おうみリハビリだより

近江温泉病院 総合リハヒリテーションセンターの回復期リハ病棟・介護医療院・医療療養病棟・認知症治療病棟・ 近江デイリハセンターの理学療法・作業療法・言語聴覚療法の紹介

第9回 作業療法へのいざない

今回で9年目を迎える「作業療法へのいざない」のイベントが先日無事終了しました。滋賀県作業療法士会が主催するイベントに、毎年当院の作業療法士は全員エピソードを提出しています。毎年このイベントにエピソードを提出するたびに、自身の臨床での取り組みを振替えることができます。また、このイベントを意識することで、より対象となられる方の思いに寄り添う・・「クライエント中心の作業療法」を取り組もうと研鑽することができます。

展示会場には、たくさんの方が足を運んでくださったようです。アンケート回収箱には、たくさんのアンケートを拝見することが出来ました。

 

今年は、東近江市にある能登川博物館で2023年8月20日(日)~9月3日(日)の間パネルと、作品の展示を行いました。今回は、自助具の展示も行い、作業療法士がオーダーメイドで作成した福祉用具も体験していただけるコーナーも用意されていました。

9月3日には、3年ぶりとなる対面でのイベントも再開することが出来ました!

当院の作業療法士も運営スタッフとして参加したり、実際にイベントに駆けつけ、将来リハビリテーション職を目指している高校生たちと一緒にワークショップに参加しました。

この日の詳しい内容は、また、次回書くことにいたします。。。

西山亜由美 作業療法士

「作業」が人と人とを繋ぐきっかけとなる!

近江温泉病院の作業療法科では、身の回りの生活行為の練習だけでなく、様々な目的のために、プログラムでよく「手工芸」を活用しています。

 

  手工芸をすることは手や頭の体操にもなりますが、その人らしさを取り戻してくれるものでもあります。

 今回は手工芸を通して心身共に元気になられた、回復期リハ病棟の患者さんとの関りを紹介させて頂きます。


「作業」が人と人とを繋ぐきっかけになる!そう感じた関わりです。

 

Aさん60代のご婦人です。
 脳の障害により利き手側が運動麻痺となり、失語症により言葉が出にくくなりました。

 元々はお孫さんの面倒もよく見ていたご婦人で、料理も得意で社交的な方でした。

 入院してこられた当時はスタッフの声掛けに対し答えようとしてくださいますが、言葉が出ず泣いてしまうこともしばしば・・・・。

 高次脳機能障害の影響により自分から行動されることは少なく、日常生活の多くの部分にお手伝いが必要でした。また失語症の影響から、頭では分かっているのに…言葉が出てこない。そんなもどかしさから、自ら人と交流することはなく、挨拶をされても俯いてしまう…そんな日々でした。


出来ないことばかり…。


・・・・・ですが、
出来ないことが多い日々の中で手工芸の作品は「できた!」という達成感に繋がりました。
 かわいいものが好きと知り、かわいい動物を一緒に作って頂きました。。

 

 その作品は、多くの方に褒めて頂き、笑顔が増えました。

 

 

 次はお孫さんに作りたいとのこと。

 

 お揃いの動物を作りました。

 

 お揃いのうち、ひとつはお孫さんへプレゼント。

 

 

 コロナ禍のため面会制限中の当院ではお孫さんと会うことはできません。電話も言葉が出ず、することが出来ない。ですが、作品がAさんとお孫さんを繋ぐきっかけとなりました。

 

  作品を受け取ったお孫さんからお手紙が届きました。嬉しくて見やすい所に飾りました。・・・・・・それを見てリハビリも頑張りたいとのこと。そして・・・・

 

 

 次は座布団を・・・・。

とても綺麗に編んでくださいました。

 この頃はリハビリで徐々に言葉が出てくるようになっていましたが、日常生活では自分から話そうとはされませんでした。

・・・・ですが、作品が色んな人に話しかけられるきっかけとなり、話す機会が増えました。

 

・・・・・話してみる。

それが相手に伝わり自信に繋がり、さらに笑顔が増え話すことが増えました。

 

 Aさんらしい社交的な面が戻ってきたように思いました。

 

 「作業」が人と人とを繋ぐきっかけとなる。

人と人とが繋がり、頑張りたい動機を見つけ、自信に繋がる。

 

「作業」の力を知ることができました。

 

 

回復期リハビリテーション病棟

作業療法士 戸上茜理

 

介護医療院・恒例の田んぼ作業の紹介(田植え、そして稲刈り、脱穀)

