ザ・ペニンシュラ香港の菓子入れ

osamuharada2007-02-02

『「アンアン」1970』(平凡社新書)という本が出ました。ぼくにはイラストレーター第一歩の仕事場が、この’70年アンアン創刊号でしたから他人ごとではなく、ただただ懐かしい限り。著者の赤木洋一さんは’02年までマガジンハウスの社長さんで、アンアン創刊当時のスタッフでした。ぼくのような素人同然の新人にも優しくバックアップしてくださった恩人なのです。お人柄どおりの明るくて元気溢れる文章でユーモアもたっぷり、読んでいるうち37年も昔に連れ戻されて、あのあまりにも楽し過ぎた初期アンアン時代が甦りました。
終わりのほうには、ぼくの名前まで(ドキっとしますね)出てきます。堀内誠一さんがAD(’72年まで)をされていて、そのお弟子さんでぼくには多摩美の先輩だった新谷雅弘兄貴と取材したページも載っていました。赤木さんは《この号にはぼくにとって忘れられない企画もある。十三ページにわたるガイド&ショッピング大特集「香港再見」である。》とあるのがそれで、その中の1見開きが出ています。香港で主にぼくが選んで買ったグッズのページです(この時はスタイリストですね)。カメラは先年死んだぼくの古い親友でした。編集とデザインは新谷さん。すでにこのページは新谷さんが後々デザインする初期「ポパイ」や「オリーブ」の情報満載レイアウトデザインがすでに完成しているな、と改めて実感しました。
余談。この時の香港グッズは、取材後に東京のぼくの仕事場にディスプレイしていましたから、勝手に私物化しちゃったわけですね(もう時効ですよね)。泥棒市場と呼ばれる所の、古い瓶ばかりだけを売ってる店で買った、Poison(毒薬)と型押しのある瓶なんかもありました(そのページ左側)。しかし何度か引越しているうちに、ほとんどはどこかへいっちゃって、唯一残っていたのが上の写真、ホテルのザ・ペニンシュラ香港1階にあったショップのキャンディボックスです。中身のチョコレートはすぐ食べたから、昔過ぎて旨かったかどうか憶えはありません。こんなものが割れないで残っているんですね。

「アンアン」1970 (平凡社新書 358)

「アンアン」1970 (平凡社新書 358)