2009-04-28
夫婦別姓の民法改正案が通らない4つの理由
2009/04/24
選択的夫婦別姓制度の導入へ 民法の一部改正案を参議院に提出
※法改正の概要は上記サイトでPDFで閲覧可能
もう11回目になる。「もう夫婦別姓は可能なんでしょう?」と勘違いしている人も、「まだそんなことやってるのか」とうんざりした人もいるかもしれないが、民法改正法案は、実はまだ審議をされたことすらない。提出はされど審議未了で廃案の繰り返しだ。この法改正に強く反対する自民党の法務部会では喧々諤々の喧嘩議論になるそうだが、あくまで党内の委員会の話である。国民の家族意識に関わる重要な問題だというなら、11回もスルーせずにがっちり議論のテーブルに載せればよいと思うのだが。
夫婦別姓は議論の練習台になるくらい、賛成と反対の対立構造に陥りやすい問題だ。ミクロな視点では、ある夫婦が同姓にするか別姓にするかという話になるし、マクロな視点では、夫婦がそれぞれの姓を保持したまま婚姻届を出せるという選択肢を、社会として認めるか否かという話になる。だいたいはこの両者はごっちゃになっていて2ちゃんねるなぞをのぞいてみるとひどい話になっているのだが、この機会になぜ夫婦別姓の民法改正案が通らないのかをまとめてみたい。
1.「夫婦別姓」というネーミング
「別」という言葉は「別れる」を連想させるかもしれない。わざわざ別の名字にする、あなたと私は別なんだから、と言った家族崩壊への妄想を後押ししているのはこの言葉なのではないだろうか。それぞれの姓を保持する「保姓」とか、父系・母系の系統を継承する(see also 名前の違い)「双姓」とでも言い換えてみると、別姓→家族崩壊という妄想の暴走は幾分和らぐのではないかと思う。
(ちなみに「夫婦別姓」という言葉は、1984年に東京都の「夫婦別姓をすすめる会」が名付けたもの。この当時、女性が旧姓を使い続けるという発想すら無かった社会環境を鑑みるなら、夫婦別姓というネーミングの意味はとても大きかったということは付け加えておきたい。言葉が無ければ、存在を認識されないのだから。)
2.夫婦の問題と制度の問題の混在
- ある夫婦が同姓にするかそれぞれの姓を保つか
- それぞれの姓を保ちたいと思っている夫婦が婚姻届を出せるようにするか
という二つの話を混ぜてしまうところに混乱があるのだと思う。もっと視点を引き寄せてみればいい。隣に住んでいる夫婦がそれぞれの姓を変えずに婚姻届を出したいと望んでいたとする。自分たちは同姓で婚姻届を出したので不自由はない。ここまでは夫婦としての問題。そこから先は、この隣り合う二軒の夫婦が両方とも婚姻届を出せるようにするか、それとも片方が満足しているので片方は捨て置くかという問題なのだ。これを混同すると終わりませんよ。
3. 正しいデータが取られていない
「夫婦別姓に賛成ですか・反対ですか」のデータにはもうほとんど意味はない。夫婦で夫の氏を選んで同姓で婚姻届を出す人はマジョリティで有り続けるし、別姓はマイノリティで有り続けるだろう。別姓希望者が50%を超えるまで法改正をしない、というのであれば、民法改正以外の法案でも当事者が少ないような法案は後回しにされ続ける。
むしろ取るべきデータは以下の通り。
- 事実婚夫婦の数と内訳
- 夫婦別姓を目的とし法改正によって婚姻届を出したいと考えている割合は?
- 事実婚が認められない法制度、民間ルールには何があるのか?
- 旧姓使用者の数と内訳
- 業務でのみ旧姓を使用したい人と、生活全般にわたって旧姓を使用したい人の割合は?
- 業務において旧姓使用ができない場面、法制度、民間ルールには何があるのか?
