フランスでコントロールバンディングの報告書リリース

引き続いてフランスの話。欧州労働安全衛生機構(EU-OHSA)が1月25日、フランスの食品環境労働衛生安全庁(ANSES)の専門家がナノ材料向けのコントロールバンディングツール(Control Banding Tool)を開発したと発表した。ANSESの記事と報告書本体はここから…

フランスで工業ナノ材料の強制的報告制度の提案

フランスのエコロジー・持続可能な発展・国土整備省から、1月5日に「市場に出るナノ粒子状態の物質の毎年の報告に関する法案(ドラフト)」のパブリックコンサルテーションが発表された(フランス語ページへのリンク)。パブコメ期間は2月7日まで。本文は非…

RoHS指令改正案が最終合意、年内成立へ

RoHS指令改正に至る経緯 2010年6月2日に欧州議会の環境公衆衛生食品安全委員会(ENVI)で可決されて以来注目を集めていたRoHS指令改正案がとうとう決着がついたようだ。RoHS指令とは「電気電子機器における特定有害物質の使用制限に関する欧州議会及び理事会…

ナノラベリング規格の投票案(その1)

もともと欧州標準化機関(CEN)のTC352で開発されてきた「工業ナノ物体および工業ナノ物体含有製品のラベリングに関する手引き」という規格案のISO投票が開始された(2011年1月14日締切)。ISOではTC229のWG4(材料規格)で扱われ、技術仕様書(TS)という位…

米国EPAがTSCAのもとでCNTについて発行したSNUR最終ルール(その2)

今度はSNUR(最終ルール)の内容を検討する。※印は追加情報や感想である。2009年11月6日の提案ルールに対していくつかのコメントが寄せられ、13のコメントとそれらへの回答が第V節に書かれている。また、CNTのヒト健康影響と環境影響についての要約が第V節の…

米国EPAがTSCAのもとでCNTについて発行したSNUR最終ルール(その1)

米国EPAは9月17日付の官報において、2種類のカーボンナノチューブ(CNT)のSNUR(重要新規利用ルール)の最終ルールを公布した。対象は、PMN P-08-177(多層CNT)とPMN P-08-328(単層CNT)と書かれているが、これは英国のThomas Swan社の単層CNTと多層CNT(…

炭素のためのナノ安全コンソーシアム(NCC)の戦略が少しずつ明らかに。

4月に、炭素のためのナノ安全コンソーシアム(NanoSafety Consortium for Carbon:NCC)設立の件を書いたが、この半年、着々と目標に向かって進んでいるようだ。 コンソーシアムの当面の課題は、TSCAにおける製造前届出(PMN)に対して米国環境保護庁(EPA)…

大気汚染物質の「優先取組物質」にトルエンが挙げられた根拠を探索(追記あり)

中央環境審議会大気環境部会健康リスク総合専門委員会において、優先取組物質の見直しが進んでいる。「優先取組物質」は1996年の大気汚染防止法改正を受けた1998年の答申で22物質が指定されている。そのなかから選ばれた12物質が「有害大気汚染物質の自主管…

RoHS指令の禁止物質リストに多層CNTと銀ナノ粒子が提案された件

RoHS指令のリストに多層カーボンナノチューブ(CNT)と銀ナノ粒子が入りそうだという件についてメモを作成した。最初に確認しておくべきことは、改正案の可決は「環境委員会」のもので本決まりまではまだまだ遠い道のりがあるということ。RoHS指令の"RoHS"は…

オランダの「ナノポディウム」プロジェクト群

オランダの"Nanopodium"は、「オランダにおけるナノテクノロジーについての社会的対話のための委員会(CMDM)」による取り組み。CMDMは2009年3月31日に設立された。ポディウムとは「指揮台、表彰台」という意味なので、「ナノ指揮台」のような意味だろうか。…

米国で「炭素のためのナノ安全コンソーシアム」が発足!

3月15日、主に米国で炭素系のナノマテリアルの商業生産に関わっている12の企業が集まり、「炭素のためのナノ安全コンソーシアム(NanoSafety Consortium for Carbon:NCC)」を立ち上げた。法規制や環境健康安全(EHS)問題に取り組む。書かれている目標は以…

米国でナノテクノロジーの環境・健康・安全(EHS)側面への公的投資が急増

2月に発表された国家ナノテクノロジーイニシアティブ(NNI)の研究開発投資額の集計値(pdf)によると、環境・健康・安全(EHS)への投資額は順調に伸びて、2011年度予算での提案額は初めて1億ドルを超えた。ちなみにナノテク予算の総額は17億6160万ドルな…

欧州FP7の研究プロジェクト"ENPRA"の第1号ニュースレターを読む

2009年5月に始まった、ENPRAは、正式名称を「工業ナノ粒子のリスク評価(Engineered NanoParticle Risk Assessment)」と言う。かなりストレートな命名だ。エジンバラのInstitute of Occupational Medicine (IOM)の、Computational Topxicology部門のトップで…

オーストラリア政府が「新規技術の安全な開発のための戦略(NETS)」を策定

オーストラリア政府が、2月22日、新規技術の安全な開発のための包括的フレームワーク、"National Enabling Technologies Strategy (NETS)"を提案した(リンク)。新規技術が社会に出て行くためには、環境・安全・健康(HSE)リスクがきちんと管理されている…

官報のPMN(製造前届出)情報をチェック

米国の官報(FR)のPMN(製造前届出)情報を1年ぶりにチェックしてみた(リンク)。以前の記事はここやここ。ナノマテリアルっぽいものは全部で17個見つかった。エクセルシートにまとめてみたけど、アップするの面倒なので時間があるときに。 この1年間で新…

報告制度・法規制改正・リスク評価の展望

ナノテク産業協会(Nanotechnology Industries Association: NIA)が便利な展望記事を書いているのでそこからメモ。以前書いた関連ブログ記事も参照しつつ。 ナノ材料の報告義務付け 米国EPAは今年の終わりか来年初めに、工業ナノ材料のデータ収集&獲得を義…

SafeNanoがREACH関連の重要なアドバイザリー契約を獲得!

