Always look on the bright side of life


そんなパイソンが“世界を変えた”象徴的な出来事のひとつは,1982年5月4日.英国とアルゼンチンが,フォークランド諸島の領有を巡って,ハイテク・フル装備の近代的な軍隊を激突させたフォークランド紛争でのこと.その日,アルゼンチン海軍により,フランス製の艦上攻撃機から発射された,同じくフランス製の空対艦ミサイル“エグゾセ”が,英国の駆逐艦シェフィールドに命中.沈没が決定的となったのだった.幸い,乗組員は艦が沈んでしまう前に安全に移動することが可能となったのだが,救助を待つ乗組員たちが最後に合唱したのが,驚くべきことに『モンティ・パイソン』の映画『モンティ・パイソン/ライフ・オブ・ブライアン』のエンディング曲「オールウェイズ・ルック・オン・ザ・ブライト・サイド・オブ・ライフ」だったのだ.映画のラストシーンで,十字架に磔にされた主人公たちの姿に合わせて爽やかに歌われる「つらいことや悲しいことがあっても,いつも人生の明るい部分を見て陽気に生きていこう♪」という究極にポジティブなメッセージの歌詞が,沈没直前の艦上という究極のシチュエーションで歌われたのだった.

須田泰成「世界を変えたコメディ・チーム“モンティ・パイソン”」,『空飛ぶモンティ・パイソン“日本語吹替復活”DVD-BOX付録ブックレット』所収,p.6)