Oyajisculler's blog

(おやじスカラー戸田便り)

全日本選手権決勝を見て

oyajisculler2011-09-19

昨日は帰宅した時には日付が変わっていた。録画したNHKの全日本ボートの番組を見ていたりしたら2:00AMを過ぎてしまった。という事で、昨日のログを本日纏めた。
尚、今回のログについては、NHKで公開されたレースでもあり、個人名を実名にて記載している。

W1X:

全日本の最終日はW1Xのレースから始まる。このレースの出漕者は福本、若井、鈴木(一橋大)、赤尾の4名。福本は先のログにも書いたが、Head of the ARAでの生タイムガチンコライバルであること、並びに、同じ三菱グループ企業に勤務しているという仲間意識もあり、おやじの一押しの選手である。当然ながら、このレースでは福本の応援で伴走した。W.Up中の福本をジックリ観察。やはり非常に上手い。

ストレッチャーを見ると、SRDが装着されていた。ローイング中のシューズの動きを観察すると、足首の柔らかい福本でもフォワード終盤に踵がほんの少し上がるのが見えた。この程度ならノーマルストレッチャーでも余り差がないような気もするが。。。まあ、本人はSRDが気に入っているし女子軽量級漕手用の艇(Empacher)であり、SRDを装着して1kg重くなっても14kgにするためにDeadweightを載せる必要ありとのこと。(S社のK原氏の情報) だったら重量増のハンデはないか。
さて、レーススタート。
スタートスパート後も福本がハイレートで加速し、250m通過時には早くも1Lリード。500m通過時に2位若井と3秒差。素晴らしい漕ぎだ。 2Qもドンドンリードを広げて1000m通過時に2位若井に5秒差。伴走する福本ファンのおやじも「福本、いいぞ!ドンドン引き離そう!」と大声で声援を送った。 3Qも後続との差をドンドン広げる福本。そろそろおやじの視界から2位以下が消えて行きつつある。国内では他の選手と比べると福本はランクが一つ上だ。1500m通過時に7秒差。明治安田生命の岩畔監督から、「福本、タイム狙おう!」と檄が飛ぶ。ただ中盤までハイレートでガンガン押し捲ったこともあり、流石にラストスパートは上がりきらず。 それでも2位とは8秒も差を付けてゴールイン!見事な圧勝での初優勝、おめでとう! 

現時点、国内で福本に勝てる女子スカラーはいないと思われる。 でも本当の戦いはこれから。先ずは来年4月のアジア地区五輪予選で五輪出場資格(LW2Xで3位以内)を取り、そしてロンドン五輪本戦で、入賞を果たすこと。更に頑張って欲しい。

W2X:

このレースは予選トップタイムで上がった阿賀黎明高校(クルー2名は世界ジュニア代表選手)とCrew Japanで福本とLW2Xを組んでいた林の乗るデンソーの一騎打ち。
両クルーの関係者ではないが、自転車で伴走しながら観戦。スタートから1800mまで略横並びの接戦が続く正にデッドヒートのレース。阿賀黎明高校クルーの漕ぎは、ボディースイングは確り使うものの、キャッチ時に脛が垂直に至らないような、スリークォーター気味のシートスライド。レンジよりハイレートで漕ぎ通す事を狙った漕法とみた。対するデンソーの漕ぎは体やシートを大きく使ったオーソドックスな漕法。1750mまでは略横並びであったが、ラスト250m辺りから阿賀黎明がラストスパートで更にレートを上げた。この猛烈なラストスパートが決まり、デンソーを引き離し2/3L差でゴールイン。高校生クルーの見事な漕ぎだった。コーチの三留氏の素晴らしい指導の賜物だろう。

W4X+:

このレースは、ベストメンバーで臨み必勝を期す早稲田大と2連覇を狙うデンソーの一騎打ち。さて、スタート。
両クルーの鍔迫り合いを予想していたが、早大がスタートから一気に飛び出して徐々にリードを広げる展開。全く危なげなく、アッサリと早大が優勝を決めた。早大はベストメンバーで臨めば圧倒的に強いという事を見せ付けたレースだった。早大関係者の皆様おめでとう。

M1X順位決定:

