節電の夏へ

節電の夏へ 下着の違いでクール感は変わる?

気象庁の予測では「今年は猛暑だった昨年よりはましだが、平年よりは暑くなる」とか。
おまけに原子力発電所の事故の影響で、節電が重要課題の一つだ。
職場の空調が抑え気味となり、暑さに苦しむ機会は増えそうだ。
記者(49)は夏場は素肌にワイシャツ派だが、ひんやりをうたう機能性下着などの違いで涼しさがどう変わるか、実験に乗り出した。

機能性下着の素材はポリエステルやキュプラなど。少しでも夏を涼しく過ごすためのグッズとして注目株の一つになっている。

自宅でひんやり感がどれだけ持続するか調べた。
関東地方は梅雨入りし肌寒い。やむをえず暖房で室温を28度にし、ワイシャツに機能性下着や綿100%の下着を着た時と素肌にまとった時とで比べた。

用意した機能性下着はポリエステル100%と、キュプラやポリエステルなどが混ざった2種類。
身につけると、確かにひんやりする。これが「接触冷感」なのか。持続すれば確かに心強いと期待した。

28度の部屋は暑い。
綿の下着の場合、身につけてものの3分ほどで人肌と変わらなくなり、その後は多少暑苦しさを感じた。

機能性下着に着替えると約20分、ひんやり感を体感できた。
でもそれ以降は大して変わらない。
「実力はこの程度か」と思ってしまった。素肌に直接シャツをまとった方が、シャツの内側にすき間があり涼しく、終始快適だったからだ。

とはいえ、夏の盛りには一歩外に出た瞬間、汗が噴き出してくる。
そこで自宅周辺をジョギング、体を熱くして「暑い夏に外回り」という疑似的な職場の状況をつくった。


ジョギング15分 違いくっきり
素肌にワイシャツで上にウインドブレーカーを着こみ、自宅を飛び出した。
外気温は低かったが、5分も走ると体は熱をおびてくる。背中を汗が一筋、したたり落ちるのが分かった。
たかだか15分だが帰宅後、ワイシャツはびっしょり汗でぬれていた。
鏡に映すと布が体にはりつき、素肌が透けて見える。これは見た目も格好悪いと思った。

「シャワーを浴びたい」欲求に駆られたが、こらえる。汗をタオルでぬぐい一息いれて、次に綿100%の下着を着て走った。

今度は下着が汗を吸収して、汗が背中を伝わる感覚はない。
ワイシャツがびっしょりになることもなかったが、その分、下着の背中や胸の中心部がじっとりとぬれている。
重さを量ると140グラム。走る前より25グラム増えていた。
下着の内側に熱がこもり、蒸れたような感じも耐え難い。
しばらくすると汗が冷えて不快になる。
時計で確認すると、ハンガーにつるし下着が乾くまで1時間ほどかかった。
この汗のままオフィスで過ごすのはきついと感じた。

次は機能性下着だ。
売り物のひんやり感は10分で消えた。
ウインドブレーカーの内側の背中を触ると熱をしっかり帯びていた。
ただ帰宅後、ワイシャツは湿っぽくはなっていたが、汗でぬれた部分はない。
下着でぬれていたのは背骨付近やおへそ周辺だけだ。

重さの変化はポリエステル100%が15グラム増の110グラム、キュプラ混紡が5グラム増の105グラム。
「吸汗速乾」の機能が働いたようだ。
おかげで戻った後はしばらく体がほてっていたものの、不快感なく新聞を読んで過ごせた。
しっとりした下着は15分で乾燥。汗が噴き出す夏を想定した場合、これは頼もしい。


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汗対策の基本 吸い取り乾かす
文化学園大(東京・渋谷)の田村照子・文化・衣環境学研究所長は夏場の装いのポイントとして「いかに体表熱を効率的に発散し、汗をすぐに吸い、乾かすかが大事」と指摘する。
この条件を満たすものとしてTシャツにゆったり目の麻のジャケットや、かりゆしウエアを挙げる。
「Tシャツでもジャケットがあれば、ビジネスの際に見苦しくない」。
この夏だからこそ、さらに一歩踏み込んだクールビズを訴える。

Tシャツ、ジーパンを可とする環境省提案の「スーパークールビズ」が始まったものの、業界・職種によって服装の自由度は違う。ワイシャツ以外はダメという会社はまだまだある。

そこでワイシャツ姿でも冷感を味わえる小道具として液体のデオドラント剤(制汗剤)と衣類用冷感スプレーを試した。
どちらも値段は数百円と手ごろだ。ジョギング後、デオドラント剤を首周辺に塗った瞬間、スーッとした。ただ人によっては刺激が強くヒリヒリ感じる人がいるかもしれない。


