セロトニンを増やすなら

○概要
脳内セロトニンを増やしたいなら腸内細菌の力を借りないと無理らしい。
腸内環境が悪く、腸内のセロトニンを脳内に送り込む役割を果たしてくれる腸内細菌が居ない場合には、セロトニンを脳内で増やすことは出来ない??







◎考察
私達が口に入れた食べ物(栄養・サプリメント)は胃を通って腸に届く。
そして腸で吸収され、腸からの血流に乗って全身に届けられる。

そう、いわゆる栄養分は血液に乗って全身を巡ってくれる。
良い栄養分を全身に届けたければ腸が良く働けるようにすればよい。

しかし、セロトニンの場合はもう一工夫必要である。

腸に辿り着いた栄養分は血液に乗って全身に送られるが
腸で作られたセロトニンは素直に血液には乗ってくれない。

腸内細菌の力を借りないと腸内から飛び出して、脳にまでたどりつくことができないのだ。
(腸内細菌がセロトニン(の前駆体)をどのような経路で脳内に送り込んでいるのかまでは文献から推察することは出来なかった。血液・神経・筋肉、どの経路を使って脳にまで届くのかは把握できていない。しかしながら文献の内容を整理していくと、セロトニンが脳内に辿り着くためには腸内細菌という通行許可証と一緒に行かないとダメらしい。)


だとすると、トリプトファンや5HTPを摂取して腸内にセロトニンが増えようとも、腸内細菌がセロトニンを脳に送ってくれる腸内細菌が育っていなければ、脳内セロトニンは増えていかないのではないだろうか。
(SSRIやSNRIはセロトニンの総数を増やすことはない。今あるセロトニンを効率よく使うようにするだけである。効率がよくなったと脳に錯覚するためにセロトニン受容体を殺すと言う噂もあるが恐らく事実なのでしょうwもしもセロトニン受容体の数にあわせてセロトニン生産量が決まるとしたら、SSRIによって受容体が殺され続けていけばセロトニンの生産量はドンドン減っていくことになって病気が悪化して薬の売り上げは右肩上がり続きですねww)




以上の事から、『うつ病をはじめとする精神科疾患を訴える人の大部分(セロトニンオフ具合が大きく関与しているとされている)に、なんらかの胃腸系の不調を観察できることが腸(内細菌)と脳内セロトニンの関連性を説明する大きなファクターになるだろう』と結論付けた。
(ただし、強迫性障害を抱える知人・限局性社交不安障害を抱える知人は、これと言った胃腸症状を訴えていなかった)



腸の機能不全(LGS・カンジダ菌の感染・IgAの消耗・悪玉菌優位・遅延型食物アレルギー・重金属蓄積など)を修復していかない限り、
何をしていても楽しくないし幸せで穏やかな毎日を手にすることは不可能なのではないだろうか。


(了)




※今回の論点とは少しずれるが、ビタミンB群の合成も腸内細菌が担っているそうだ。
だとするとど、れだけ食品あるいはサプリメントからビタミンB群を摂取した気になっていたとしても、腸内細菌という入り口を通過しなければ(良い腸内細菌が育っていなければ)、ビタミンB群を恩恵を私達の体は受けることが出来ないのではないか?と考えてしまう。





















以下、参考にした文献とその抜粋
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○腸内セロトニンは血液には乗らない

■腸にもあるセロトニン

最近の研究で
セロトニンが腸内にも存在することが発見されました。

腸内のセロトニンは、なんと全体の90%にものぼります。
それらは、腸の蠕動運動を促します。

腸には単独でセロトニンを作る神経があって、
そこから放出されるとき、腸が蠕動運動を始めるのです。

実は、腸内のセロトニンはたったそれだけの働きしかしません。



■食欲にも関係するセロトニン

また、胃腸の不調による食欲減退ではないのに
なんとなく食が進まない、というのも、セロトニンと関係があります。

食欲不振が病気のレベルにまでなってしまうのを摂食障害といいます。

この摂食障害の治療にも、SSRIが使用されています。
つまり、セロトニンと食欲には大きな関係があるということです。

(脳内セロトニン・トレーニング 有田秀穂 かんき出版)


■脳内セロトニンと体内セロトニンの違い

ここで誤解の無いように断っておきましょう。

私たちは、セロトニン神経が活性化したかどうかを脳の中のセロトニン量を直接測ることはできないので、血液や尿の中のセロトニン量で測ります。

ここで注意しなければならないのは、
セロトニンという物質は、脳だけでなく身体中にある、ということです。


脳内のセロトニンは身体のセロトニンの約5%にすぎず、約90%は小腸の粘膜にあるクロム神話細胞内にあるのです。

セロトニンがどのように作られるのかと言えば
必須アミノ酸の一種のトリプトファンを原料にしてそのトリプトファンが消化管から入ると
血液を介して細胞の中でトリプトファンからセロトニンを合成できる酵素を持っている細胞のところに行き、そこで作られます。

その酵素を持っているのが、脳内では、脳幹の縫線核のセロトニン神経であり、内臓では小腸の細胞内にあるわけです。

そして脳内で分泌された余分なセロトニンは血液中に排出されます。
つまり、あたかもホルモンと同じように、血液中に出て行きます。


■あふれた脳内セロトニンは血管へ

ここで、血液中のセロトニンの量が増えたのは脳のセロトニン神経が活性化されたためなのか、
あるいはもともと身体の中にあったセロトニンなのか、その区別がつくのかという疑問が起きる。


身体の中の多くのセロトニンは、腸の運動のために小腸で作られています。
それが血液の中に出ているのではないのかと言う疑問は当然です。

その疑問について詳しく研究した結果、
腸で作られたセロトニンはほとんどが腸管で代謝され、
余分なセロトニンは肝臓で壊されるので
血管中に残されると言うことは殆どないということがわかりました。

