国会でクルド難民問題が審議されました!

 10月30日の参議院法務委員会で、クルド難民問題が審議されました。質問者は、「クルド人難民二家族を支援する会」をサポートしてきた民主党今野東議員。これに、「法相が絡まなくても、自動的に客観的に進むような方法を考えてはどうか」「私の友人の友人はアルカイダ」発言で最近話題の鳩山法務大臣が答弁をしています。

 審議の中継映像は、「参議院インターネット審議中継」のビデオライブラリを検索して見ることができますが、以下に大まかな内容を書き起こしました。詳しくご覧になりたい方は、以下のURLより、カレンダーの「10月30日」から「法務委員会」を選び、横の「参照」をクリックしてください。

 参議院インターネット審議中継
http://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/library/consider.php

 今野議員:昨年度、日本に難民申請を求めた人は954人で、とりわけ多かったのですが、法務大臣が入管行政について所信演説で述べていたのは、不法入国を取り締まるということだけで、難民のことについては一言も言及していません。所信演説で述べておられたように、人の命を大切にするというのであれば、日本の難民政策についてはどのようにお考えなのでしょうか?

 鳩山大臣:難民とは本国に帰れない人たちであろうと思いますが、個別の事柄を慎重に検討しなくてはならないと考えています。本当に難民として日本が受け入れなければならないなら温かく迎えるべきなのでしょうが、そうでない場合もありますので、精査が必要ということでして、優しく、かつ厳しくですね・・・。

 今野議員:要するに、これまでと何ら変わらないということでしょうか?私はこの2年間、1999年の春に来日してトルコから来たクルド人の難民の家族に付き添って、品川の東京入国管理局に毎月1回通っていました。彼らはトルコ政府に迫害されて日本にやってきたのですが、難民として認めてもらえず、仮放免という形で毎月入管に通っていました。彼らは日本の硬直した難民行政への怒りと諦めから、第三国への出国を決意し、カナダに難民として受け入れられました。この日本とカナダの差は何なのでしょうか?2006年の難民申請者は954人でした。このうちミャンマーから来た難民が7割で、トルコから来た難民が149人で―そのほとんどはクルド人だと思うのですが―2位になっています。ところが、日本政府はトルコから来ているクルド人は一人も難民として認定していません。トルコでは、政府によるクルド人に対する差別的な行政がありました。トルコ語やトルコ音楽の禁止、民族行事への参加の禁止などです。今も緩和されたとはいえ、こうした政策があります。トルコという国について、入管行政としてはどのように認識しているのでしょうか?

 鳩山大臣:トルコからの難民申請者というのは、おっしゃるようにクルド人ばかりだろうと思います。クルド人については、この10年間で850人が難民申請をしておりますが、難民認定がゼロになっています。私もなぜゼロなのかということについては、若干の疑問があります。ただ、近年、人権状況の改善がトルコ行政によってなされてきたということで、迫害の恐れは相当減ってきているのではないかと。憲法改正クルド語の禁止も緩和されましたし、クルド語による教育やクルド語の放送を認める法律も制定されました。そうしたわけで、差別や迫害はそれほどではないと当局が判断したのだろうと思います。

 今野議員:大臣は難民行政のトップなのですから、他人事のようにおっしゃるのではなく、大臣自身がトルコという国をどう考えているのかをお伺いしたいのですが。

 鳩山大臣:それは、私自身がこれから研究、調査、勉強しなければならない課題だろうと思っています。

 今野議員:ありがとうございます。入管行政・難民認定行政に関わっている方に、ぜひトルコの状況を知っていただきたいと思います。クルド語による放送は、認められたといっても週に30分だけなので、ゼロよりは緩和されていますが、相変わらず差別はあるということです。現在もトルコ軍によるクルド地域への空爆など、緊迫した状況が続いています。日本に助けを求めにやってくるクルド人の多くは、難民としての蓋然性があるので、人の命を大切にするとおっしゃるのなら、人権を大切にするというのなら、彼らを受け入れてほしいと思います。

 鳩山大臣クルド人に関しては、人権的な配慮から在留を認めた件は16件もありますし、入管当局にもそういう認識はある程度あるということだろうと思っています。

 今野大臣クルド人だけではなく、難民行政全体について、これは国際的な責任を果たす上でも重要なことです。難民として日本に自由を求めてくる人に対して、自由を認めてほしいと思います。