英国のSafeNano(ブログで書いた紹介記事はここ)がコンソーシアムとして、2つの契約を取り付けたとのこと。1つはREACH-NanoInfoと言って、REACHのもとでナノマテリアル固有の特性をどう扱うか検討するもの、もう1つがREACH-NanoHazExと言って、これもREACH…

英国上院科学技術委員会の報告書「ナノテクノロジーズと食品」のまとめ。

2回に分けて長々と書いてしまったけど、特に印象に残った点は以下のとおり。 消化器官に入ったナノマテリアルの有害性に関連しそうな特性として、サイズ、溶解性と残留性、化学的&触媒的反応性、形状、抗菌作用、凝集状態を挙げたこと。 吸入曝露したナノ粒…

英国上院科学技術委員会の報告書「ナノテクノロジーズと食品」メモ(その2)

その1はある意味イントロ。ここからどんどん本質に切り込んでいく。 第5章「規制のカバー範囲」。 ここは法規制ギャップ調査の章。英国の規制の大部分は欧州レベルで決められたもの。一般的な安全性については、「食品法規制の一般原則(EC/178/2002)」。…

カリフォルニア州へのCNTs情報提供の第1号

カリフォルニア州DTSCは2009年1月22日に、カーボンナノチューブ(CNTs)の生産・輸入を行う26社(大学や研究所も含む)に対して正式にCNTsに関する情報提供を正式に要請したことは以前書いた(リンク)。その情報提供の第一号としてやっと2009年12月に、スタ…

「今後10年ウォッチしておくべき10の新規技術トレンド」

Maynard氏の2020 Scienceブログの12月25日のエントリは「今後10年ウォッチしておくべき10の新規技術トレンド」。新規リスクのない新規技術はないので、この先盛り上がりそうな新規技術をウォッチすることはすなわちこの先盛り上がりそうな新規リスク(社会的…

英国上院科学技術委員会の報告書「ナノテクノロジーズと食品」メモ(その1)

1月8日に公開された報告書の気になる部分をメモ。英語タイトルは、"Nanotechnologies and Food"であり、ナノテクは複数形であることに注意。日本語にすると区別がつかなくなるのが残念なので「ナノテクノロジーズ」としてみた。かなりはっきりした勧告を行っ…

欧州委員会がリスク評価アプローチの改善を検討開始

欧州委員会の3つの委員会(SCCS, SCHER and SCENIHR)が共同で、リスク評価アプローチの改善に向けたワーキンググループを立ち上げた(pdf)。リスク管理側のニーズをうまく汲み取ることと、リスク問題についての効果的なリスクコミュニケーションを実施するた…

「技術革新は21世紀の生活にどのように貢献すべきか?」

2020 Scienceブログの12月は、Maynardさんが出したお題「技術革新(technological innovation)は21世紀の生活にどのように貢献すべきか?」にゲストが回答していくゲストブログ特集。その経緯は12月10日のブログ記事を参考に。12月14日から18日まで合計10人…

社会的課題と技術革新の関係についての話

心の師匠であるMaynard氏のブログ追っかけをちょっとサボってたら先月からかなり刺激的な展開になっている。11月にDubaiのWorld Economic ForumのSummit on the Global Agendaに参加したあたりから。 ここでは招待された15〜20名ずつからなる80個近くの"Coun…

twitterと科学コミュニケーション

最近やっとブログとtwitterの使い方が自分なりに整理できてきた。ぼくがtwitterを知ったのはAndrew Maynard氏のブログだった。MaynardさんがTwitterを使って科学コミュニケーションに挑戦したのが、ちょうど1年前の2008年12月(リンク)。5日間続けて毎日5つ…

食品ナノテクはどんな方向に進むんだろうか?

先週、東京国際フォーラムで、食品安全委員会セミナー「食品分野におけるナノテクノロジーの今−世界の動きを中心に−」を聞いてきた。あんまり客がいないかと思ったら満席だった。 茨城大学農学部の立川氏が最初にイントロ、世界各国の法規制の現状、市民参加…

行動経済学会でLoewenstein教授の講演を聞く。

いい講演はいい触媒になる。聞きながらいろんなことを思いついてメモした。George Loewenstein教授はその守備範囲の広さと新しいものへの感度の鋭さにいつも脱帽させられるんだけど、彼の中でいまホットな行動経済学ネタは、"Nudge"系の話だったことにちょっ…

Society for Risk Analysis(SRA)の年会がボルチモアで開催

今週は米国ボルチモアで、Society for Risk Analysis(SRA)の年会が開催された。今年はパスしたのだけど、もし参加してたらこのセッションに出てただろうなというものを、プログラムを見ながら妄想。 月曜日 10:30からのセッションでは、"M2-I Symposium: N…

ナノテク市民討論会と反対運動

フランスでは、2009年10月15日のストラスブルグを皮切りに、2010年2月23日のパリまで、フランス全土で全17回の市民討論会が開催されている。主催は、市民討論委員会(Commission of Public Debates: CPDP)で、毎回テーマが違うそうだ。 その第8回目がグルノ…