『キヨミズ准教授の法学入門』 木村草太

キヨミズ准教授の法学入門 (星海社新書)

キヨミズ准教授の法学入門 (星海社新書)

  • 法的三段論法は、いろいろな考え方がある中で「こうするべきだ」という判断、つまり規範的判断を共有するための優れた方法。事実関係を見て直感的にどうするべきかを考えるのは、裸の価値判断。
  • 法的な思考というのは、いったん一般的・抽象的な規範を立てて、冷静に議論をしてから、結論を出すというもの。
  • あらゆる行動には、その人なりの効用が必ずあるということになる。つまり「効用」というのは、結論を導くための概念というより、結論を表現するための言葉である。
  • ダメ政治学は、現象の背景に、無理やり政治と権威を見出そうとする。ダメ経済学は、現象を、なんでもかんでも取引で説明する。ダメ社会学は、今それどこじゃないときに、そもそも君の認識は、と小言を言う。ダメ法学は、一律公平を理由に仕事をサボる。
  • 法は言葉にすぎないのに、人間を本当に強く拘束している社会のインフラである。インフラであるから、普通に暮らしていると、それがどんな仕組みで動いているのか、誰が整備しているのか、目に入ってこない。でも法学を勉強しているとそういうことが分かってくる。
  • 良い法解釈学の条件は、内部に矛盾するところがなく(一貫性)、指示する内容が明確であること(明確性)。その解釈を適用して得られる帰結が適切であること。日本語の理解として無理がないこと。他の法律・判例・通説と整合的であること。
  • 法解釈をして主張を組み立てるときには、訴訟戦略として勝ちやすいかどうか、という点とは別に、当事者の主張を忠実に法的言語に翻訳しているか、という点も非常に大事。
  • 「答えを素直に吸収する」という姿勢だけじゃなくて、「俺が素晴らしい解釈論を想像してやるから、ついてこい」という気持ちを持つべき。自分の想像力に自信がないのに法律家になろうとするのは、法律家を必要としている社会の人々に対して失礼というもの。


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