あれから10年、そしてこれからの10年 - 正義と微笑
十年以上前から、私は「自己侮蔑や劣等感の強い人が自分を好きになるための方法」を探し続けてきた。
しかしこの問題を学びはじめて気付いたのは、思春期にかかる“はしか”程度の軽い事例もあれば、パーソナリティ障害や発達障害といったハンディを背景に抱えた難しい事例もあり、深刻度のまちまちな人がいる、ということだった。
自分自身のことを嫌っている人のなかには、十年単位で自己嫌悪を抱いている人もいる――三十代を迎えても・良い職業に就いても・伴侶や家庭を持っても、自分のことが好きになれないまま人生を歩んでいく人が、世の中には案外たくさんいるようだった。“自分が好きになるためのライフハック”的な気休め書籍が流通しているのも、それだけ、自己嫌悪や劣等コンプレックスの類が変化しにくいのだろう。
では「自分のことが嫌い」という心境を、「自分のことが満更でもない」ぐらいの心境にもっていくにはどうすれば良いのか?しかし先にも述べたように、「自分嫌い」のなかには軽めのものから深刻なものまであってピンキリだから、抜け出すための難易度はケースバイケース、と言わざるを得ない。また、これまで積み重ねてきた歴史・生育環境・得手不得手・才能といったものも、その人ごとの個別性があるので、解決策は個別的な色彩を帯びると考えるべきなのだろう。「これさえやっておけば、誰でも自分のことが好きになれる」オールマイティな解決案があれば本当はいいが、そんな特効薬は存在しないと思う。
以上のような limitation を踏まえたうえで、以下に、自己侮蔑や劣等感の苦しみから抜け出すのに役立ちそうな要素を書き出してみようと思う。