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2006年06月17日 (土) くもり

[]ネット配信と著作権管理

普通我々一般人が思い描くアーティストとJASRACの関係は,アーティストがJASRACに著作権管理を委託していると思っている。だが実際にはその中間に,「音楽出版会社」というものが存在する。

アーティストはこの出版会社に,自分の権利を「譲渡」する。そしてその出版社が,JASRACに権利を委託する,という二重構造になっている。出版会社に権利を譲渡するのは,そうしておかないと「委託の委託」という,権利の又貸し状態になってしまうからだ。

平沢氏: 例えばメジャーなレコード会社で活動してたとしますよね。レコーディングが終わるとある日突然,出版会社から契約書が届くんですよ。で,契約してくれと。契約条項にいろいろ書いてあるんですけど,契約書が送られて来た時点で,JASRACにもう勝手に登録されているんです。残念ながらアーティストは,著作権に関してまったく疎い。同時に私自身も疎かったがために,そういうものだと思いこんでいたわけですね。それによって,出版会社に権利が永久譲渡されている曲というのがあったりするんですよ。で,JASRACで集金されたお金は,この出版会社を通るだけで50%引かれて,アーティストへ戻るという構造があるんですね。出版会社は“プロモーションに努める”と言いますが,成果は保障せず,どんなプロモーションをするのか何度説明を求めても,回答しないことがほとんどです。大きなセールスが期待できるアーティストについては積極的に動きますが。

―通過するだけで50%天引きはすごい話ですが,この音楽出版会社というのは自分では選べないんですか?

平沢氏: ここが最近巧妙になってまして,レコード会社の中に出版会社ができているんですよ。ですからレコード会社の資金で使った楽曲は,そこの出版社に登録されて当たり前のような構造ができています。そこで私がおそらくミュージシャンで始めて主張したと思うんですが,なぜ私の権利が私の選んだ出版会社と契約できないんですかと,一回ゴネたことあるんですよ。ところがここの出版会社の言い分は,制作費を回収するためだというんです。

これは一見まともな理屈に聞こえるが,実は違う。レコード会社が制作費を支払った対価として得るのは,著作隣接権に含まれる,原盤権である。著作権料は著作権者個人に支払われる対価であるが,音楽出版社はこの著作権を譲渡するように求めてくるわけだ。

そうなるとJASRACが回収した著作権料は,権利を譲渡されて保持している出版会社が貰うことになる。アーティストには出版会社から,印税という形でお金を受け取る。50%天引きでだ。

つまりレコード会社と出版会社のタッグは,原盤権も手に入れた上で著作権までもゲットし,その著作権料で制作費まで回収し,回収が終わっても曲が売れ続ける限り,著作権料としての利益を上げ続けることになる。

(...中略...)

平沢氏: メジャーレーベルを辞めて自分で配信するようになってからは,作品の売れ行きは伸びて,マーケットも広がってます。無料のMP3配信を監視していると,ダウンロードが24時間止まらないんです。そうしているうちに,次は世界中からCDの注文が入ってくる。そう考えると,無料で音楽を配信すること,コピープロテクトをかけないことは,プロモーションにつながるんです。これはものすごい威力ですよ。お金を払ってまで欲しいと思ってくれなければ,やってる意味がない。違法コピーしてそれで満足してしまうようなものであれば,それは自分のせいだと。作品がその程度のものでしかないと判断する姿勢を,今のところ持っています。

―つまり音楽配信においても,DRMなど必要ないのだと。

平沢氏: 必要を感じてないですね。つまり私は音楽がデジタルコンテンツ化以前と今とでは,さほど変わりはないと思っているわけですね。昔はカセットでコピーして友達同士でやりとりしていたし,オンエアされたものをエアチェックしてコピーしていたわけですよね。それがデジタルコンテンツになったところで,何を騒ぐんだということですよ。不思議に思うのは,客を泥棒扱いして,オマエが泥棒ではないということを証明するために補償金を払えと,言ってるわけですよね。これ自体私には理解できません。プロテクトや補償金の話はビジネスの問題であって,コピーするしないは倫理の問題じゃないですか。彼らは倫理を大儀にして,ビジネスしているだけなんですよ。

ITMediaの6/12日付「「補償金もDRMも必要ない」―音楽家 平沢進氏の提言」からです。

―前回の対談から2年近くがたちましたが(前回の対談は2004年9月に行われた),それから「著作権」を取り巻く環境はどのように変化したと感じますか?

小寺氏: 2004年9月といえば,私的録音録画補償金の問題についてはまだ法制問題小委員会で議論している最中でしたね。その後も議論が重ねられ,「2007年をめどに制度の廃止を含めて見直す」というところまでこぎ着けたのは,ひとつの成果だと思います。

その後,議論の場を津田さんも委員として参加している私的録音録画小委員会に移した訳ですが,権利者にあたる人や賛成派といわれる人が委員の大半を占めています。人選は問題があると思いますね。

こうした小委員会というものはまず結論ありきで,議論はアリバイ固めみたいなところがあるんですよ。前の小委員会(法制問題小委員会)には漫画家の先生(里中満智子氏)や消費者団体の方(全国地域婦人団体連絡協議会事務局長の加藤さゆり氏)がいたんですけど…。

もれ聞こえたところによると,委員会を開く日付は補償金に反対のスタンスを取る人がダメな日に決まるらしいですよ。議論が行われるようになったのは進歩ですが,水面下でこうしたことが起こっているなら問題です。津田さんも今後,活躍していけばそんな目にあいますよ(笑)

同じくITMediaの昨日付記事「著作権を取り巻く環境はどう変わったか」からです。私的録音録画補償金の議論の進め方の閉鎖性については以前から何となく感じていましたが,さらにその分配方法や分配ルートの点においても,アーティスト本人の利益になるような構造にはなっていないようです。

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