panachoの日記

辺境アジアからバロックオペラまで

真夏の奇跡


  真夏だというのに今は確実に秋である。蒸すことは蒸す。ま、しかし無視。
  こんなに長いこと、この時期に布団をかぶっていることがあったろうか。なんという精神性高き夏だろうか。前田のチューブは消え、クラシックのユーチューブが愉悦と典雅で溢(あふ)れかえる。
  北海道の夏はボードレールの夏であり、深海深く潜行する短い夏が人間の精神全体を香りたかいものにする。今ここに北海道の夏が再現される奇跡を慶賀としたい。
  さて、にもかかわらず、なのにあなたは京都へ行くの♪♪♪。明後日からカンボジアへ行くので明日から成田に前泊である。したがって今日か明日でまたいったんおやすみである。おやすみ。じゃなくて、今回はほとんど観光のようなものだから、昨年のミャンマーの覚醒と驚愕に満ちた実況中継はなしである。というか、そもそも覚醒があったのか、驚愕があったのかも怪しいと思っているあなた、思いだしていただきたい。
  ポッパ山で満身創痍の我輩、そのかたわらに押し寄せるサルの大群を。いつ君たちと分かれたか記憶にないと我輩は一人日本語でつぶやきつつ(系統が違うんだよ、サルとヒトは!と云っていたように思う。何百万年前だ一緒だったのは?我輩の足の傷口は食品じゃないから)、これを驚愕と呼ばずして何といおうか。そして、郷土料理の田舎的くどさに吐きそうになり、はたまたヤンゴン市中で招待された(した?)庶民的焼鳥・焼肉みたいな店の衛生状態に突然、東南アジアの深奥をみたあの瞬間。これを覚醒といわず何といおうか。
  というわけで、カンボからのブログはない。オーストラリア沖で散歩することのないかぎり帰国後少々写真をアップする予定。
  ではカンボの夜に我輩は何をしているのか。ふふふふふふふふふふふふふふふふ、ふっ。太った。いや、ビールも飽きたこのごろである。やることは一つ、論文を書きだすのである。締切は迫っている。どうしてこんなことを集団で始めたのか不思議だが、所属のところで10人全員が書くことになっているのである。ふーむ。馬鹿らしいが、また、バンコクで書き始めた前論文と同じことをここでもしようかと思う。というわけで、ぜひとも窓のあるホテルで、クーラーが効いていることを祈りたい。
  写真は名作『カトマンズの男』。60年代の香港だのさまざまな東南アジアを映画でみることは大変な愉悦の一つである。なんだか非常に体が軽くなる。同じことは日本の東南アジアにロケした映画にも少しだが云える。宍戸錠がタイ人だったり、小林旭が日本人だったりして、大笑いだが、現地ロケしてるからね、面白いこと甚(はなは)だしい。・・・小林旭の演じる日本人はなるほど見事である。