食品添加物の常識を疑え

食品添加物は百害あって一利なし」?

 最近、「買ってはいけない」という本の続編が出たそうだ。この本の著者のように、食品添加物は百害あって一利なし、絶対追放すべきものと考えている人は少なくない。

 しかし、果たして本当にそうなのだろうか。私はあえてこの意見に反論する。

 まず、食品添加物には確かに利点もあり、そのために作られたものである。たとえば悪者食品添加物五本の指に入る合成保存料。今では冷蔵・冷凍技術やフリーズドライ等の食品加工技術によって出番が減ってきたが、昔はそんなハイカラな技術はなかったから、食品を長く保存させようと思ったら、塩漬けや砂糖漬けに缶詰・瓶詰、それができなければ合成保存料に頼るしかなかった。これがなければ、食中毒のリスクはずっと高かっただろうし、どれだけの食糧が無駄になったことだろう。

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動物実験の常識を疑え

 動物実験に反対する人やグループがいる。中には、動物実験を行っている研究所に忍び込んで機材を破壊したり、研究者を殺害したりするテロリストまがいのグループまであるという。

 「実験材料に使われるなんて、動物さんが可哀想」とセンチメンタルな意見を言うのは簡単なことである。しかし、こんなことを言う人は、その前に動物の肉を食べるのを止めて欲しい。人間のために動物の命が失われるという点では、食肉も動物実験も同じである。

 動物実験がなければ、医学を含めた科学の進歩はどれだけ後れていただろうか。我々が安心して薬局の薬を飲む事ができるのも、実験台になってくれた動物のおかげなのである。

 それに、動物実験は、動物の医療という分野においては、人間だけでなく動物のためにもなっているのだ。動物ばかりが一方的に不利な役割を押しつけられているわけではない。

 もっとも、私は実験に必要な範囲を甚だしく逸脱した動物虐待には反対である。実験に必要な最小限度の動物を、可能な範囲であまり苦しめずに行って欲しいものだ。それに、動物を使わなくても良い代替手段があるのなら、それを使う事もできるだろう。しかし、一部の実験に代替手段があるからといって、動物実験が100%要らなくなるわけではない。動物実験がなくなる日、それは我々が文字通りあるいは比喩的な意味で人体実験の人柱になる日なのだ。それはもっと残酷な世界である。