OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

先週の読書記録

2009年7月6日 - 2009年7月12日の読書メーター
読んだ本の数:9冊
読んだページ数:2419ページ

偶然の音楽 (新潮文庫)■偶然の音楽
アメリカの自由、そして絶望。男二人のロードムービーは展開を二転三転し、思いもよらない結末へ辿り着く。壁を造る仕事が人間に課せられた原罪を象徴しているような気がしてならない。ほかに楽しめた部分としては、ナッシュとポッツィの小気味よい会話。ナッシュは実にナイスガイだ。


読了日:07月11日 著者:ポール・オースター
http://book.akahoshitakuya.com/b/4105217046


西瓜糖の日々 (河出文庫)■西瓜糖の日々 (河出文庫)
書き出しを読んだときから、この作品に一目惚れしていた。とうめいで、ほのかに甘く、少しつめたくてなつかしい感じ。いわゆるひとつの波乱の時代が終わって、進むべき道がなくなったゆっくりとした時の流れ。最後まで読んでどうしようもなく寂しくなった。西瓜糖の日々はどこにも行けない。


読了日:07月11日 著者:リチャード ブローティガン
http://book.akahoshitakuya.com/b/4309462308


ハローサマー、グッドバイ (河出文庫)■ハローサマー、グッドバイ (河出文庫)
これほどまでにラストに向かって疾走した読書体験は久々だった。次はどうなるの、次はどうなるのとまさにドローヴの気持ちをなぞるように読んでいった。正しいティーンエイジャー小説。成長の痛みを感じた。
氷、ってなぜか甘そうな印象を受ける。この小説もタイトルといい装飾といい甘味を感じさせる外観をしている。ブラウンアイズとの会話なんてまさに甘い。その甘さが大人たちの社会に奪われていく痛みにはドローヴとともに悔しがった。そしてたどり着いた結末は、ドローヴの少年性が勝利したのかどうか、読者に委ねられていると思う。ドローヴの未来がどうなるか、ということ。
個人的にドローヴの子供っぽさは嫌いじゃない。エウレカセブンレントンも然り。私はまだ大人になりきれていないのかも。
読了日:07月10日 著者:マイクル・コーニイ
http://book.akahoshitakuya.com/b/4309463088

わがままなやつら■わがままなやつら
レベッカブラウンに近い印象。どちらも胃もたれを起こしそうなほどの生々しさがある。また、隠喩をもちいているのはわかるけど、モチーフは何かがわからないところ、隠し方が意地が悪い。「オフ」での文体実験、「アイロン頭」での牧歌調と隠喩による風刺、「ジョブの仕事」での理不尽さが好き。


読了日:07月09日 著者:エイミー ベンダー
http://book.akahoshitakuya.com/b/4047916021


遠い声遠い部屋 (新潮文庫)■遠い声遠い部屋 (新潮文庫)
「草の堅琴」よりも硬め(美しさは健在)の文章で、こちらのほうが読みやすかった。少年のナイーブさっていいなあ。「その2」から不穏な空気が漂い、「その3」からは幻想的な内面世界で完全に想像をこえたものを読ませていただきました。


読了日:07月09日 著者:カポーティ
http://book.akahoshitakuya.com/b/4102095020


草の竪琴 (新潮文庫)■草の竪琴 (新潮文庫)
繊細で美しい文章。ただ、情景描写に多くが裂かれており、少々散漫な印象も受けた。中編だとさすがにだれるかも。樹の上の家で暮らしてみたい。


読了日:07月09日 著者:トルーマン カポーティ
http://book.akahoshitakuya.com/b/4102095047


猫とともに去りぬ (光文社古典新訳文庫)■猫とともに去りぬ (光文社古典新訳文庫)
児童文学らしい文章でスムーズに頭に入ってきた。内容も、まさに「おもちゃ箱をひっくり返したよう」。魚や宇宙人や植物やペットボトルがイタリアの街を飛び回っていて楽しかった。「恋するバイカー」には爆笑。ただ、時折毒のある作品もあって、そこがまた魅力なのかと思った。

読了日:07月09日 著者:ロダーリ
http://book.akahoshitakuya.com/b/4334751075


神を見た犬 (光文社古典新訳文庫)■神を見た犬 (光文社古典新訳文庫 Aフ 2-1)
天地創造」から始まり「この世の終わり」で終わる22編の短編集。バリエーションにも富んでおり、「アインシュタインとの約束」「秘密兵器」「1980年の教訓」などの寓話的SF、「七階」「グランドホテルの廊下」「呪われた背広」などのカフカばりの不条理展開、「天国からの脱落」「奢らぬ心」などのオー・ヘンリーのような心温まる話など。司祭や修道士がよく出てくるのが気になった。表題作にみられるように信仰が形骸化した現代にうまくそれを寓意に包んでよみがえらせているのかも。
読了日:07月09日 著者:ブッツァーティ
http://book.akahoshitakuya.com/b/433475127X


ヴェニスに死す (岩波文庫)ヴェニスに死す (岩波文庫)
私が第一にこの作品を読んで感じたのは作家の人生に魅了されたひとりのアッシェンバッハ研究者の姿だった。滑稽とも思える老作家の行動、姿に芸術に殉じたものへの敬服をみたのであろう。そしてアッシェンバッハが生きていて、規律から官能へと脱却した時どのような小説を書いたのか。老作家の旅の幻想的な表現といい、運命的な巡り合わせといい、見えない作家の筆の力を感じた。
読了日:07月08日 著者:トオマス マン
http://book.akahoshitakuya.com/b/4003243412


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