すでに事実婚や旧姓使用者は存在するのだ。彼ら彼女らのうち、法改正を切実に求めている人とその理由を明らかにすることによって、法改正の可否を判断すべきではないだろうか。
4. 「妻が改姓したくなければ妻の姓で同姓を選べばいい」は幻想
夫の氏で同氏>別姓>妻の氏で同氏
という順番が、世の中にある現実的な抵抗感の順番だと思う。妻の姓で婚姻届を出すことが抵抗なく受け入れられている社会ならともかく、日本社会はまだ父系で墓を継いでいくというコンセンサスで動いているのが現実だ。婿養子と言えどバーチャルな父系で、婿を「息子」にした上で自分の娘を「嫁」とするというプロセスを踏む。
ちなみに、先日「発言小町」で見つけた掲示板への投稿を読んでいて、妻の氏で法律婚をした夫婦に対する暴言が相次いでいるのに驚いた。
嫁の言葉が気になって眠れません (発言小町)
※追記1
ブコメを拝見して婿養子に補足。これには3パターンあり、戸籍筆頭者を男性にしたいと望む人が多いため2)と3)の手段が多いようです。
1)妻の氏Aで婚姻届を出したあと、夫を養子縁組(戸籍筆頭者は妻)
2)夫の氏Bで婚姻届を出したあと、夫を養子縁組。戸籍筆頭者(夫)は養子縁組によって妻の両親の姓Aに変わるので、その戸籍にいる人(夫婦)は妻の姓Aになる。
3)夫を妻の両親と養子縁組。これで妻の姓Aを名乗る。その後に夫の氏(この時点では妻の姓A)で婚姻届提出
※追記2
福井県出身の知人が言うには、上記4.について、婿養子に対する抵抗感はそれほど高くなく、むしろ別姓の方が特別視されるとのこと。地域差があるのかもしれない。
- 1584 http://search.yahoo.co.jp/search?p=夫婦別姓+2009&ei=UTF-8&fr=top_ga1_sa&x=wrt
- 1109 http://www.google.co.jp/search?hl=ja&source=hp&q=夫婦別姓&lr=&aq=3r&oq=ふうふ
- 855 http://www.google.co.jp/search?q=夫婦別姓&hl=ja&rlz=1T4GGIH_jaJP254JP254&start=10&sa=N
- 486 http://www.google.co.jp/search?sourceid=navclient&hl=ja&ie=UTF-8&rlz=1T4GWYH_jaJP303JP303&q=夫婦別姓 実現
- 481 http://www.google.co.jp/search?hl=ja&q=夫婦別姓+法律&lr=&aq=1&oq=夫婦別姓
- 473 http://ezsch.ezweb.ne.jp/search/?sr=0101&query=夫婦別姓 妄想
- 325 http://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=夫婦別姓&source=web&cd=5&ved=0CFUQFjAE&url=http://d.hatena.ne.jp/oritako/20090428/1240909327&ei=6w2ETuCbKZCZiAfauLmpDw&usg=AFQjCNEqlx-xltmgXBDJOqpqM9BbksaorA
- 280 http://ezsch.ezweb.ne.jp/search/?query=夫婦別姓&start-index=7&adpage=3&ct=2097152&sr=0101&t=20100201193018
- 194 http://www.google.com/search?q=夫婦別姓&hl=ja&client=safari&rls=en&start=10&sa=N
- 151 http://search.yahoo.co.jp/search?p=民法改正 理由&ei=UTF-8&fr=top_ga1_sa&x=wrt



例えば婚外氏国籍法規定や性同一性障害者の戸籍の性別変更などは当事者が圧倒的に少ないにもかかわらず、司法の場で道を切り開くことによってマスコミの関心、ひいては国民の関心をひきつけて法改正を実現しています。本当に夫婦別氏への要望が切実なら、現規定の違憲を訴えた裁判が全国で何百件と起きてもおかしくないと思うのですが、そのような話は聞きません。もちろん大昔に最高裁まで争った1,2件の裁判はあったと記憶しますが、そんなことであきらめるようではそもそも甘いと思います。
多くの有権者は、文句を言いながらも旧姓使用や事実婚という裏技で何とかしてるなら何でわざわざ法律改正までしなくちゃいけないの?政治家もわざわざ政治的に危ない橋を渡ってまでやる価値のある仕事なの?というのが正直なところなのではないでしょうか。一方選択的夫婦別氏を望む側も誰一人として顔を出して裁判までする勇気はない現状では進展は厳しいと思います。
法案の審議すらなされていないとは、実に酷い状況だと思います。
その状況が意外に知られていないという事も。やはり通称使用や事実婚が広まり、一見不便はないように見えるので気付かれにくいのでしょうか。テレビなどで大きく報道されて、もっと広く知られれば状況も変わるのかな、と思います。ブログ主様が語学に堪能ならば、例えば海外のメディアに知らせる、といった方法は取れないでしょうか。男女平等の実現において日本は遅れている、と知らしめるような。女子差別撤廃条約選択議定書の件といい、日本の状況は本当に特異なのではないか、そしてその事に対する自覚が足りな過ぎるのではないかと思います。
夫婦別姓というネーミングが駄目なら、生まれた時からの名前を大切にしようという、そういう方向でのネーミングならいいのでしょうか。「保姓結婚」?
