女優の卵の友人が遊びに来た。芸能関係にあまり興味の無い私は、気のきいた話題も提供できずにいたが、長年の付き合いなので、お互いの近況を二言三言話すだけでも、気持ちの良い時間を過ごせる。
長年の付き合い・・・私が子供を持つずっと、ずーっと前から。子供をもって、私の人生は本当に大きく変わった。以前は、着飾るのも好きだったし、現にモデルの真似事をしてみたり・・・化粧をしないで人前に出るのなんてとんでもなかった。年老いていく自分なんて想像できなかった。
一方で、子供を持つことも、長年の夢であった。前回の結婚では、その夢はかなわぬままに終わった。そんな過去があったから、ひとしお子供がいとおしいのかはわからない。が、子供は本当にいいものだと思う。そして、子供に自分をささげることも、とても幸せに感じる。子供は、自分が愛しただけ愛してくれる。自分が辛く当たっただけ、辛く当たり返される。世の中の原理そのもののような気がする。それが、よりストレートに伝わるのだ。
子どもが2歳の頃、ある男友達がこんなことを私に言った。「もうそろそろ、自分の見た目も気にしないとね。」まぁ、人それぞれといえばそれまでだが。それにしても、私からすると、いつまでも少女のようにいたい大人と言うのは一体?と思ってしまう。永遠の命を得る薬、なんていうのが、架空の話では永遠のファンタジーとして登場する。それと似たようなものだと私は思っている。
年老いていく自分なんて考えられなかった私が、今は、年老いていくことが素敵に思える。私は最近、味のある老い方ができればいいと思うようになった。私は、今までずっと自然体を意識してきた。これからもそのつもりだ。自然に逆らうのは、自分に逆らうことだ。自分が本当に何が心地いいのかを見失っていく。一方で、世の中が自然に逆らっていることは嘆かわしい。その中にいる人々にとっては、それが素晴らしい世の中なのだろうか。子ども達には、自分が居心地の良い場所を見つけられるようになってもらいたいとつくづく思う。