決勝レースの前のM1Xで順位決定戦に出漕するLBRC選手:伊藤の応援。今回は岸蹴りにも立ち会った。伊藤は、今大会は東大艇庫を利用させて貰っており、東大ボート部員が彼の岸蹴り応援をしてくれた。有難い事だ。

このレースには、準決勝の高校生対決で大塚に僅差で敗れた長田(小松明峰)が出漕。予選(7’20”)、準決勝(7’35”)のタイムは、伊藤のタイム(同:7’21”, 7’42”)を上回っている。正直言って現時点では高校生の長田の方が伊藤より実力が上である。レース前に伊藤にアドバイスした戦術は、スタートから400m辺りまでセトルダウンせずにハイレートで飛ばし、頭を取ること。(因みに、これは準決勝でアドバイスした戦術と同じ)
予選と順位決定のW.Upで伊藤の漕ぎを見たが、漕ぎが小さい。特にキャッチレンジが短い。ブレードはVortex Edge加工(ブレード先端の角を丸くカット)のBig Blade(Smoothieより小型)でブレード面積が小さいためか、ブレードスリップが大きい様に見えた。スリップを小さくするには、もう少しオール長く(Outboard)した方が良い様に見えた。
さて、レーススタート。長田と森崎が猛然とスタートダッシュする。伊藤も頑張るが、スタート250m辺りで置いて行かれる。また、出遅れの展開。2Q,・3Qで2人を追走する展開。森崎に対しては3Qで抜くことが出来たが、長田との艇差は3Qで更に引き離される展開。長田と伊藤の漕ぎを見比べるに、ゴールまでに抜き去ることは難しいと判断。1500m過ぎで折り返してスタートへ向った。後で結果を聞くと、スパートで差を詰めるも、1L弱の差で長田(7’28”)に負けたとの事。 伊藤は社会人一年目。7月に愛知へ転勤となり、種々バタバタして、今年は良い準備が出来なかったのだろう。
彼は今後、勤務先にボート部を創部し、来年は勤務先の実業団チームの選手として競技活動をする予定とのこと。 来年も頑張って欲しい。

M1X決勝:

このレースは好カード。M1X連覇中の武田、Crew Japan舵手なしフォアクルーの須田、高校生チャンピオンの大塚、そして元U23日本代表の矢地。先のログに書いた通り、おやじは高校生:大塚にメダルを取らせる為の応援。
さて、レーススタート。4人共、スタートで猛然と飛び出す。大塚は僅かに遅れるが、略横並び。250m付近を自転車で走り出す際に、おやじが大声で「大塚、いいぞ!」と一声吼えた。 余談だが、後でNHK放送の録画を見たら、このおやじの声がバッチリ録音されていた。女房にビデオを見せ「ほら俺の声が録音されているよ」と自慢げに言うと、苦笑いしながら「声が大きすぎて迷惑なんじゃないの?」と。 我ながら良く通る声なのだが。。。
レースの方は、トップ争いをする武田・須田の2名と、3位争いをする大塚・矢地の2つの局面となった。おやじはひたすら3位争いの大塚を応援。1000mを過ぎた辺りで大塚がミドルスパートを入れ、矢地を一気に引き離した。その後もドンドン差を広げて3位確定の状態となった。2位の須田とは3L近く離されており、2位に上がるのは無理。後はタイム狙いで頑張らせた。1800mを過ぎ、トップ争いの方に目をやると、ラスト100mで須田がレートを一気に5枚位上げて猛然とスパート。 1.5Lあった武田との艇差がミルミル縮まる。果たして抜けるかと思った矢先、ゴールまで僅か40〜50m手前で武田が漕ぎ止めてしまった。何たる事か! そのシーンが映っているYoutube動画がFacebookに紹介されていたので、転載させて頂く。これを見ればどういう状況だったか一目瞭然。

