ディクスン・カー『死の館の謎』

 カー最晩年の歴史ミステリ。

死の館の謎 (創元推理文庫)

死の館の謎 (創元推理文庫)

あらすじ

 小説家ジェフ・コールドウェルは、友人デイヴの奇妙な手紙に誘われ、久しぶりに故郷ニュー・オーリンズの地を踏んだ。
 デイヴは彼の祖父がイギリスから買い取った屋敷・デリーズ館に妹と暮らしている。その館には「死の館」という別名があり、過去に奇怪な事件が起きていた。
 そして今、ジェフの帰郷と共に再び事件が起こる……

感想

 館に隠された金塊や死を招く階段など、事件を彩る道具立てが非常に魅力的。ただ、実際に事件が起こるまでにはえらく時間がかかるのが難点。カーお得意のロマンスがあったりして飽きなかったものの、もうちょっとさっさと進めてほしかった気もする。
 金塊の隠し場所は意表を突いていて非常に良かった。また、犯人の意外性もなかなかのものだったが、トリックがちょっと微妙。『火よ燃えろ!』みたいなものをやろうとして失敗したような作品。★★★★☆