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こんな映画は見ちゃいけない! このページをアンテナに追加 RSSフィード

2007-03-05 パフューム このエントリーを含むブックマーク

otello2007-03-05

パフューム PERFUME:THE STORY OF A MURDERER



ポイント ★★★
DATE 06/11/15
THEATER ギャガ
監督 トム・ティクヴァ
ナンバー 197
出演 ベン・ウィンショー/ダスティン・ホフマン/アラン・リックマン/レイチェル・ハード=ウッド
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


その芳香の前にあらゆるものはひれ伏し、憎悪すら愛に変わる。超人的な嗅覚の代償として、自ら愛し愛されることを拒んだ男は、あらゆるものを超越した神の力を宿す。魚の内臓や野菜くず・ねずみの死骸やドブの悪臭から、草木や水・果実や花といった自然の恵みまで、この世に充満するあらゆる匂いを男は記憶する。彼の感覚を映像で表現するカメラの素晴らしさは、まるでスクリーンが香り立つようだ。そして男は自分の調合した香水救世主になろうとする。


異常なほど鋭い嗅覚を持つ孤児のグルヌイユは、皮なめし職人に売られる。ある日プラム売りの少女の体臭に強く心を引かれ、その香りを調合することに人生を賭ける決意をし、香水職人に弟子入りする。


互いの体臭に安心感を得ること、それこそが愛であると映画は訴える。だからグルヌイユ自身には体臭がなく、愛を得る資格はない。やがて彼は美しい女性の体臭という理想の香りを調合するために殺人鬼となるが、犯罪を繰り返しても人智は彼に遠く及ばない。それは神に選ばれし者の特権、虜にした少女の体に獣脂を塗って匂い成分を集める姿は官能的だ。しかし彼は決して少女の体に性的な興味を抱かない。力のために愛を捨てる、その潔さが彼の生き方を象徴している。


やがてグルヌイユは捕らえられ、死刑台に送られる。そこで彼が調合した究極の香水を振りまき、その瞬間死刑囚が神となる。このシーンでは映画はもはや香りのリアリティを捨て、おとぎ話になる。あらゆる説明より、怒った群衆が一転して愛し合う姿に、香りこそが愛の原動力、神が与えた快楽の根源であることを雄弁に物語るのだ。最後にグルヌイユ自身が愛をまとった瞬間、その肉体も精神も群集に貪りつくされる。圧倒的な力を持つ者に、個人的な愛は許されない。その神の摂理が、パリの雑踏を背景に鮮やかに描かれていた。


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