天国の風(天国の風は、とてもあたたか)

2018-05-22 若葉晴

originalk2018-05-22

[] 5月の俳句

 若葉の季節になりました。

 木々の種類によって、その緑の美しさには違いが見られるようです。

 そのため、柿若葉、椎若葉、樫若葉、樟若葉などと言われます。

 また気象に関連して、若葉晴、若葉雨、若葉風などと。

 今月は、つぎのような俳句を発表しました。

  • 門燈の目を剥きゐたる雨蛙

 雨蛙は枝蛙とも。不意に近くで大きな声で鳴き出しますので、吃驚します。

  • 若葉風紅白帽子行き交ひて

 幼稚園や保育園の園児が、公園などに。そのにぎやかな声とともに帽子が行き交います。

  • 浮いてこい児の乳房まだふくらまず

 「浮いてこい」は、お風呂で子どもらが遊ぶ玩具。

  • 母の忌や新茶の香気汲み分けて
  • 公園の太極拳や薄暑光

 「薄暑」とは、初夏の、やや汗ばむような暑さのこと。

2018-05-21 別れに揺らぐ心

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[][] 『源氏物語』に詠まれている歌 賢木(2)

 伊勢下向を決心した六条御息所に会い、源氏は思いとどまらせようとします。

 歌の贈答を行ううちに、二人の心に昔の日々が蘇り、一夜をあかすことに。

    • あかつきの別れはいつも露けきをこは世に知らぬ秋の空かな

 光源氏

 (暁の別れはいつも涙に濡れがちなのに、今朝の別れは今までに経験したことのないほど悲しい秋の空よ)

 源氏は、後朝の別れの歌を贈ります。

 それに対して、六条御息所は次のように返歌します。

    • おほかたの秋の別れも悲しきに鳴くねな添へそ野辺の松虫

 六条御息所

 (普通でさえ秋の季節の別れというだけでも悲しいのに、あのかたと別れるという今、鳴く音を添えて悲しみを増さないでおくれ。野辺の松虫よ。)

2018-05-20 前足だけが真っ白の黒猫

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[] 黒猫ネロの帰郷 エルケ・ハイデンライヒ

 猫好きにはたまらない、大人の絵本が「黒猫ネロの帰郷」。

 ドイツで出版されるやいなや、ベストセラーになり、ついで、世界各国で翻訳されることに。

 著者エルケ・ハイデンライヒは、1943年生まれのドイツの女流作家。

 主人公は右の前足だけが真っ白という黒猫のネロ。

 ネロはイタリアの農場のうまれで、別荘に来ていたドイツ人の若夫婦に貰われていきますが。

 作者は、その黒猫に寄り添い、黒猫の生涯を愛情たっぷりに描いています。

 犬やにわとりなど、動物たちとのやりとりも楽しい。

 めっぽう気は強いくせに、友だちや妹を可愛がる、どこか憎めないイタリアのボス描ネロ。この黒描にも次第に老いが訪れる。情愛豊かな育ての親との暮らしを続けるか、それとも、なつかしの生まれ故郷イタリアで安らかな老後を選ぶか?ネロは悩んだすえ一大決心をする…。

2018-05-19 最大の省筆箇所

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[] 「おくの細道」における俳句(29)

 芭蕉は、酒田から日本海側の北陸路を新潟出雲崎直江津と進み、9日間をかけて、市振へ入ります。

 暑気と湿気のため、病を発症したということで、この間の詳しい記述は割愛されています。

 この部分は、「おくの細道」中、最大の省筆箇所とか。

 出雲崎で、はるかに佐渡島を眺めながら、次のような句を得ています。

    • 文月や六日も常の夜には似ず

 (もう秋の七月になって、空も澄み、天の川もあざやかに見えている。今日は六日で、明日の夜には、あの天の川を隔てて一年を過ごした牽牛・織女の二つの星が相会うのだ。そう思うと、今夜も、いつもとは違う感じがして空が仰がれる。)

    • 荒海や佐渡に横たふ天の河

 (目の前には日本海の荒波が黒々と波のうねりを見せて、はるかに佐渡の島を浮かべている。仰げば秋の澄んだ空に、天の川が佐渡の島の上空に長く横たわっているよ。)

2018-05-18 相聞(そうもん)は相手の様子を問うこと

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[] 春の相聞歌(1)

 相聞(そうもん)の原義は、相手の様子を問うことですが、恋人同士の間で詠みかわされた歌のことを相聞歌と。

 万葉集では、恋の歌を主とした、個人間の私情の交換を詠んだ歌が中心をなしています。

    • 我がやどに蒔きしなでしこいつしかも花に咲きなむなそへつつ見む

 (わが家の庭に蒔いたなでしこは、いつになったら花に咲くことだろう。あなたと見なして眺めよう。)

 大伴宿禰家持が坂上家の大嬢に贈った歌。

    • 茅花抜く浅茅が原のつほすみれ今盛りなり我が恋ふらくは

 (つばなを抜き取る浅茅が原のつぼすみれのように、今真っ盛りであることだ、わたしの恋心は。)

 大伴田村家の毛大嬢が妹の坂上大嬢に与えた歌。