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2014-11-19

[]映像作品における主観視点を使った絵の話 映像作品における主観視点を使った絵の話を含むブックマーク

まあ、またこっち更新する気になるとは思わなかったけど、前回、「日本のドラマは何で安っぽく見えるのか」って話をした時から、ずっと引っかかってた事があったので、それについて、簡単にまとめておくことに。ホントは今日の日本代表のサッカーの試合の事を書こうと思ってたんだけど、こっちを先に片付けておくことにした。



引っかかっていた事ってのは、「日本のドラマはキャラクターにクローズアップせずにほとんどを引いて撮影してるせいで安っぽく見える」っていう話ね。あれ、原文も確認したんだけど、


I've noticed a lot of dramas tend to use simple shooting methods (probably to save time and money), where they'll just get basic coverage of a scene. They'll shoot the master wide shot that includes all the characters, and then the bare minimum of medium/closeup shots of each character in the scene who is speaking/interacting and as a result there scenes feel less dynamic when edited.

Also a lot of Japanese shows seem to use an "anime style" of shooting and editing - its hard for me to explain what I mean, but I've noticed that a lot of directors seem to resort to making cliche choices that would work fine in an anime, but feel extremely unrealistic/overstylistic/cheesy when put in live action.


Why do Japanese dramas look so cheap?


こういう話だ。簡単に訳しておくけど、


「僕は沢山のドラマが、シーンの基本的なカバーをする際に、シンプルな撮影手法を使う傾向があることに気付いた。多分、お金と時間を節約する為だ。彼らは全部のキャラクターを含むマスターショットを撮る。それから最低限の、話したり触れあったりしてるキャラのミッドショットとクローズアップショットを撮る。結果として、シーンが編集された時、ダイナックさに欠けるように感じられるんだ。


沢山の日本のショーも又、撮影と編集でアニメスタイルを使っているように見える。言葉にするのは難しいんだが、アニメでは良く機能している使い古された手法に依存しているみたいだ。けど、そいつを動画にしてしまうと、とんでもなく非現実的で、過度に様式化され、陳腐に感じられるようになってしまう。」


って話ね。


これがひっかかって。


幾つか、専門用語があるので、それについて説明しておくけど、マスターショットとミッドショット、クローズアップについては、これ、英語版のwikipediaに詳しい。


Master shot

Medium shot

Close-up


リンク貼っておくけど、これ。日本語版がないのでしょうがない。何故なのだ。



ちょっと説明しておくと、master shotってのは、シーンにおける全キャラクターが収まっているカットで、mid shotは、これも定義が結構ファジーなんだが、中くらいの距離から撮った人物の絵で、大概、腰から上が映っている写真。で、close upは、そのまま首から上の顔の写真って感じ。まあ、グーグルで画像検索かければ、一杯画像でてくるので、各自で、それを見てください。



Cinematography coverage


こっちのページに色んなショットの例が載ってるしね。まあ、フィギュアでやると


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マスターショット

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ミッドショット

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クローズアップ

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オーバーザショルダー


こういう奴になる。



マルチカメラとシングルカメラ

さて、動画の撮影方法には、大きく分けて二つの方法がある。マルチカメラとシングルカメラだ。


Multiple-camera setupから画像借りてきて説明するけど


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マルチカメラのほうは、こういう風に撮影する。シーンのセット組んだら、カメラを3〜4台セットして、役者に通しで演技してもらい、それを撮影してから編集する。この画像だと、2カメがマスターショットを撮るカメラになり、1、3,4はクローズアップやミッドショットなんかを狙うカメラになる。


マルチカメラ撮影は、主にTV番組で使われる手法といっていい。アメリカの場合、例外的に、シットコムとソープオペラはマルチカメラを使う。主に予算と時間の都合だろう。


でもってよくある撮影方法は、1カメがクローズアップを狙い、2カメがマスターショット、3カメがオーバーザショルダーって形。


マスターショット→Over-the-Shoulder(肩越しのカメラアングル)→クローズアップ


みたいな形になる。アメリカのシットコムの名作、「フレンズ」はフィルム撮影なんだけど、マルチカメラで撮影されてる。それを例に使って説明するけど


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こんな感じでカット割りが行われる。まず、最初の絵がマスターショット。主要人物2人と背景が映り、このシーンにおける基本的な人物配置、舞台背景の情報が視聴者に与えられる。その後で、女優の顔がOver-the-Shoulderでクローズアップされ、その次に男優の顔がクローズアップされる。これはシットコムの定番の表現で、マルチカメラで撮影されたシットコムってのはマスターショットの後にどういう絵が出てくるかが予想しやすい。というのも、カメラの位置が最初から固定され、仮面反対側の壁がなく、役者が通しで演技したのを画面の反対側から撮影して編集してるからだ。


