カーター・ディクスン『妖魔の森の家』
短編集『妖魔の森の家』はディクスン・カーの作品となっています。注意!
妖魔の森の家 (創元推理文庫―カー短編全集 2 (118‐2))
- 作者: ジョン・ディクスン・カー,宇野利泰
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 1970/12/11
- メディア: 文庫
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あらすじ
名探偵ヘンリー・メリヴェール卿は、ひょんなことからピクニックに誘われ、ビルとイーヴの若いカップル、それにイーヴのいとこのヴィッキーと「妖魔の森」と呼ばれる所へやってきた。ヴィッキーは20年前、この森の中のバンガロー風の別荘から忽然と姿を消し、一週間後に何事もなく戻ってきた、という奇怪な経験を持っている。
道中「自分には非物質の世界に浸透する能力がある」と言うヴィッキー。そしてH・M達が警戒する中、20年前と同じようにヴィッキーは密室の妖魔の森の家から姿を消した……
感想
というわけで、このブログの名前の元となったカーのカーター・ディクスン名義の短編『妖魔の森の家』です。文庫本でわずか50ページ弱という非常に短い作品ですが、史上最高の消失もの、史上最高の短編ミステリと呼べる傑作です。
小悪魔タイプとして描かれるヴィッキーの描写や、彼女が消えるまでの得体の知れない緊張感、そして消えてから妖魔の森の描写などは雰囲気満点です。
もちろん、雰囲気満点、謎が面白い、というだけの作品ではありません。シンプルながらも盲点を突く巧妙なトリック、冒頭から縦横無尽に張り巡らされた伏線にはカーのテクニックが存分に生かされています。最後の一撃も強烈。
個人的には、これがカーの最高傑作*1だと思います。おすすめの一品。
*1:長編を含めてもこれに勝るものはないと思う