首回りにデオドラント剤 爽快感長続き
15分走った直後にサーモグラフィーで撮影した首から下の上半身の画像(左)と、液体のデオドラント剤を適量、首回りに塗って撮影したもの(右)。
首の下付近の一部が青く変化し、温度がそこだけ下がったのがわかる。
ただ温度低下は数分間だけ。それでも爽快感は6時間ほど続いた。デオドラント剤のメーカーによると、「感受性抜群の首を冷やすといい」という。


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体温変化はどうか。
NEC Avio赤外線テクノロジー(東京・品川)にサーモグラフィーを借り体表温度を測定した。走った後にデオドラント剤を塗ると画像に体温変化が表れた。
液を塗った首の周辺が青くなり一部は5度以上低いことを示している。時間にして数分だった。

デオドラント剤メーカーによると、アルコール成分などの気化熱によるものという。
温度変化は短かったが、スースーする刺激は薄れながらも数時間は感じられた。体がスースーしたのは冷感スプレーも同じ。ワイシャツの内側に噴霧して使い、効果は1時間半ほど続いた。

実験して感じたのは「なんとか知恵を発揮すれば室温が高くても大丈夫かも」。
工夫して暑い夏をクールに乗り切ろうと決意した。

出典 日経プラスワン 2011.6.4(一部改変)
版権 日経新聞



<自遊時間>

炉心損傷示す放射性物質「今日情報を得た」 IAEA事務局長

国際原子力機関IAEA)の天野之弥事務局長は6日の記者会見で、東日本大震災の発生翌日の3月12日に福島第1原子力発電所の炉心損傷を示す放射性物質が検出されていた問題について「今日情報を得た」と述べた。
原子力安全・保安院は検出の事実を2カ月半以上も発表しなかったが、IAEAにも報告していなかったことになる。

IAEAの調査団は5月24日から6月1日まで日本に滞在し、福島第1原発などを視察した。
天野事務局長は会見で「調査団も情報を受け取っていない」と説明した。

炉心損傷を示す放射性物質は核燃料が1000度にまで過熱しないと放出されないとされる「テルル」で、天野事務局長は「テルルの放出は重要な情報」と指摘した。
テルルは1号機で最初に排気用の弁の開放(ベント)をする前に原発の敷地外で検出されていた。
出典 日経新聞・Web刊 2011.6.7 9:45
版権 日経新聞
<私的コメント>
小さな記事ですが大きな内容を含んでいます。
東電のみでなく「原子力安全・保安院」の隠蔽体質が白日の下にさらされたわけです。
「ウソをついたわけではない」「発表を控えていただけだ」という論理だと思います。
しかし、「知っていることを知らないように装うこと」自体が「ウソをついたいた」になります。


ふくろう 
他に
井蛙内科開業医/診療録(4)
http://wellfrog4.exblog.jp/
(H21.10.16~)
井蛙内科開業医/診療録(3)
http://wellfrog3.exblog.jp/
(H20.12.11~)
井蛙内科開業医/診療録(2)
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(いずれも内科専門医向けのブログです)
「井蛙」内科メモ帖 
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葦の髄から循環器の世界をのぞく
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(循環器専門医向けのブログです)
「葦の髄」メモ帖
http://yaplog.jp/hurst/
(「葦の髄から循環器の世界をのぞく」のイラスト版です)
があります。

原因不明熱 PETで正確迅速な診断

原因不明熱、画像で究明 PETで正確迅速な診断
38度以上の発熱が2週間以上続き原因が分からない「不明熱」の患者を陽電子放射断層撮影(PET)で検査すると、体内のがんや炎症の場所を画像で把握でき、原因究明につながりやすいとの研究結果を国立国際医療研究センターなどが7日までにまとめた。

同センター放射線核医学科の窪田和雄医長によると、不明熱は日本で毎年5万人が発症。
原因となるのは、がんや感染症膠原病などの病気。
正しく診断されるまでに複数の診療科でさまざまな検査を受ける患者も多かったが、PETの利用で、正確で迅速な診断が期待できるという。

PET検査は、がんや炎症など代謝の盛んな部分に集まる放射性物質を付けた薬剤を体内に入れて撮影。
体を透視したような画像の中で、薬剤が集まった場所は濃い色が付き、病巣がどこにあるかが分かる。

窪田さんらは2006〜07年、6病院で不明熱の患者76人をPETで検査。
画像から、特定の部分にがんなどの病巣がある患者の81%を発見できた。
一方、薬剤アレルギーなど特定の場所に異常が出ないタイプの患者は75%を正しく判別。
適切な治療法の選択につながったという。

出典 m3.com ニュース・医療維新 2011.6.7
版権 共同通信社


<私的コメント>
被曝やコスト・ベネフィットの万代はクリアーできるのでしょうか。
膠原病が限局的に描出できるのかということと、がんと炎症の鑑別はどうかといったことはどうなのでしょうか。