そんな訳で、マルチカメラで撮影すると、視聴者にどこにカメラとスタッフが存在するのかバレやすく、次の絵が予想されやすいという欠点がある。(シットコムはマスターショットの後、大概はクローズアップかミッドショットに繋いで来る。)



一方で、シングルカメラ撮影なんだけど、これは映画であったり、アメリカのドラマで一般的な撮影手法となっている。


シングルカメラ撮影のほうは、どうやって撮影するかというと


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こういう感じ。マルチカメラとどう違うの?というと、撮影の際、Aのカットを全部撮影してから、次にBのカットを撮り、それからマスターショットの絵を撮るって形になる。カメラは固定じゃないので、極端なクローズアップが可能だし、人物をフォロー可能になる。それから、主観視点の動画はシングルカメラじゃないと難しい。


この主観視点の動画の話が、今回の話の肝になる。



これ、wikipediaのmaster shotの項目にある話だが、1940年代〜50年代までのアメリカ映画は「stagey」と言われていたそうだ。これは「芝居じみた」っていう意味だが、この時期のアメリカ映画はお芝居みたいな絵の作り方をしていた。


ここで「ローマの休日」を例に出す。


http://www.dailymotion.com/video/xpdq3i_%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%81%AE%E4%BC%91%E6%97%A5-%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%AA%9E%E5%AD%97%E5%B9%95-%E3%83%91%E3%83%BC%E3%83%88%EF%BC%91-3_shortfilms


こっちでローマの休日が見られるので、見たことない人はどうぞ。


で、なんだけど、ローマの休日の動画みて、すぐに感じるのは、動画におけるマスターショットのカットの長さなんだ。まるで舞台演劇をみている気分になるようなカットが結構ある。この辺りが、この時代の映画がstageyと呼ばれる所以なんだろう。引き気味で撮られている絵が多いので、何となく、シットコムみたいに感じる絵が多い。まあ、ローマの休日はラブコメみたいなモンなんで、別に問題はないんだけどね。有名な真実の口のシーンとかラブコメそのものだし。



これに変化が起こるのは60〜70年代に入ってからで、大体80年代以降になって顕著になるんだけど映画のシーンにおける主観視点の絵の増加、Point of view shotの増加が起こるンだな。



どういう事かというと、これは、まず主観視点と客観視点の絵の話になるんだけど


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こういう違いになる。第三者視点の絵が上で、そしてシーン内の登場人物から見た絵になってるのが下。上はobjective shotと呼ばれ、下はsubjective shotと言われる。


この主観視点のみで描かれたアニメが


D


これだ。手塚アニメの一つだが、実験的な作品だった。


ちなみに、これも英語版wikipediaへのリンクになるけど、


Point of view shot


この中で、PoV shotの定義の話が出てくる。PoV shotと聞くと、主観視点の絵の事だと思われがちだけど、実際の所、もうちょっと定義が広い。例え、それが第三者視点の絵であっても、それが主観視点により近い絵(例えばover the shoulderとか)であれば、それはPoV shotに含まれるって話だ。これも例として出しとくと、


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これ、拾ってきた奴だけど、どっちもセクシーショットのPoVなんだが、片方は顔が映っておらず、片方には映っている。でも両方PoVなんだ。映画では、しばしば、over the shoulder of the characterでPoVを使ってる。




最近の映画、ドラマにおけるPoV shotや主観視点の絵の増加傾向について

さて、やっとこの話に入れるンだが、最近の海外ドラマや映画って、PoVを使った絵作りや主観視点の使用が目につくんだ。


例として出しておくと、スパイダーマン3、シャーロック、アウトランダーなんかは、PoVと主観視点の絵が、とてもとても多いって事。


ドラマ「シャーロック」で例を出すと、


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こうなるんだけど、マスターショットから、PoV shot(over the shoulder)に繋いでるんだ。これ以外にもPoVの多用、主観視点(主にワトソンとホームズの)の絵が凄く多いのが「シャーロック」の特長になってる。