現場でこれを見たおやじは瞬間的に、「負けた事の無い相手に一気に抜かれそうになった事が嫌で、駄々っ子の様に漕ぎ止めたんだな」と勝手な推察。この推察の真偽の程は分からない。 しかしゴール前で観戦していた玄人ボートファンの大半がおやじと同じ思いを感じたのではないだろうか? 少々腰を痛めていたのかも知れないが、1950mまでガンガン漕いで来たのであり、残り5ストローク程度を漕げない事は無い筈だ。日本ボートの第一人者であり、武田を尊敬するファンも沢山いる訳である。その男がファンの目の前で、こういう事をするとは。。。 大学ボート部でオアズマンシップを徹底的に仕込まれたおやじにとって、この武田の行為を許す事はできない。須田も頭に来たんじゃないかな?
武田がゴールに向けて、ヘナヘナと無気力で進む内に3位大塚との艇差がミルミル詰る。大塚にも抜かれるチョット前に武田がゴールイン。武田と大塚の差は2秒まで詰っていた。

不愉快な話はさておき、高校生大塚の3位は見事。賞賛に値する。その戦いぶりもあっ晴れだった。このままスクスクと実力を伸ばし、次の日本ボートを牽引してゆくトップアスリートになって欲しい。

M4+決勝:

M4+には準決勝でトップタイムを出した東大フォアが出漕。ただ、トップタイムと言っても後続との差は僅かであり、決勝での順位は全く予想できない状況。
東大フォアのW.Upでの静止スタート練習を見たが、緊張しているためか、動きが硬く、予選レースで見せたようなシャカシャカした漕ぎになっていた。怪しい雰囲気。。。
さて、スタート。スタートから150m位までは東大がハイレートで先行。横の日大もほぼ横並び。300mを過ぎた辺りで日大がググッとリードを広げ、500m通過時には日大→仙台=東大の順で後続に1Lの差を付けていた。その後も日大は大きく伸びやかなストロークでグングン差を広げて、1000mでの後続との艇差は2L程度となり、ほぼ安全圏へ。因みに日大クルーは全員1年生とのこと。
東大は予選と似た様なレンジの短いシャカシャカ漕ぎでズルズルと艇速が鈍り始める。2Qの途中まで2位争いをしていた仙台大にも徐々に艇差を広げられ1500m通過時には1Lの差となった。東大クルーの様子からみてここから追い上げ・追い越すのはほぼ不可能。後は3位をキープしてゴールに雪崩れ込むのみ。見ると1500m通過時には1L差あった最下位東北大との差がミルミル詰ってきた。非常に危ない状況だが、早めのスパートを入れて逃げ切りを図る。残り100mで半艇身差があったので、逃げ切れると安心してみていたが、ゴール通過時の両クルーの通過音が非常に短く、ラストは危ない状況だったことが分かった。

まあ、良い漕ぎが出来ず、メダルの色は望んでいたものではなかったが、東大のチームボートでは久々の全日本メダル獲得。おやじの前後の中年以上のOBは、期待していた結果には至らず、皆、残念がっていた。 しかし、当該クルーや東大現役部員一同は大いに喜んでいた。 今日のところはメダル獲得という事で素直に喜ぼうと思う。

M8+決勝:

さて、最後のレースはエイト。組み合せは、日大、NTT、トヨタ紡織、中大の4クルー。レース直前に3、4レーンのブイが流れたらしく、決勝は、1,2,3、6レーンを使う、変則的なものとなった。
さて、スタート。今大会に向けて確り準備してきたNTTが素晴らしい漕ぎで序盤から積極的に飛ばしていた。日大はスタートで若干NTTに遅れを取る。例年の日大なら2Qでグイグイリードを奪うところ。しかし、今年のクルーはやや力が劣るのか、NTTとの艇差が更に広がり、1000mでは2.5秒差へ。その後もNTTは安定した素晴らしい漕ぎで約1L差をキープし、ゴール通過。見事10年ぶりの優勝を果たした。おめでとう。日大の連覇は2連覇で止まった。

PS:
レース後の東大コンパに参加。その後、長老OB諸氏と戸田公園駅前の中華料理屋で二次会。30分程話をしたところで、T田C央総合病院の若手メンバーから呼ばれ、そちらの宴席に合流。何故か、彼らの二次会までお付き合いする事に(正確に言うと拉致された?)。若い(30代半ば以下)オアズマンに囲まれ、おやじもスッカリ気分は若造に戻って楽しく団欒。
おやじの精神年齢が若い(未熟?)のか、現役選手やそれに近い若手と話のレベルがあってしまう。。。 ゆくゆく、そういうシチュエーションになる可能性もあり、それはそれで良いことにしたいと思う。

以上