お不動さま

osamuharada2011-02-15

むかし京都新門前の骨董屋で買った、小さな不動明王像。身のタケ8cmほどながら、右手に利剣、左手に羂索(けんじゃく)を持ち、火焔を背負って、大盤石の上に座している。(現在、利剣は壊れています)
古色蒼然、全体はススけちゃって真ッ黒けだが、光背の火焔のみにわずかながら朱の色が残っている。火焔は、左右の板が破損していたので、まずいと思ったのか店主が勝手に値引きをしてくれた。お不動さまと店主さんには申し訳ないが、実は始めっから、そこの割れて壊れて縦長になってしまった火焔の形体が、すごく気に入り衝動買いをしたのでした。左右が欠けて細長くなってしまった光背は、彫刻や施された色彩が、なんだか縄文土器の破片を想起させる。それにまたモダンで抽象的なオブジェにも見えてくるのです。なんて思ったもので・・・。
しかし壊れかけたミニアチュール仏像といえども、ただ部屋に飾っておくには畏れ多い気がしてきた。そこで横に香炉を置き、時々お香をたいたりしていると、なにやら霊験あらたかなる空気に包まれてきちゃうから不思議なものですね。昔の日本人が小さなお不動さまを身辺に置いて、悪魔や敵を撃滅しようとした気持ちがよくわかるな。憤怒像のお不動さまが、嫌なコトはすべて睨み返して、追っ払ってくれるんだよね。