他にも例としてあげておくと、スパイダーマン3のグリーンゴブリンとの殴り合いのシーンだったりはPoVを強く意識して撮影したアクションになってるし、


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こんな感じだけど、殴り合いを出来るだけ当事者視点で見せようという絵作りになってる。


最近のアニメだと、

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これはSAO2の第5話のやつだけど、裸を見られた女の子が主人公の頬をはたくシーンなんだが、絵が主人公の主観視点なんだな。主人公のクローズアップ(主人公の視線の提示)→PoV(主人公目線でのヒロインの顔)→PoV(主人公目線で飛んでくるビンタ)と繋いでる。


あと、もう一つ、例としてあげておくと、最近放送されている「寄生獣 セイの確率」での追加カット。漫画版にはなかったカットが追加されてた。どういうカットかってーと、「寄生獣 セイの確率」の第5話、主人公の母親が殺されるシーンだ。原作だと

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このカットで終わるんだが、アニメ板だと、この後に



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こーいうカットが追加されてる。首が落とされた後に、母親が見た光景が描写されてるんだ。とてもエグイ演出。他にも注意してみてると、この手の原作になかったPoVが結構あったりする。


最近、huluに入ったので、ドラマを見る機会が増えたんだけど、海外のドラマ、映画見て思うのは、とにかくPoVであったり、主観視点の絵作りが多い。極力、視聴者に登場人物視点、もしくは登場人物視点に近い絵をみせようって意図を感じる。それが流行なのかもしれない。スパイダーマン3で、カフェ内の会話が、全部PoVのover the shoulderだったのにはビックリこいたもんだが。「ここまでやるかい」って感じで。


でもって、日本のドラマの話になるんだけど、まあ、マスターショットの絵の時間が長いのが多い。特に時代劇なんかは、その傾向が強くて、マスターショットの絵で登場人物がべらべらと喋った後に、2〜3カットのクローズアップが映って、次のシーンへ、みたいなのは良く見る。というか、昔からそういう絵作りだったし、日本の時代劇ってのはそういうモンなんだけど、PoVとか主観視点の絵というのは,それほど使われない。アウトランダーみたいなイギリスの時代劇チックなドラマみた後に、日本の時代劇みると、日本の時代劇ってのは、すごく「舞台の上の演劇」を見ている感じがする。照明も明るいしね。



日本の主観視点やPoVを使った絵作りってどうなのよ?という話


これが最後の話になるんだけど、要点をまとめておくと、海外のドラマや映画では、最近の傾向として、

1,会話シーン、アクションシーンにおける第三者視点の減少、マスターショットでの撮影時間の減少

2,会話シーン、アクションシーンにおける主観視点の増加、PoV shotの増加

って傾向が見て取れるんだ。こういった傾向は1970年代から続いてるけど、それが最近、顕著になった気はする。



ちと、マトリックスの戦闘シーンの動画はっとくけど、


D


この動画では、上手く第三者視点と、主観視点、PoVが上手くミックスされてる。ただ、第三者視点の絵のが当たり前だが多い。そのほうがわかりやすいからね。


で、なんだけど、「外人から見て日本のドラマ、アニメってのは、主観視点の絵、PoVなんかが上手く使われてないように見えるのか?」って感じで、どーにも、そこが引っかかってしまってね。


時代劇については、そう間違ってはいないとは思うし、日本のホームドラマとかは、斬新な映像表現とかは狙ってないから、別にいい。ただ、アニメに関しては、そこまで古い手法に頼りっぱには見えないし・・・うーん。


とまあ、色々と思う事もあり、エントリにしましたとさ。


実際の所、皆さん、どう思いますかって話。日本のドラマとか映画、アニメみて、主観視点の絵作り、PoVの絵作りが下手だと思います?手塚がジャンピング作った頃から、全く日本の映像が進歩してないと思われるなら、それは問題だし。


今日はそんな話なのでした。んでは。

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