乾癬

乾癬(かんせん)という皮膚病をご存知ですか。
皮膚病には古来俗称で親しまれているものも多いのですが、この病気には適当な名前が付けられていません。
その理由は恐らく日本人には比較的少ない皮膚病ためと思われあす。
白人には多く、皮膚病といえば乾癬を指すほどよく知られています。
しかし最近は日本人にも増加傾向があるといわれています。
乾癬は感染しません。
しかし治りにくい(難治)のが難点です。




#原因不明の皮膚病「乾癬」
#炎症物質の増殖抑える治療進化
#リウマチ用製剤投与 症状改善の効果
皮膚が赤く盛り上がり、表面がぼろぼろとはがれ落ちる「乾癬(かんせん)」。
欧米人によくみられる皮膚病だったが、最近では日本人にも増えているという。
発症原因が完全に解明されておらず根治は難しいが、炎症を起こす物質(サイトカイン)をやっつける「生物学的製剤」を使った新しい治療法が1月に登場、症状の改善が期待できるようになった。
 

「正確な統計はないが、治療の現場に立つ身としては、患者が増えていると感じる」。
こう話すのは東京逓信病院皮膚科の江藤隆史部長。
東京慈恵会医科大学の中川秀己教授も「増えているような印象を持っている」と語る。
 
乾癬は難治性の皮膚疾患。
主に髪の生え際やひざ、ひじの皮膚が赤く盛り上がり、斑点の上に白く乾燥した皮膚片が付着し、はがれ落ちる。
かゆみを伴うかどうかは半々で、重症化すると炎症性関節炎を併発したり、国が難病に認定している膿疱(のうほう)性乾癬になったりする。
膿疱性乾癬になると頻繁に熱が出て、膿疱が破れて低たんぱく血症などを引き起こす。
 
日本人の1千人に1人の割合で発病するともいわれている乾癬は、命にかかわることはほとんどないが、見た目を気にして他人との接触をさけるなど、精神的な苦痛を感じる患者は多い。
乾癬が他人にうつることはないが、乾癬と感染の発音が同じであるため、うつると誤解されやすい。


#原因など研究遅れ
乾癬の発症に関する遺伝子はいくつか見つかっているが、これらの遺伝子を持っていても発症するのはごく一部で、家族内での発生頻度は約5%にすぎない。
発症原因の大部分を生活要因が占めるという点では糖尿病や高血圧症と似ている。
 
糖尿病や高脂血症だと乾癬を引き起こすリスクが高くなりそうなことがわかってきた。
 
また、肌の大敵ともいわれるストレスも症状を悪化させるようだ。
へんとう炎や虫歯も生活要因としてあげられるようになってきた。
 
乾癬の治療法としては、初期段階では主に塗り薬が使われる。
 
発疹(ほっしん)部分が大きくなると、内服療法か光線療法に代わる。
内服療法は免疫抑制剤であるシクロスポリンの服用が代表的で、通院の頻度は少なくて済むが、薬代が高い。
また、副作用として腎機能障害が起きることもある。
 
紫外線をあてる光線療法は治療費が安くすむ半面、治療のたびに病院に足を運ばなければならない。
まれではあるが皮膚がんという副作用も心配しなければならない。
 
こうしたなか期待されているのが生物学的製剤を使った第4の治療法だ。
今年1月、田辺三菱製薬の「レミケード」と、米系製薬会社アボットジャパン(東京・港)が製造しエーザイが販売元の「ヒュミラ」が登場した。
 
レミケードが点滴剤でヒュミラは皮下注射というように、投与方法に違いはあるが、どちらも病気を治療する作用機序は同じだ。
もともとは関節リウマチや小腸の病気であるクローン病向けに開発された。製薬各社の適用拡大申請を受け、厚生労働省が承認、乾癬治療にも使えるようになった。


#海外実績見て適用
乾癬の炎症をもたらすサイトカインは「TNFα」。
低分子からなるたんぱく質で、これが突然どんどんと増え、自分の体を攻撃し始める。
レミケードやヒュミラは、TNFαを増やす物質を攻撃する機能を持っており、TNFαの増殖を抑え込むことができる。
 
TNFαが体内で悪さをするのは、関節リウマチもクローン病も同じ。
田辺三菱製薬レミケード企画部の矢田修宏主任によると、「海外でクローン病治療に使っていたところ、乾癬を併発していた患者の皮膚の改善がみられ、乾癬治療への適用が検討され始めた」という。
 
レミケードの臨床効果は乾癬の範囲と症状の程度を示す「PASIスコア」でみると、88%の患者で75%の改善がみられた。
江藤部長は「人間の免疫機能を抑えつけるため、肺炎や結核などの副作用のリスクはあるが、従来治療法と比べても効果は極めて高い」と指摘する。
 