 今年も、立春をすぎ、雪解けともに少しずつ春の気配を感じていく日々になりました。

 立春は、農業行事の目安となる二十四節気の始まりの日。当院で農業といえば、畑と共に、実はお米も栽培しています。それらは、介護医療院なとで長期の入所で過ごしておられる方々の日常を彩っています。

 

 昨年5月某日……ゴールデンウィークも終わり、介護医療院の季節行事である『田植え・稲刈り』。

 農業しておられた皆さんをお招きし、お手伝いいただくとともに、大先輩として農業の経験のない作業療法士にも稲の植え方を教えていただ実施しています。

 

 お日柄も良く、熱中症対策に麦わら帽子をかぶっていざ!

 美味しいお米になるように一束ずつ手作業で植えていきます。

「昔は全部手作業でしてたんや」

「今は機械があるから便利になったなぁ」と皆さんしみじみ思い出されていました。

 

 毎年、この田植え行事に参加されている方も……!

だんだんと視力が衰えていく中でも、稲の匂いを嗅いだり、土の感触を楽しんだり、陽の光を感じたりしていただいています。そして作業療法士の支援の下、稲を持っていただき土まで誘導しながら一緒に植えていきます。

 

 

 そして厳しい夏や台風などの雨風を乗り越え……

 

 すくすくと育った稲穂たちをいざ収穫!

 鎌を手にするとこの真剣な表情!釜の使い方はみなさんさすがお手の物です。

昔取った杵柄ですね!

 

 昨年は例年以上の豊作でした。

 そしてそして……稲刈りのあとは脱穀作業も手作業で行っていきます。

 細かい作業は主婦のみなさんにおまかせさせていただきました…ありがとうございます!

 

 一つ一つ手で取っていくのは大変なので、お椀を使ってぷちぷちぷちっと稲から米だけを取っていきます。手の動きづらさを訴えられていた方も「これなら楽でいいな」と、とても好評でした。

 出来たお米は何にしましょう?と聞くと

「おにぎりがええな!」「具は何にしよう?」と和気あいあいと計画を立てておられました。

 さぁ・・このお米は何の料理になるでしょうか?みなさんと一緒に計画しています。

 

さあ・・今年も、待ち遠しいですね・・・。

 

介護医療院

作業療法士 松下美里





 

総合リハビリテーションセンター・今年もよろしくお願い致します

新年明けましておめでとうございます。

2023年もスタート・・あっという間に10日が過ぎました。

新たな年が、皆様のご健康とご多幸を心からお祈り申し上げます。

 

2023年・・コロナ禍が続く中、みなさんの大切な取り戻すことのできない1年1年は、着実に過ぎ去っていきます。

       ※

「今この一秒の集積が一日となり、その一日の積み重ねが、一週間、一ヶ月、一年、そしてその人の一生となっていくのです。」「人生の明暗を分かつものは、運不運ではなく、心の持ちようだ。苦しいときにこそ、明るい希望を失ってはならない。」

        ※

昨年、稲盛和夫・京セラ創業者が、多くの言葉を残してこの世を去られました。 「人生はつまるところ、・・一瞬一瞬の積み重ね・・に他なりません」。論語とも多くの共通点のある数々の言葉は、どのような状況にいたとしても、「希望と立ち直る力」の大切さを思うリハビリテーションにも通じるものです。コロナ禍は、私達の生活から多くの日常を奪っています。稲盛さんは、言います。そんな中に会っても、「どんな時でも、未来は明るくてさんさんと太陽が輝いて花畑になっていると思いなさい」と。

前向きに、ポジティブに日々を過ごせるように・・今年も、職員一同、みなさんの思いに耳を傾けて取組んでいきたいと思います。

今年もよろしくお願いいたします。

総合リハビリテーションセンター

部長  石黒 望

2022年 PT科の活動をまとめて報告いたします!

・勉強会実施

フランスベッドさんに来て頂き、歩行神経筋電気刺激装置のNESS L 300 GOの勉強会を実施しました!従来の電気刺激装置よりも装着・操作は簡易的になり、非常に使いやすい電気刺激装置であると感じました!みんな真剣に聞いています。

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パーキンソン病 のびのび友の会

東近江保健所の育成事業であるパーキンソン病患者・家族会「のびのび友の会」に当院の理学療法士3名が体操指導に参加させて頂きました。LSVTBIGの認定を受けた理学療法士が指導を実施しています。

みなさんから日常で困っていること、疑問点などをお聞きし、日常生活動作という部分にトピックスを置きながら、体操指導を実施しました。みなさんとても真剣に取り組んで下さっています!!

