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こんな映画は見ちゃいけない! このページをアンテナに追加 RSSフィード

2018-01-30 ロング,ロングバケーション このエントリーを含むブックマーク

otello2018-01-30

ロング,ロングバケーション The Leisure Seeker i

監督 パオロ・ヴィルズィ
出演 ヘレン・ミレン/ドナルド・サザーランド/クリスチャン・マッケイ/ジャネルモロニー/ダナ・アイヴィ
ナンバー 20
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

夫はアルツハイマー、妻は末期がん。迫りくる死をただ待つよりは、体が動くうちにもう一度自由を手に入れよう。物語は、老カップルが古びたキャンピングカー米国東海岸縦断する旅を描く。時に頭が混乱し、今どこにいるのかもわからない。今何をしているたかを忘れても往時の教え子はよく覚えていたりする。夫の認知は何度も錯綜し、そのたびに妻は後始末に追われる。とはいえ長年連れ添った夫婦、共有している楽しかった思い出に浸るうちに、心から愛したのは相手だけと安どする。狭い空間で一日中ふたりで過ごす、その濃密な空気は長い長い過去を振り返りお互いを顧みて記憶を反芻する過程でもある。夫婦とは何か、生きる意義はどこにあるのか、ちりばめられたヘミングウェイ言葉が、黄昏を迎えた彼らの人生に、最後きらめきを与えていた。

ヘミングウェイの家を見学するために出発したジョンとエラは、昼間はドライブ、夜はキャンプ場で家族写真スライドショーで見ながらひたすら南下する。健忘や失禁など、突発的なジョーの症状にエラは振り回される。

だがそれは想定内、それでもエラを乗せずに発進したりジョンが急に姿を消したりと、エラの気持ちが休まるのはジョンがおとなしく運転している間か就寝中のみ。レストランでウエイトレスをつかまえては文学講釈を垂れる、そんな “現在” は混とんとしているのに遠い昔に身につけた知識さび付いていないという認知症実態がユーモラスに再現される。

ネタばれ注意! 以下 結末に触れています

ところがエラを隣家主婦勘違いしたジョンは、ずっと隠していた思いを吐露してしまう。もはや妻の顔さえ分からなくなってしまった夫に対しての哀れみより裏切られた怒りが勝るエラ。一時感情的になるが、やっぱりジョンの考えていることはだいたいわかる。双方にとって自分が唯一無二の存在であったと確認できたら後は “その時” を待つばかり。十分に生きた者にとって、死は悲しい別れなのではなく旅立ちであるとこの作品は教えてくれる。

オススメ度 ★★★

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