Plan9日記

2014-09-26

[] 「Virtualを仮想と誤訳した責任は我々にあります」

書籍「ソフトを他人に作らせる日本、自分で作る米国」を読んでいたところ、元日本IBMの方によるタイトルの発言が飛び出した。この業界に長くいると、仮想記憶に仮想計算機と「仮想」という訳語にはまったく違和感を感じなくなってしまったが。。。曰く、IBMがVirtual memoryを発表したとき(MVSのことかな*1)、日本IBMが仮想記憶と訳したのだそうな。『virtualは「事実上の」「実質的」という意味であり、virtual memoryは「本来のメモリーではないが事実上メモリーとして使える技術」を意味する。』

大学時代の恩師も次のように言っていた。

「仮想」という概念が、コンピュータの世界に入ったのは、19751965年のことである。MITMULTICSという汎用大型TSSの構想を発表した。これが現在の、パソコンネットワーク時代の幕開けの狼煙であった。この中の技術に「仮想記憶」の概念が含まれていた。仮想(virtual)とは「虚」であって、「実質的には「実」の働きをするもの」というコンセプトである。現在、'virtual' に「仮想」という日本語訳が定着したが、この概念自身は、日本語には存在しなかった。

恩師は落語好きで、「仮想」というコンセプトを表現した落語として「だくだく」という演題を紹介されている。

仮想という訳語の出本がわかり、ちょっとすっきりしたので、記事を書いてみた。

(追記)やねうらお氏も書いてたよと言うコメントがあったので、あわせて紹介。「virtualを「仮想」と訳していいものか

あと、翻訳に絡む話だと、「「エラー忘却型コンピューティング」なんて言い出したのは誰だ!」なんて記事もあわせてどうぞ。

ソフトを他人に作らせる日本、自分で作る米国

ソフトを他人に作らせる日本、自分で作る米国

*1:久野先生によると、SVSが先で、MVSはその次とのことです。詳しくはWikipediaなどで。

PolluxPollux 2014/09/26 18:21 75年にMULTICSというのは? もっと古いでしょ。 仮想記憶という日本語が75年初出というのも疑問。もっと古いのではないかな? 日立の5020のマニュアルにあったような記憶がうっすらと。FORTRANに DRUM DIMENSION というのがあって… 。IBMの70xxシリーズにも仮想記憶があったような記憶がうっすらと(マニュアルが日本誤訳されているかは不明)。 リタイアしてるので手許に資料はありません、ぼんやりとした記憶です。

oracchaoraccha 2014/09/26 22:00 ご指摘ありがとうございます。確かにMulticsの構想が発表されたのが65年とのことなので、1965年の間違いですね。5020/TSSはMulticsにインスパイアされて開発したと聞きました。

yamyam 2016/06/02 12:51 光学でvitutual imageが虚像と訳されたのは明治時代。昭和初期の解析力学の教科書ではvirtual workは仮想仕事と訳されています。
virtual = 虚ではあまりにも何ですからvirtual = 仮想となったのでしょう。ケーブルカーは架空索道、電柱にぶら下げる電線を
架空電線と文字通り空に架けるという意味で使われましたが、いつしか絵空事の意味だけになりました。
架空索道は『かくうさくどう』ですが、今日はロープウェイとなり、架空電線の場合には『がくうでんせん』と読み変えられています。
明治以降、虚像、仮想、架空といった日本語が海外の専門書を翻訳する過程で、専門用語として造語され、日常語に転用される際に、
嘘の意味が強調されてしまった悲しい事実があるのかもしれません。

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