宮台真司 『教育をめぐる虚構と真実』

 教育とは、意図するとしないとにかかわらず、常にすでに「全体主義リベラリズム」と表裏一体だ。「全体主義リベラリズム」とは、社会的全体性の観点からソレをよしとするリベラルなパターナリズムをいう。「ゆえに」教育は常にすでに誤謬に見舞われている。(『原理的に決着不可能な問題にひらかれること』)
 
第1章  [よのなか]科と地域社会 (×藤原和博
第2章  教育改革の錯誤 (×藤田英典
第3章  ゆとり教育は間違っていたのか (×寺脇研
第4章  いじめをなくす処方箋 (×内藤朝雄
第5章  誰も知らない教科書検定の正体(×浪本勝年)
第6章  教育基本法愛国心は隠れ蓑にすぎない
 
 
 「超越への拝跪」を奨励する後期プラトン以降のメタ万物学(メタフィジクス)の流れが近代哲学を形づくりましたが、これに抗って「感染的模倣」を奨励する初期ギリシア的な万物学(フィジクス)への回帰をめざすのが現代哲学ですね。
 社会には、いろんな場所に、いろんな形で、人に感染させる力を持った人がいます。でも、子どもたちが学校の中に囲いこまれた今日の状況では、「人から人へと感染する力」に接触する機会が奪われてしまっています。これはとてももったいないことだと思います。(宮台、p.32)
 
 地域で起こるコミュニケーションの質をあげることにすべての資源(リソース)を利用し、学校を核にしてコミュニティをもう一度再生することこそ、大事なんです。(藤原、p.45)