2013-5-18
新作「カニ」
先週の折紙探偵団東京友の会の例会で作品発表した「魔女の面(改)」はまた後日に紹介するとして、その例会の帰りの電車内で(またか)ざっくり作ったカニをブラッシュアップしてみた。次号の『折紙探偵団マガジン』139号で折り図掲載されるJason Kuさんのカニを見てカニをまた試してみたくなったのだった。
まず展開図を先に。薄ピンクの原子が甲羅になる。
見てのとおり、カド配置としては定番と言えそうなものになっている。Brian Chanさんとか。Jason Kuさん、大雅さんのだと足が完全に同一の点配置だ。というわけでやはりすでに似た作品がないか心配なので、もしご存知だったら教えてください。
カラペラピス15cmでの作例。造形的には結果としてイソガニ的な雰囲気になった。本当はサワガニを折りたくて、その場合甲羅の厚みを分厚く折りたいと数年来考えているんだけど、今回みたいな定番配置だとちょっと難しいみたいだ。
上で紹介した他作家の作品たちと見比べると、小松作品ならではの地味さを発揮していて苦笑いせざるを得ない。もう少しハサミが大きければ派手になりそうなのだが。
ハサミは展開図だと左右で異なるパターンになっているが、作例だと両手とも同じパターン(展開図右)で折っている。緑っぽい色の作例が展開図右側のパターンそのままを使い、茶色っぽい方はそれを沈め折りをしない段階から仕上げてある。展開図を見るとYパターンがハサミになりそうだが、実際は紙カドと青い点のセットがハサミになっている変化球的な仕上げ。
24cm普通用紙で折ったもの。
展開図で緑色の点は、3つが組み合わさってめちゃ分厚いカドを構成し、それが体の裏側に出る。それを口の辺りに折り出した袋折りの穴に差し込んでまとめる。このおかげで普通紙で折ってもまあまあ形状安定する。
試作とか。
5/20追記
ハサミの構造が間違っていたので、手直し。ちゃんと調べないとダメだなあ。
ハサミにも厚みが欲しくなるが、ちょっと構造的にどうしようもない。
2012-11-20
カタツムリ
名古屋コンベンションで田中まさしさんが「タナカマイマイ」を講習されていたのを見て、カタツムリを作ってみたくなる。帰りの新幹線の中で考えていたらアイデアが浮かび、そのまま乗車中にできあがってしまった。
発想は、田中さんのが殻がリアル風(?)で体が幾何学風なので、ここは逆なのを考えてみようと思ったことから。折っていてなんか既視感があると思ったら、小方弘巳さんの「寅ばこ」*1だった。構造はほとんど自動的に収斂してしまう感じで、仕上げの悩みはあったが、全体としては作ったという気があまりしない。
またしてもアイデアものなので前例の有無が気がかりだが、画像検索で調べたかぎりではまるかぶりといったものは無い模様(あったら教えてください)。殻の部分が風船になっている作品はあった。
(おまけ)純血種「フタツムリ」と突然変異「ハコツムリ」。
2012-9-21
「蛇」を折るには
一応、新作。
見てのとおりアイデアものなので、すでに類似作品があるかもしれない。一応Flickrなどで検索してみたりしたけど、もし酷似した作品をご存知の方がいましたら教えてください。
蛇というと、その細長い形状のために不切正方形一枚折りではなかなか敷居が高いと言うか、手をつけにくいテーマのひとつだ。ひとつ前の干支の「龍」も似たような難しさがあるが、それよりさらに造形的特徴が少ない分、悩みも大きい。だからこそアイデア物が多くなってくる。
方法論としてはある程度出揃っていると思われるので、ここで少しまとめてみよう。(但し、ぼくの知っている作品に留まるし、忘れてる作品もあるかもしれない、と断りを入れておく。)
1)デフォルメして(短くして)折る
これはある意味正統派。長さはある程度犠牲にしても、雰囲気を出してリカバリーする。千野利雄さんや笠原さんの作品など。
2)カドを出して繋ぐ
