桜咲く

osamuharada2011-03-28

アメリカの知的雑誌『ニューヨーカー』の表紙イラスト。
放射能のシンボルマークが桜の花びらになっている。
日本人の一人としてはつらくて悲しいけれど、このイラストの持つメッセージ性は圧倒的です。優れた洞察力と批判精神が無ければ、このような力強いイラストを描く勇気を、イラストレーターは持ちえないからです。
しかし、世界からは、今このような目で日本が見られていることに当の日本人は気づかない。
つい先ほど人々が眠りについた深夜にそっと、NHKテレビニュースは、土壌からプルトニウムが検出されたと短く報道。明日になれば、お得意の「ただちに人体に影響の出るレベルではありません」が連呼されることでしょう。
そしてその安全宣言を聞いて、開花宣言が出たばかりの東京では、お花見へ繰り出す人たちもいるでしょう。街の電気が消えていれば、月明かりに見る夜桜も美しい。
目には見えない恐怖を可視化した『ニューヨーカー』の桜など、どこにも咲いてはいないから、日本人だけの安全神話はまだまだ続いてゆく。安全安心を信仰する、あたかも新興宗教のように。