Born in the northern heart of Colorfulness Land

《Welcome To Motchi's Blog On Applied Linguistics》

受験英語・言語技術教育・学習文法などを応用言語学の視点から考察していきます。玉石混淆のコンテンツを擁するネット空間において、内容の信頼性を高めるため、参考文献をあげるなど、できる限り論文に近い体裁をとるようにしています。専門的なコンテンツでない、独り言のようなものは「ぼそぼそ」というカテゴリーにてアップしています。

2017-02-28

[] 『良問でわかる高校英語』「別冊」の別冊(その13)  『良問でわかる高校英語』「別冊」の別冊(その13)を含むブックマーク

Chapter 2 動詞と文型(その9)

7ではS+V+O+Cを扱っている。7.1.ではこの文型の成り立ちを示している。ここで文を〈情報〉ではなく〈出来事〉として埋め込む場合と述べているが、これはp.108のthat節のところで詳述している。中村(2009: 63)は、seeやhearなどの動詞の後でthat節を用いた場合について「「という情報を聞いて知る(be told, informed)」の意味であり、本来の知覚の意味とは異なる意味にな」ると述べている。また、宗宮(2009)はCが表す状態がVに付随しVの時間の中でのみ存在するとし、客観的な特徴はSVOCで言うことはできず、thatと節で言う必要があると述べている。本書ではこうしたO+Cとthat節の意味的な違いに言及した上でいわゆるネクサスに触れている。

7.2.ではS+V+O+Cの意味の枠組みという項目を立てている。これは町田(1994)の分類を参考にしつつも、伊藤(1975)の二分法を踏襲した。これは突き詰めればS+V+O+CがS+V+Oの拡張にすぎないという考えに至る。実際、生成文法の立場からの外池(2003)や認知言語学の立場からの佐藤・田中(2009)などの分析を取り入れればそうした展開が可能であろうし、筆者の関心もそこにあるのだが、本書の時点では抑制的に記述した。ただし、このあとの「2つの「S+V+O+名詞のまとまり」」では田中らの枠組みを援用したものとなっている。なお、ここまでの記述は阿部・持田(2005)にはない。これは阿部・持田(2005)の練習問題を伴わない項目を立てないという方針に基づくものである。

参考文献

  • 阿部一・持田哲郎(2005)『実践コミュニケーション英文法』三修社
  • 伊藤和夫(1975)『英語構文詳解』駿台文庫
  • 町田健(1994)『フロンティア英文法』研究社出版
  • 中村捷(2009)『実例解説英文法』開拓社
  • 佐藤芳明・田中茂範(2009)『レキシカル・グラマーへの招待』開拓社
  • 宗宮喜代子(2009)「「SVO+1」構文から見えてくるもの」『英語教育』58(3) pp.47-49
  • 外池滋生(2003)「英文解釈と英文法」『英語青年』149(4) pp.17-19.

2017-02-27

[] 『良問でわかる高校英語』「別冊」の別冊(その12)  『良問でわかる高校英語』「別冊」の別冊(その12) を含むブックマーク

Chapter 2 動詞と文型(その8)

6.4.に「伝える」という意味の動詞という項目を立てた。これは前回の枠組みで言うと「あげる」の動詞群の下位類となる。この動詞群を独立した項目としたのは、これらの動詞がthat節をとることができるためである。阿部・持田(2005)では特に取り立てなかったが、いわゆる発話動詞としてtalk, speakそしてsayなどと比較しやすいようにといった配慮もある。

6.5.に立てたaskであるが、これは「尋ねる」という意味で用いる場合には目的語の順序を入れ替えることは普通ではないことを踏まえ、語順固定ということと、wh-節がとれることを例文によって示すことにした。語順固定ということで言えば、6.5.も同様である。

動詞のイメージを取り上げる学習書が多い中で本書のS+V+O+Oの扱いはやや軽めのものとなっているが、これは本書が純然たる文法学習書ではなく、あくまでも大学受験向けの問題集としての位置づけに基づく紙幅の制約によるものである。

参考文献

2017-02-26

[] 『良問でわかる高校英語』「別冊」の別冊(その11)  『良問でわかる高校英語』「別冊」の別冊(その11) を含むブックマーク

Chapter 2 動詞と文型(その7)

6の「S+V+O+O」ではまず、「あげる」と「してあげる」という2つのグループに動詞を分類している。中村(2003)は、I'll buy you this shirt.という文に「私がおまえにこのシャツを買うだろう」という直訳を与え、この直訳自体は教える必要があるものの、この直訳が原文解読のための便宜的な試訳であって実際に使われている日本語とは異なることを指摘している。そのうえでこの文の完全な和訳文が「このシャツを買ってやろう」でありそれを学習者に気づかせることが重要であると中村は述べている。ここで大切なことは、「このシャツを買おう」と「このシャツを買ってやろう」との違いである。百貨店などで尋ねられる「ご自宅用ですか」の問いに対する答えと関連してくる。この問いを肯定するのは前者の文である。英語で言えば、I'll buy this shirt.である。buyの用法としてはこちらがプロトタイプであろう。後者のような他人に買ってあげる用法はプロトタイプからの拡張によって生まれたと考えることができる。

一方、I'll give this shirt.は、よほど文脈の支えがないかぎり、不自然な文であり、言い足りなさを感じる。最近はやりの参考書予備校講師の言葉を借りれば、不完全な文である。I'll buy this shirt.は完全な文であるが、I'll give this shirt.は不完全な文となる。つまり、S+V+O+Oをプロトタイプとする動詞群(6.2.)と、S+V+Oをプロトタイプとしていわば臨時に拡張してS+V+O+Oとして用いられる動詞群(6.3.)とに分類することが必要であると考えた。こうするとことで、目的語を入れ替えたときに生じる助動詞の違いも明快に説明することが可能になる。すなわち、主語から与格目的語へ一気に移動するのがtoであり、主語以前のどこから主語を経て与格目的語に至る「移動」がforである、といった具合である。この区別は阿部・持田(2005)よりも、前面に押し出したかたちになっている。

参考文献