OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

『劇場版センキョナンデス』

最近は比較的心の調子がいい。今の自分が一番ストレスを感じることはひょっとすると選挙結果が思うようなものでなかった時かもしれない。

『劇場版センキョナンデス』は、芸人のプチ鹿島とラッパーのダースレイダーによるyoutube番組『ヒルカラナンデス』の劇場版で、2021年10月に行われた第49回衆議院議員総選挙、および2022年7月に行われ、選挙期間中に安倍元首相が銃撃された第26回参議院議員総選挙を舞台に、2名が各地に飛び候補者にインタビューしたり私見を述べたりする構成となっている。流れとしては、衆院選では映画『なぜ君は総理大臣になれないのか』でも取り上げられた小川淳也候補者を要する香川一区(この模様は選挙区と同名の映画にも収められた)をフューチャーし、参院選では先の衆院選での野党惨敗とそれに伴う弱体化を背景に、「戦うリベラル」ともとれる宣言を行った菅直人が批判演説を行った大阪府および京都府選挙区をフューチャーしているが、先に述べたとおり期間中に安倍元首相銃撃事件が発生。二人は、間違ったことも含めて、この時期に人々がどう思っていたかを残そうと決意する。まるで希望を託されたようなある人物の笑顔で、映画は幕を閉じる。

この2つの選挙結果が出た時にも暗澹とした気分になったことを覚えている。どちらも自分の応援していた候補者が当選したものの、全国的に見ると野党が惨敗、弱体化の一途を辿り、保守サイドは変わることなく、生活や未来が脅かされるような感覚を覚えた。この映画に出てくる自民党サイドの、ああ、この人たちは僕たちのこと見ていないんだろうなというような対応を見るとなおさらね。

さて、僕はリベラルであるのだけれども、どうしても自分で文章書いていて思うのが、リベラルを前に出してしまうとどうも文章が怖くなってしまう気がする。無論、真面目に語るべき話題なのだから仕方ない部分はあるが、政治色の強い文章は面白さという点でそうでない文章に勝てないのかもしれないと思う時がある。

だから、プチ鹿島ダースレイダーの2人の、時にユーモアを交えながらも真面目に政治に参加する姿勢をうらやましく思う。もしかするとここにリベラルの突破口があるのではと思うくらいに。

結局のところ、保守勢力が勃興することの何が嫌かって、現在の生活や子どもの未来が脅かされることもそうだけど、もっと嫌なのはある種の哲学的、文学的課題で、要はバカが大きな顔することが嫌なのだ。

クレバーでありながらユーモアも併せ持つ彼らに幸あれ。

ちなみに、ヒットすれば次は2022年9月に行われた沖縄県知事選を描くだろうとのことだった。観たい。