別姓希望者は事実婚だけでなく、これから結婚したいと考える人々も含みますね。既に変えてしまったけれど戻したいという人も。結婚不可年齢の未婚女子にもアンケートを取れば、別姓希望者は更に増えるようにも思います。
それに別姓希望者が圧倒的に少数であったとしても、少数派なら無視していいというのなら、外国人との間に生まれた非嫡出子問題などはもっと少数派な訳で……。少数への配慮は必要だと思います。
ブログ主様はとても責任のあるお仕事をされているようですが、そうした方でさえ夫婦別姓実現には力及ばないようですと、庶民には何も出来る事はなさそうに思います。名前とは多くの人々にとってとても大事な問題だと思いますが、どうしてこうまで蔑ろにされているのか不思議です。
ネットで見るだけでも、信じ難い程に強固な同姓強要の意見が大きく悲しくなります。特に若い世代に。どうだっていい、という人もいますが、それならば他人が別姓にしようが好きにさせればいいと思うのですが。
確かに裁判は少ないですね。夫婦別姓で裁判を起こすとすると、両方の氏にチェックを入れた婚姻届が受理されないことに対する裁判になるでしょうか。
現実には、夫婦別姓という大きなくくりでは裁判になりづらく、「旧姓使用」や「事実婚夫婦の子の扱い」といった各論の裁判になりがちなのかな、とも感じています。
nanamiさん
私も庶民ですよ!ですが、自分のためにも事実婚に関する情報を集めていたのをサイトにまとめたり、こうして実名でブログを書いていくことで、周囲の理解を得るための働きかけを続けていこうと思っています。
実のところ、最近は、
1.「夫婦別姓」というネーミング
がいちばんの障壁では? という気がしています。
「別姓」ってだけで思考停止する人もいるようですね。
「夫婦とも改姓しなくてもよい」法、というのが実態だと思うのですが…
興味のない人は見出しで判断するものなので、「別姓」のインパクトの強さが問題を難しくしているのかな〜と思ったりします。
2.夫婦の問題と制度の問題の混在
性同一性障害などと違うのは「一個人」ではなく「夫婦」という単位で生じる問題である点、でしょうか。
日本人の多くは結婚するので、「夫婦」に関する問題は誰にとっても身近な問題で、個人(とパートナー)がどうするか、ということについては自分なりの意見を持てる人が多いと思います。
多くの人にとって身近な問題であるがゆえに、「夫婦の問題」と「制度の問題」を区別して論ずるべきことに気づかず、無自覚に「自分がしたように他人もすべき」という主張になってしまっている人が多いんじゃないかと思います。
別姓とか言ってる時点で結局一緒に生きることへの覚悟が足らないんじゃないか。離婚率も最近高いし。
昔の日本は別姓だったというデータを上げる人もいるけれど、子供の姓ってどうなってたんでしょうか?貴族同士なら大抵男の姓を名乗ることになったのでは??そういう暗黙の了解のようなものがあったとするならデータとして適切ではないですし、これは現在の日本だと間違いなく争いになります。
夫の氏で同氏>別姓>妻の氏で同氏
これの根拠がわかりません。どちらかというと
夫の氏で同氏>妻の氏で同氏>別姓
だと思うのですが。
別姓の方が軽く見られるし、譲歩のできない・決断力のない家庭に見られませんか?
こうした恋人達や結婚に踏み切れない方達も多いのではないでしょうか。ぜひ子供の立場も考えた話し合いが展開される事を望みます。
こうした恋人達や結婚に踏み切れない方達も多いのではないでしょうか。ぜひ子供の立場も考えた話し合いが展開される事を望みます。