Oyajisculler's blog

(おやじスカラー戸田便り)

タイムトライアル内容:

  • 使用した艇:D社艇(ラウンドボート80)及びK社艇(オデッセイ)
  • クルー構成:C:N坂(55), S:U家(81), 3:K登(75), 2:I井(78), B:I川(68), 5人合計体重:358kg(平均体重:72kg)
  • 距離:500m
  • トライアル数:500m往復の2本
  • 漕艇強度:SR20のライトパドル定常出力で4本イーブンで漕ぐ
  • レートコントロール:COXがピッチ系でレートを読み上げ、SR20に固定。
  • タイム計測:陸上にタイム計測者配置。加えてCOXも計測。

トライアル前の準備:

出艇前にD社艇とK社艇のワークハイトを同一条件(B:18.5cm, S:16.0cm)となる様に設定。ハイトが低かったD社艇の耐航性改善型リガーは外し、通常のダブルパイプリガーに付け替えた。尚、スパン(159cm)や水面からのシート高さ(10cm)等の設定は、これまでの試漕・調整で既に同一条件に調整すみ。
最初にD社艇で出艇。リギング確認及びW.Upを兼ねて1500mコースを1周。その中で500mTTのシミュレーションを軽く2本実施。今回は2艇の船型性能を確認することが目的であるので、4本同じ出力でイーブンに漕ぐ事が前提となる。W.Up中のシミュレーションでSR20、定常漕のイメージを確認した。

D社艇のトライアル:

前述のW.Upを終え、体が冷えぬ内に早速トライアルに入った。500mの定常漕なので、50m程手前からランニングスタートで入った。D社艇はこれまでの試漕での感触同様、ストローク中及びフォワード中の加減速が小さく、一定の艇速でズーンと艇が走るイメージ。水中の加速感があまりないが、漕ぎや操舵を乱す無駄なローリングやピッチング等の揺れが殆ど無いので艇が安定して進むイメージ。2本目の同様のイメージで漕いで終了。風は北西の弱い風が吹いていたが、計測に影響が出るほどの状態ではなかった。計測タイムは以下の通り:

  1. 2'13"68
  2. 2'12"50

2本の平均は2'13"09。下の写真はD社艇TT2本目のゴール付近。

K社艇のトライアル:

D社艇のTT後、直ちに揚艇。K社艇に乗り換え。水上でモタモタしたくないので、予め艇庫内でストレッチャー位置を調整し、出艇。ペア漕ぎでワークハイトを再確認し、TTのシミュレーションを250m程、往復で実施。K社艇はD社艇より水線幅が細い分、ローリングやピッチング等の揺れがあるが、ストローク中の加速感があり、漕手からは「こっちの方が艇速が出て楽しい」との声が出た。一方でCOXの方は、D社艇では殆ど何もしなくても真っ直ぐ進んだが、K社艇の方はフワフワ感があり、その分こま目に舵を取る必要があったとのコメント。(勿論、シェル艇の操舵よりは全然簡単ではあるが、D社艇とK社艇の違いとしての話)
さて、K社艇のタイムトライアル。K社艇のトライアル時には風が治まりほぼ無風の感触。往路は概ね安定して漕げた。復路は横を走る艇の曳き波の影響を受け、若干艇が上下にフワフワ揺れながら漕いだ。(レク艇がシェル艇の曳き波を食らってフワフワするのは「どうかな?」の感あり)計測タイムは以下の通り:

  1. 2'11"32
  2. 2'14"41

2本の平均は2'12"87。という事でK社艇の方が0.2秒だけタイムが良かった。しかし、これは誤差の範囲と言って良い。漕いでいる自分自身の感触ではK社艇の方がストローク中、ミドルからフィニッシュに掛けての加速感があり、艇速が出ていると感じたが、実際には大差なかったということ。下の写真はD社艇TT2本目のゴール付近。

TT結果の確認;

タイムトライアル後にクルー及びタイム計測係などが全員集まり、タイムトライアル結果について確認した。まず、陸上計測担当者から計測結果を聴取。(前術のタイムは陸上計測者の記録)ダブルチェックの意味で計測したCOXの計測タイムと略一致していた。

計測結果、今回の参加者全員に伝え、TT中の問題有無を確認したが、特に何も問題はなかったとのこと。おやじの感触では概ね4本ともイーブンに漕げた。COXにも確認したが、水中強度に特段バラツキは無かったとのこと。
尚、前述の通り、漕手の主観としては桑野艇の方が加速感があって艇速が出ていた様に感じたが、タイムに差が出なかった原因について、次の様に理解する。

  1. D社艇はバランス安定性が良く、揺れもなくスムーズに艇が走っていた。これに対し、K社艇は若干安定性に欠け、他艇の曳き波の影響を受けやすく、フォワード中に漕手がブレードで水面を擦っていた。
  2. K社艇はこの揺れの影響で、フォワード中に船体の推進抵抗以外の、ブレード水面擦りや、進路補正のための操舵による抵抗増加があり、フォワード中の艇速の減速がD社艇に比べで大き目となる。
  3. 一方、船体が細い分、ストローク中の船体推進抵抗は少ない。即ち、水中が軽く、前術のフォワード中の外乱影響により減速してしまった艇速を、ストローク中に加速して取り戻すことが容易に出来る。これを漕手は、ストローク中の加速感性の良さとして感じていた。

今回、開発しようとしているレクレーション艇は、対象としているのが、(1)初級者の導入トレーニング、(2)遠漕などツーリング、の2点であり、そういう意味では推進性能に大差が無ければ、安定性、安全性(耐航性)の如何が重視すべきポイントとなる。今回の一連の試乗・試験により、選択すべき船型の方向性が見えてきた。