これは岡村昌夫さんの傑作がまず挙げられる。16等分で沈め折りした風船の基本形から、対角のカドを繋ぐことにより、一巻きの長いテープ状の形を折り出した作品だ。van Goubergenさんにも同様の方法論を使いつつ、S字形状を折り出したガラガラヘビの作品がある。シンプルな応用としては前川さんの本格折り紙所収の作品がよく知られているだろう。
3)胴体を密着させる
長いままだと大変なので、とぐろを巻くなどした「一塊」の形状として折り出す方法。前川さんの蛇はここに入れても良いだろう。素直なものだとLangさんの「Rattlesnake, opus 429」(ページに記載されているが、このアイデアはDan Griesさんのこの作品がオリジナルのようだ)、ひねったアイデア物では、Engelさんの「Rattle Snake」(Phillip Westさんによる折り)が有名。
4)インサイドアウト
丹羽兌子さんの「へびの年賀状」、山田勝久さんの「干支のポチ袋・箸袋 へび」など、すっきりした仕上がり。
5)土台と一体化
記事公開後に萩原さんから教えてもらったMelina Hermsenさんのテッセレーションによる作品は、紙の表裏の代わりに陰影を使って蛇の模様を折り出している。その点でインサイドアウトにも通じるが、Goubergenさんの「壁の上のやもりとハエ」のように、土台と一体化して折るという手法として見ても良いだろう。
6)複数体折り
蛇単体でなく、「蛇と何か」の組み合わせで折り出すアイデア(土台以外で)。「何か」の選択次第でアピール度合いがさまざまに変わってくる。山田勝久さんの「ヘビとカエル」は『季刊をる』世代には強く印象に残っているであろう作品。今年のJOAS創作折り紙コンテストでも、高橋志典さんの「蛇と林檎」という作品があった。
7)長方形使用
正方形を諦めて、素直に長方形で折れば、造形的な自由度は一気に増す。David DerudasさんやRonald Kohさんの、鱗を折りまくったコブラ、Bernie Peytonさんのリアルな作品群など。Beth Johnsonさんの作品も幾何学的で印象的だった。箸袋折りという手もあるだろう。
8)複合
複合も長方形使用と同じく、工夫を易しくしてくれる。そんな中、(6)の複数体折りを取り入れた田中まさひこさんの「蛇のいる草むら」は、「蛇の頭部分と草」・「草だけ」・「蛇の尻尾部分と草」をそれぞれ正方形で折って配置するというアイデア物。
というわけで、ぼくのこの作品は「2)カドを出して繋ぐ」と「4)インサイドアウト」「5)土台と一体化」をミックスさせたもの、ということになる。プランさえ立てば、後は「美しい落としどころ」を見つけるだけの問題だ。16等分でいくつかのパターンを試し、この形を見つけたときは、「おっ、きれいに繋がった」と思ったのだが、実は首の根元で色分けがうまく行ってなかった。見えているべき尻尾の一部が隠れてしまう。
非常に惜しいのだが、このパターンより雰囲気の良いものは見つけられなかったので極大と判定した。等分数を変えるとか、さらに頭部の造形を作り込むとかは「16等分」の気楽さの前にあえなく退けられたのだった。アイデア物でちまちまやるのはなんか嫌なので……。
2012-1-4
タツノオトシゴ
本家に新作を載せた。直前までボツにするかを迷っていたくらいで、自信作というには遠い作品なんだけど、背びれの折り出しが偶然にきれいに行ったことが捨てるには勿体ないなーと思えたので。
これは没にした別バージョン。こっちの方が後に(推敲の際に)できた。発想は、お腹に入るフチを消したらすっきりするかもという思惑だったのだけど、結果として下半身のラインがちょっとリアル寄りになり、頭部や全体のアウトラインとのバランスが崩れる結果になってしまったようだ。龍を意識してウソっぽい形になっている頭部デザインとバランスするには、オリジナルの腹部にある45度カドのラインくらいの強度が必要ということなのだろう。あくまでぼくの感覚では、だけど。
あとは、元のに比べると折りにくくなっているというのもある。同じ背びれを作れているが、それは形だけで、折り出し方の素直さまで含めると全く違うものという感じ。


















