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in saecula saeculorum

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2010-09-06

トーラスの断面

| 01:09 |

しつこくて申し訳ありませんが、もう少し。

先日の記事(lemniscate - in saecula saeculorum)で書くつもりだったことだが、そこではカッシーニの卵形線を紹介するだけで終わってしまって、トーラスの断面がカッシーニの卵形線になる、ということを示すのを忘れていた。

以下、高校数学の初歩の話を、さらにかみ砕いて説明するような感じになってしまったので、つまらないと思いますがご容赦を。

まず、トーラスを式で表す。カッシーニの卵形線の式が、先日のように

(x^2+y^2)^2-2a^2(x^2-y^2)+a^4=b^4

の形で現れるような向きに座標軸をとる。すなわち、xy 座標平面上の点 (a, 0) を中心とする半径 R の円(u は円周方向の角のパラメータ

¥left¥{¥begin{array}{l}x = a + R¥cos u ¥¥ y = R¥sin u¥end{array}¥right.

y 軸の周りにぐるっと回すと、先日想定したような、縦に立てたトーラスが得られる。「y 軸の周りにぐるっと回す」というのは、上で得られた x 座標を回転半径とし、回転角のパラメータv として、z 座標は回転半径に cos v をかけて求め、x 座標は回転半径に sin v をかけて求める、ということと同等である(よくやる xy 平面内の回転を、代わりに zx 平面内でやるだけ)。したがって、トーラスの式(パラメータ表示)は、

¥left¥{¥begin{array}{l}x = (a + R¥cos u)¥sin v ¥¥ y = R¥sin u ¥¥ z = (a + R¥cos u)¥cos v¥end{array}¥right.

sin² + cos² = 1 を用いてパラメータを消去すれば、

x^2+z^2=(a + R¥cos u)^2

から、

(¥sqrt{x^2+z^2}-a)^2 + y^2 = R^2

となる。これが、デカルト座標でのトーラスの式である。

これを展開する。あとで z = 一定、という平面で切ることを考えて、z は定数扱いにして整理する。

x^2+z^2 - 2a¥sqrt{x^2+z^2} + a^2 + y^2 = R^2

x^2 + y^2 +z^2 + a^2 - R^2 = 2a¥sqrt{x^2+z^2}

2乗する。

(x^2 + y^2)^2 + 2(x^2 + y^2)(z^2 + a^2 - R^2) + (z^2 + a^2 - R^2)^2 = 4a^2(x^2+z^2)

(x^2 + y^2)^2 + 2(z^2 - a^2 - R^2)x^2 + 2(z^2 + a^2 - R^2)y^2 +(z^2 + a^2 - R^2)^2 - 4a^2 z^2 = 0

「定数項」(x, y を含まない項)の部分は

(z^2 + a^2 - R^2)^2 - 4a^2 z^2

= ((z+a)^2-R^2)((z-a)^2-R^2)

= (z+a+R)(z+a-R)(z-a+R)(z-a-R)

となる。これは、z = 一定の平面がトーラスに接するのは、z = −aR, −a+R, aR, a+R の4つの場合だという、想像してみればすぐわかる事実を表している。

ここで z = cc は定数)とおけば、すなわち、平面 z = c で切れば、断面の曲線の式が得られる。ただし、当然ながら、この平面 z = c がトーラスと交わるためには、

-a-R¥leq c¥leq a+R

という条件が要る。

ところで、上記の断面の曲線の式

(x^2 + y^2)^2 + 2(z^2 - a^2 - R^2)x^2 + 2(z^2 + a^2 - R^2)y^2 +(z^2 + a^2 - R^2)^2 - 4a^2 z^2 = 0

を、最初のカッシーニの卵形線の式

(x^2+y^2)^2-2a^2(x^2-y^2)+a^4=b^4

と比較すると、これらが一致するためには、x² の項の係数と、y² の項の係数が、絶対値が等しく符号が逆、であることが必要である。したがって、トーラスの断面がカッシーニの卵形線となるのは z = ±R という場合(すなわち、トーラスの中心から、トーラスの管半径に等しい距離だけ離れた平面で切った場合)だけであることがわかる。これを代入すると、トーラスの断面の式は、

f:id:ophthalmos:20100906005918g:image:right

(x^2 + y^2)^2 - 2a^2(x^2 - y^2) +a^4 = 4a^2 R^2

となり、めでたくカッシーニの卵形線が得られる。

さらに、R = a/2 とおけば、定数項が消えて、レムニスケート

(x^2 + y^2)^2 = 2a^2(x^2 - y^2)

となる。ふぅ。

右のおまけ画像は、また例によってウィキペディアから拾ってきたもの。

トーラスの裏返し。あるいは、4次元空間内での回転。

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