扱い方が肝な気がするので。今後どう変わってゆくか楽しみ。

「ようこちゃん」の話が本当に素敵で、おじいさんの話はずるいなという感じ。仕事相手の、源ちゃんのことを「ばか」っていう正論吐きまくりの毒舌男 K は、ハマケンなのかと途中まで読んでいたんだけど、途中で「早死にしそうと浜野に言われた」というような記述が出てきて、あ、じゃあ K はハマケンじゃないのか、って思ったんだけど、どうなのか…K…馨くん?? 源ちゃんに対して敬語なのに?? お世話になった人の葬儀にカレーの匂いをさせて汗だくで現われ、精進落としで寿司を山ほどくらい、喪服のまま風俗に行ってラーメンを2杯食べ、舞台の本番に出演したら満腹すぎて肋骨にヒビを入れてしまった最低なデブ俳優は皆川さん、そのデブに「死んじゃえばいいのに」と思ったのは…うん、宮藤さんかな。にこにこ。

でもまあ、とにかくホントめんどくせえ、って感じで、噂が本当ならば aiko はえらいなあ…って思いました。わたしだったら絶対、こんなめんどくせえ若者と付き合えないねえ。国分さんみたいなまっとうそうな人と付き合ってた女性が、なんでこんなめんどうな人と付き合えるのか、そっちに興味がわいちゃったわあ。はは。

なんだか、結構楽しんで読んだつもりだったのに、ちょっとケチつけたい不思議な読後感でした。あれかな、うんこねたが多すぎたからかな。しょうがないね。