小沢健二『毎日の環境学』

Ecology Of Everyday Life 毎日の環境学

Ecology Of Everyday Life 毎日の環境学

ヴォーカルレスという噂は知っていたので、正直なところ、まったく期待しないで買った。発売日前に買ったのは、たまたま昨日に今日が発売日ということを知ったからであり、さらにたまたま、今日に買うヒマがあったからにすぎない。同時発売の木村カエラよりは、さすがにこちらの方が興味があったので、少ない小遣いから買ってみた。

うーん、3000円。迷っている人がいたら、そんな気持ちがあるだけでも買うのを延ばした方がいいと思う。一聴してガツンとくるものではないし、事前に想像が及ぶとおりのサウンドだ。『Eclectic』を今でもたまに引っ張り出して聴いているこの耳でさえも、何がやりたいのかがサッパリわからない。前作以上に、さらに混沌とした内省的な方向へ行ってしまっている。
これが田島貴男ならば、音楽についてあることないこと想像するのだけど、小沢に関してそれをして遊べるほど、現在の彼については何も知らない。でもそれは、健全なことなのかもしれない。

アンビエントとかソフトロックとか言ってもいいのかもしれないけど、その言葉を使えるほどにはそれぞれのジャンルを知らない。もっと俗な例で良ければ(明らかにタイトルのせいだけど)、いかにもスカパーのEco Music TVでかかりそうな音楽だ。といっても、バカにしているわけではない。他のチャンネルで自称アーティストのどうでもいい音楽に耐え切れないときに、避難場所として使っているし、そういうのに比べれば遥かに無害で良質な音楽が聴けるから。

先ほどと矛盾するようだが、「"あの"小沢健二の新譜」ということに過度の期待や妄想を抱かないのであれば、充分買う価値はあると思う。何も考えたくない気分のとき、でも締りのない緩さはイヤなときに、『Eclectic』以上の頻度で、思い出したときに引っ張り出して聴くアルバムにはなりそうだ。

小山田の『point』に近寄ってきた感じはあるかな。でもそうなると向こうは、今度は歌モノでも出すんだろうか。