実際、腸管運動が活発になる食事のあとや夜に血液中のセロトニンが増えるかといえば増えていません。
そのときには、腸管から絶えずセロトニンが出ているのですが血液中には増えていないのです。

つまり、血管中に増えるのは、脳内のセロトニンなのです。
ですので、血管中に増えるのは、脳内であふれたセロトニンなのです。



■体内セロトニンは消化管に影響

小腸で作られた体内のセロトニンは腸などの平滑筋に作用し平滑筋の調整をし、消化管の運動に大きく影響を与えます。

その働きが弱くなると便秘になると下痢になります。

そして、もともと血液中にも5%のセロトニンがあり、その量は基本的に一定です。
というのも、血液中のセロトニンの90%が血小板の中に貯蔵される形で存在しているから。



このように、血管中のセロトニンは、脳内のセロトニンとはまったく違う働きをしています。

つまり、脳の中には脳内物質としてのセロトニンがあり、
腸管や血管には別の働きをする物質としてのセロトニンがあるのです。

セロトニン「脳」活性化 有田秀穂 大和書房)










○腸内細菌がセロトニンドーパミン(の前駆体)を合成して脳に送り込んでいる


幸せ物質の分泌量を増やすには、タンパク質を摂取する必要がありますが、
それだけでドーパミンセロトニンを増やすことは出来ないのです。

それは、必須アミノ酸が体内に取り込まれるとドーパミンセロトニンの前駆体にひとまず姿を変え、
脳内に送られてから、幸せ物質となって脳内で働きます。

その前駆体を腸内で合成しているのが、腸内細菌なのです。

さらに、腸内細菌は、幸せ物質の前駆体を合成したのち、それを脳へ送り込む働きもしています。
その前駆体が脳へ届けられてこそ、脳内にてドーパミンセロトニンが分泌されるのです。

(50歳からは炭水化物をやめなさい 藤田紘一郎 大和書房)


■幸せは腸が作っていた

乳酸菌が「幸せ物質」であるドーパミンセロトニンという脳内の神経伝達物質の前駆体を作り、それが脳に送られた結果だ、ということです。

脳はすべての化学物質をガードし、外からの侵入を防ぐ働きを持っています。
しかし、乳酸菌が作った小さな前駆体はそんなガードをもろともせず
血液脳関門(BBB)から神経細胞によって脳に運ばれたのです。


セロトニンは食べ物に含まれるトリプトファンという必須アミノ酸から摂らない限り、
体内では合成することはできません。

また、ドーパミンも同様に必須アミノ酸フェニルアラニンがないと合成できないのです
しかも、これらのアミノ酸を多く含む肉類をたくさん摂取しても
腸内細菌がいない状態ではトリプトファンフェニルアラニンがあっても
セロトニンドーパミンが増えないことがわかってきました。

セロトニンドーパミントリプトファンフェニルアラニンなどのアミノ酸から
合成されますが、ビタミンM(葉酸)、ビタミンB6などのアミノ酸がなければ
合成できません。

これらのビタミン類は腸内細菌が作っているのです。
そればかりか、腸内で合成されたセロトニンドーパミンの前駆体は
腸内細菌がいないと脳に送られないのです。


少し専門的な話になりますが、
ドーパミンの合成はフェニルアラニンからチロシンになり、それが水酸化して
L−ドーパという前駆体になります。

セロトニントリプトファンから5−という前駆体に変えられ
腸内細菌によって脳に送られます。

腸内細菌が有効に機能しなければセロトニンドーパミンという「幸せ物質」が
脳に作られないということなのです。

私たちが利用する乳酸菌はいろいろと新種のものが開発され、
発売されます。
その効能には、アレルギー反応抑制作用、血圧降下作用、動脈降下改善作用などがあり、
一部ではその機能性が強調されている傾向もあります。

これはこれでけっして悪いことではないのですが、
大切なことは自分の腸内に棲んでいる乳酸菌を含む様々な腸内細菌が、
その種類と数を増やすことに尽きます。




トリプトファン→前駆体(5−HTP)→セロトニンメラトニン

フェニルアラニンチロシン→前駆体(L−ドーパ)→ドーパミンノルアドレナリン→アドレナリン




うつ病に関係しているといわれるセロトニンドーパミンなどの神経伝達物質
脳に送り込んでいるのは腸内細菌である。


であるから、腸内細菌がいなければ、
せっかくアミノ酸を体内に取り込んでも
セロトニンドーパミンを脳に送り込むことができない。

(腸内革命 藤田紘一郎 海竜社)



■腸内細菌は好んで食物繊維を食べる

腸内細菌が減少してくると、当然ドーパミンセロトニンといった「幸せ物質」も減少します。

意欲を駆り立てるドーパミンの現象によって「今日も頑張るぞ!」という前向きな心はいつしか縮小し
「どうせ自分なんて誰からも必要とされていない、愛されていない」という悲観的な気持ちに変わります。

また、セロトニン不足は逆境に打ち勝つ挫けない心、図太い気持ちを
か細いものに変えてしまいます。


食物繊維は、腸内細菌が好んで食べる「餌」であり、食物繊維という餌をとるということは腸内細菌の増加につながります。


その腸内細菌がセロトニンの前駆体(セロトニンに変わりうる物質)を脳に送るのですから、
食物繊維が多ければ多いほど、セロトニンを増やすと言うことになります。

たとえば、腸内細菌に食物繊維を添加すると、ビタミンB群の合成が増強されることが分かっています。

ビタミンB群もセロトニン合成に必要であり
食物繊維の摂取量の増加はイコール幸せ物質を増やすことになるのです。




簡単にできる!セロトニン「脳」活性法

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