The Dragon Scroll

Be just and fear not.

誰の趣味?

データ中心システム入門』の中に出てくる、情報システム≠ソフトウェアという考え。
情報システム≠プログラム。
情報システム≠サーバ。
情報システムとは、人とITによる情報生産・消費のシステムであるという。


それを読んで、師匠のことを思い出した。
昔、師匠が教えてくれたことがある。
その頃、私は顧客の要望をいかに詰め込んだシステムを作り上げるかが目的だと、ベストだと
思っていた。
しかし、師匠は言う。
「人間がやって早いことは、人間がやればええねん。何もかも、システムに詰め込んだら
 ええというもんやない。本当に必要なものがあればええねん。」
さらに、師匠は、いつもの毒を吐いた。
「そんなもん、趣味のシステムや。」


それは、顧客のある特定の人物のための、その人の趣味に合わせたシステムに
してはいけないと言うことだった。
さらに、それは、単なる作り手の趣味にもなってしまう。
作り手は、ワクワクするようなものを作りたい。様々な、使ったこともないものも含めて、
技術を駆使したいと思う。Howにこだわる。


しかし、そうではない。Why−なぜそれが必要なのかということが重要である。
不必要にシステムを重くしてはならない。
結局、それは大多数の人間が望むシステムではなくなり、当初のシステム化の目的からも
外れてしまうことになる。また、作り手は、複雑なシステムのメンテナンスという、
厄介な荷物を抱えることになる。


顧客のために作っていると思っていたシステムが、実は、顧客のためにはならない。
エンジニアにとっては、最も悔やまれる事態です。

ピープルウエア 第2版 ? ヤル気こそプロジェクト成功の鍵

ピープルウエア 第2版 ? ヤル気こそプロジェクト成功の鍵

ピープルウエア 第2版 ? ヤル気こそプロジェクト成功の鍵

遅まきながら、読みました。昔、ざっと眺めていた頃に抱いた印象がそのままでした。
以前は、「アメリカでしょ?職場環境が違いすぎて比較にならんよ!」と思っていました。
しかし、読んでみると、人間系に関することは、共感できる部分が多い。
そして、本書はほとんどが人間系に関することである。
どこの国にいても、エンジニアが味わう理不尽なことや、不満に思うことは同じなのだろう。
共通の認識なのだ。


本書について一言でいうと、「エンジニアは大切せな、あかんよ。」ということになる。
結局、アジャイルの考えは、トムデマルコが随分昔から提唱してきたということなのだろう。