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・学会参加

2022年10月15日、16日に行われた「第20回 日本神経理学療法学会学術大会」に参加してきました!学会で多くの症例発表や研究発表、ポスター発表を拝聴し、大変勉強になりました。今回の学会で学んだ内容を臨床に活かせるよう、精進していきたいと思います!

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・勉強会開催

PT部門の回復期チームによる勉強会を開催しました!

今回の勉強会のテーマは『転倒患者における理学療法評価の分析』についてです。

当院回復期の転倒状況を共有し、理学療法評価との関係を分析し、どのように転倒予防していけば良いのか検討しました。明日から臨床場面に活かしていきたいと思います。

今後も質の向上に努めます!

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・勉強会開催

PT部門の訪問チームによる勉強会を開催しました!

今回の勉強会のテーマは『在宅での転倒状況と対策の分析』についてです。

当院回リハ病棟から在宅へ退院され、その後の転倒状況を把握することが出来ました。

この内容を今後の転倒対策に活かせるよう、日々質の向上に努めたいと思います!

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・勉強会開催

PT部門の役職者による勉強会を開催しました!当院では役職者が定期的に勉強会を開催しています。

今回のテーマは「機能的電気刺激を用いた歩行動作練習」です。機能的電気刺激と歩行に関する基礎知識からレビュー論文と当院の研究結果を供覧し、現状ベターと考えられる介入方法を共有しました。

今後も患者さんの歩行が少しでもより良くなるよう研鑽していきます!

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・勉強会開催

PT部門の役職者による勉強会を開催しました!

今回のテーマは「電気刺激について-機能的電気刺激を用いた歩行動作訓練-」についてです。

電気刺激の総論から、エビデンス、臨床で応用できる方法を学ぶことができました!

リハビリテーション前後における効果判定や、持続効果などまだまだ知りたいこと沢山あります。これからの臨床に活かせるよう、分析を続けていきたいと思います。

#勉強会 #歩行 #歩行動作 #歩行練習 #脳卒中 #リハビリテーション #理学療法士 #近江温泉病院

~当院介護医療院での取り組みについて~

こんにちは、作業療法士の神保です。

秋も深まり、朝晩が冷え込んできていますが、皆さんはどのようにお過ごしでしょうか?

 

本日は近江温泉病院・介護医療院でのリハビリテーションの取り組みの1つを少しお話し出来ればと思います。

 

昨年度よりご入所時の説明で「ご家族からご本人にしてあげたいこと」と「ライフヒストリーカルテ」というものを使用し、ご本人がどのような人生を歩まれ、どんな気持ちを大切にされてこられたかということをご家族からの視点でもお伺いさせていただいています。

病気を患い、今までのようにうまく言葉にできない方もおられ、ご本人の思いを聞き取ることが難しいこともあります。

ご本人を支えてくださるご家族からそのきっかけを少しでも頂けると、ご本人に寄り添った介入に繋げていきたいと思っています。

 

ぜひ、ご家族の声も聞かせてください!

 

作業療法士 神保帆束

 

 

陶芸の練習会

 先日、作業療法室で行われたのは、陶芸の練習会です。当院では、様々な作業活動を治療道具として活用しています。陶芸もその一つとして、成形から、焼き上げまで院内でできるようになっています。電気釜もあるんですよ!

 

 滋賀県らしく、信楽の土を使って器を作ることができます。

 

 クライエントに提供する前には、まず自分で体験することが大切です。自分で完成までイメージできるから、難易度の段階付けもできますよね。ということで、私も部長の石黒からたたら作りの作り方を学びました。

 

 土をこねる感触は、子供の頃を思い出すように楽しくて・・・

土の柔らかさを整える「荒練り」、や土の中の空気を抜く「菊練り」など、全身を使って、体重を乗せながらの作業は、結構しんどくて・・・でも楽しい・・・

 

 導入したいクライエントを思い浮かべながら、どんな工夫が必要か考えながら・・・

「こんなに分厚かったら重くて大変だよ」とかワイワイ言いながら・・・(笑)

いろいろな道具たち・・・まだまだ使いこなせないので、日々勉強ですね。

そして、多種多様な活動をリハビリテーションの時間に提供できる環境に感謝です。

 

釉薬をぬって仕上がりを楽しみにしましょう!

 

作業療法士 西山亜由美