あいうえおしりとりの圏の定義が不十分な件、あるいはトマトが嫌い

しりとり圏の初出の時に読んで理解したと思っていたけど、自分で書いてみると発見があるもんですね。
不十分な点は、合成した射がいつ等しくなるかということについて何も決めていないところ。
檜山さんのしりとり圏では、「射は文字列」としているので、射の異同は文字列の異同となっているので問題ない。
僕が作った「あいうえおしりとり」は、文字列記法を構成的にやっているので、例えば "あい" と "ああいい" が異なる射なのか同じ射なのかを言わないと圏の定義として不適切。表記そのものは変更する必要はないけれど。
ということで、「あいうえおしりとり圏」の定義を完全にするために、次の条件を入れてみる。

  • 射 "とまと" と "と" は等しい。: "とまと" = "と"
  • それ以外の条件はなし。

トマト嫌いの方のためにトマトを消してみようという意図です。

この条件を使うと、"きょうのしょくじはとまとがみっつ" という射は

  "きょうのしょくじはとまとがみっつ"
= "きょうのしょくじはと";"とまと";"とがみっつ"
= "きょうのしょくじはと";"と";"とがみっつ"
= "きょうのしょくじはと";"とがみっつ"
= "きょうのしょくじはとがみっつ"

となる。おお、おそろしい。やってみてびっくりした。

もう一つ、"あしたのしょくじはとまとまとがよっつ" のように "とまと" が二箇所に現れている射の場合はどうなるか?

  "あしたのしょくじはとまとまとがよっつ"
= "あしたのしょくじはと";"とまと";"とまと";"とがよっつ"
= "あしたのしょくじはと";"とがよっつ"
= "あしたのしょくじはとがよっつ"

となる。トマト嫌いも大変です。
さらに残念なことに、式変形は下から上に見てもいいので、"きのうのしょくじはきゅうりとなす" という射は

   "きのうのしょくじはきゅうりとなす"
 = "きのうのしょくじはきゅうりと";"となす"
 = "きのうのしょくじはきゅうりと";"と";"となす"
 = "きのうのしょくじはきゅうりと";"とまと";"となす"
 = "きのうのしょくじはきゅうりとまとなす"

とすれば、見えなかったトマトが現れます。我慢して食べなさいということかな。