「ゲーム」と広汎性発達障害

昨日、職場の絡みで研修があって、非行少年と接しておられている精神科医の方が講師で、「広汎性発達障害」の子供についての講演を受けてきました。


404 ページが見つかりません | 吉富薬品株式会社 −精神科医療の真のパートナーを目指していきます−
http://www2.ocn.ne.jp/~uo-byou2/jiheisyou1/jiheisyou1.htm


いわゆる「自閉症」の方もこの広汎性発達障害に含まれるみたいで、講師の方は、「視覚情報が非常に優先する」とか「非常にこだわりが強い」とか「言葉を辞書的な意味でしか理解できない(温度を確かめて欲しいという意味で、「お風呂を見に行って」と頼んでもそれが通じず、単に見に行くだけ)」とかを特徴として挙げられていた。


「広汎性発達障害の子が増えてきているのではないか、今まで思われていた数よりもっと多いのではないか」と講師の方は指摘されていて、最後の質疑の時間に質問者から「増えてきているのはどういった理由からだと思われますか?」という問いがあったところ、その精神科医の方は、「はっきりと関係はわからないが、広汎性発達障害の子は視覚優位。テレビゲームは視覚に訴えるものなのでその影響とかも…」と回答。


…ここにも「ゲーム脳」的言説が。


僕はもちろん素人なので、専門の方の意見にあれこれ言う知識は持ち合わせていないのだけど、上のサイトでも、広汎性発達障害の中核をなすらしい小児自閉症でも、「3歳以前に心理的発達の障害がみられ」ると書いてあるのに、どうしてもっと大きくなってから(小学生ぐらいから)始めるテレビゲームが影響するのか、そこが全く理解できなかった。


と書いていたら、かの森氏も、「ゲームで自閉症になる」と発言していたみたいで。なんともはや。下の文章は、それに対する社団法人日本自閉症協会東京都支部のツッコミ。やっぱりあまり自閉症とゲームは関係ないみたいね。
ゲーム脳問題:森氏「ゲームで自閉症になる」発言 - kitanoのアレ

自閉症ADHD及びLD(以下、これらをまとめて「自閉」と言います。)はいずれも原因不明で先天的な脳疾患に起因しており、後天的にTVやビデオ、まして親の育て方によってそのような障害になるものではありません。



広汎性発達障害の増加とゲームの関係性について関連があると思っておられているのは、講師の精神科医の先生だけの見解なのかもしれないけど、この先生の様に、現場の第一線で働いておられている精神科医の中で、ぼんやりと実感として「ゲームも関係あるんじゃないか」という意識が浸透しているのであれば、あまり森氏一人のトンデモ説を笑ってすむ問題じゃない様な気もしてきた。ゲーム脳的言説の根は思ったより深いかもしれませんよ。


ついでに。
http://ttchopper.blog.ocn.ne.jp/leviathan/2006/03/45_7a23.html
最近話題の川端裕人さんの世田谷区ゲーム脳講演会潜入記。森氏に御質問もされたみたいで、ご苦労様でした。