古典的お色気萌えキャラ? ベティ・ブープ

ディズニーが性的要素を排除し、アニメや漫画を無垢な子供のための媒体として定着させていたからこそ、性的魅力の注入は、強力な変容の手段として機能してきた。その結果として生まれ、発達してきたのが、日本のアニメに特有な「美少女」というモチーフなのである。(「おたく 人格=空間=都市」27ページ)


 「米国産のアニメキャラクターはお色気要素を取り除いた、純粋に子供向けのキャラクターとして発展したが、日本ではそこにお色気要素を取り込んで“美少女”キャラクター文化を創り出した」かのように説明される事がよくある。
 しかし言わせてもらおう。


ベティちゃんを忘れないで!!



ベティ・ブープ - Wikipedia
YouTube - Betty Boop
 確かに、ベティ・ブープは日本的な美少女萌えキャラとは全然違うように思えるかもしれない。しかし、実写映画の世界でいうマリリン・モンローのような、お色気とかセクシーな魅力とかを表面に出して描かれた漫画映画キャラクターである事に異論を唱える人は少ないだろう。
 プロポーションの良い美女だけど、顔は可愛いまん丸お目々、声は舌っ足らずの甘ったれ声で、「ブプッ・ピ・ドゥップ」が口癖。服装も、今アキバ系界隈で「絶対領域」という言葉が流行り出す半世紀以上も前から、ミニスカートの下にガーターベルトをのぞかせているという出で立ち。おまけにドジっ娘と来ている。うわあ、萌え要素満載。
 ついでに言うならば、「女性の幼い部分を魅力として描くようになったのは1980年代のロリコンブームのあたりから」というのも、思いっきり勘違いであって、その半世紀も前には、可愛いけど幼くてちょっとおバカという、少々ステレオタイプなキャラクターがこうして米国で生まれているわけである。
 もういい加減、「アメリカのアニメ=ディズニー」という固定観念は捨てましょうや。そして、日本の漫画やアニメが影響を受けた米国アニメは、ディズニーだけという固定観念も。ベティ・ブープもポパイも、そして後にはスーパーマンとかトムとジェリーとか、他にも数え切れないほどある、とにかくいろんな米国アニメが日本人に影響を与えてきたに違いない、と私は思っている。
 ご存じの方もいるかもしれないが、米国では後の漫画映画や漫画の表現規制によって、この種のお色気キャラがスクリーンから漫画本からどんどん姿を消していったらしい。しかし、それらが日本にたどり着いて生き残り、現在の「萌えキャラ」という形で発展していったとしたなら、興味深い。そう考えてみると、「ベティ・ブープ」も、もしかしたら、現在の日本の萌えアニメの遠くて近い祖先なのかもしれない。