治療の選択肢が増えた分、症状改善への期待は高まった。
 
ただ、各治療法には副作用も伴う。医師とよく相談しながら、自分の症状にあった治療法をあせらずに選ぶようにしたい。


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出典 日経新聞・夕刊 2010.3.19(一部改変)
版権 日経新聞



<関連サイト>
乾癬
http://ja.wikipedia.org/wiki/乾癬

皮膚科Q&A:第14回:乾癬
http://www.dermatol.or.jp/QandA/kansen/contents.html
(皮膚科のドクターが詳しく解説しています。皮膚科の疑問にすべて答えてみえるといっても過言ではない素晴らしいサイトです。)

乾癬
http://www.hifujouhou.com/01kansen/index.html
(ドクターがわかりやすく解説しています)


アトピー性皮膚炎・尋常性乾癬の治療法
http://www.medicalcl.jp/

尋常性乾癬
http://www.mirai.ne.jp/~seisinc5/wadai0010.htm
(乾癬の写真が出ています)



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ロコモティブシンドローム

ロコモとは
 運動器症候群:ロコモティブシンドロームの略です。

ロコモ;運動器症候群:ロコモティブ シンドローム(locomotive syndrome)とは
「運動器の障害」により「要介護になる」リスクの高い状態になることです。
 日本整形外科学会が、2007年(平成19年)に、新たに提唱しました。「ロコモ」の提唱には、「人間は運動器に支えられて生きている。運動器の健康には、医学的評価と対策が重要であるということを日々意識してほしい」というメッセージが込められています。

ロコモの原因
 「運動器の障害」の原因には、大きく分けて、「運動器自体の疾患」と、「加齢による運動器機能不全」があります。
1)運動器自体の疾患(筋骨格運動器系)
 加齢に伴う、様々な運動器疾患。たとえば変形性関節症、骨粗鬆症に伴う円背、易骨折性、変形性脊椎症、脊柱管狭窄症など。あるいは関節リウマチなどでは、痛み、関節可動域制限、筋力低下、麻痺、骨折、痙性などにより、バランス能力、体力、移動能力の低下をきたします。
2)加齢による運動器機能不全
 加齢により、身体機能は衰えます。筋力低下、持久力低下、反応時間延長、運動速度の低下、巧緻性低下、深部感覚低下、バランス能力低下などがあげられます。「閉じこもり」などで、運動不足になると、これらの「筋力」や「バランス能力の低下」などと、あいまり、「運動機能の低下」が起こり、容易に転倒しやすくなります。 

ロコモは国民病です。
 変形性関節症と、骨粗鬆症に限っても、推計患者数は4700万人(男性2100万人、女性2600万人)とされています。ロコモはまさしく国民病といってよいでしょう。吉村典子2009年

ロコモは、「ねたきり」や「要介護」の主要な原因です
 ロコモは、「メタボ」や「認知症」と並び、「健康寿命の短縮」、「ねたきりや要介護状態」の3大要因のひとつになっています。
 ご高齢の方は、これらの「加齢」や「運動不足」に伴う、「身体機能の低下」や、「運動器疾患」による痛みや、易骨折性(軽微な外傷による骨折)など、多様な要因があいまって、いわば「負の連鎖」により、バランス能力、体力、移動能力の低下をきたし、ついには、立って歩く、衣服の着脱や、トイレなど、最低限の日常生活動作(ADL)さえも、自立して行えなくなり、「健康寿命の短縮」、閉じこもり、廃用症候群や、寝たきりなどの「要介護状態」になっていきます。

メタボとロコモ
 メタボ:メタボリックシンドロームは、心臓や脳血管などの「内臓の病気」で「健康寿命」が短くなったり「要介護状態」になるのに対し、ロコモ:ロコモティブシンドロームでは、「運動器の障害」が原因でおこります。「ロコモ」と「メタボ」や「認知症」を、合併する方も多いという報告もあります(吉村典子2009年)。高齢者のtotal healthの観点からは、幅広い対応策が必要です。年を取って、寝たきりや、痴呆になって、要介護となることはできるだけ避けたいものです。これらの「健康寿命の延伸」、「生活機能低下の防止」には、予防、早期発見・早期治療が重要です。




ロコモティブ症候群
[http://www.jcoa.gr.jp/locomo/teigi.html

title=http
//www.jcoa.gr.jp/locomo/teigi.html

]
ロコモティブシンドローム
http://www.nhk.or.jp/kenko/kenkotoday/archive/2009/0406/index.html
NHKきょうの健康」2010.4.6放送)














http://www.shigenobu-clinic.com/index.php?



ロコモティブシンドローム
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy/archive/2009/07/24